君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

月イチ雑記2012,10 負けられない戦い(BGM♪)

2012-10-27 23:59:46 | 月イチ雑記「青い星」

今日はちょっと駄文を書きます。
本日は、灯火の誕生日だったりします。
で、自分で自分のケーキの予約なんかもしてたり…;
誕生日にケーキってつまらないので、先日、良く行ってたパン屋へ久しぶりにパイをホールでお願いしようと行ったら、店が改装されていた。
で、入ってみたら、パンもあるけど…ケーキ屋さんに変わっていた。
(え?あれ?)
良く見たら、似てるけど名前も違う…。
そのままその新しいお店にケーキを予約したきました。^^;
どうなんでしょうねぇ。美味しいのかな?口コミ無しは心配です。
で、そのお店に前から食べてみたかった「ギモーブ」があったので試食。
マシュマロ? もっと柔らかい?これが内臓の感触だそうです^^;

さて、「地球へ…」の二部ですが、この先は戦いが入ってきます。
けど、普通に参戦させたら、学園物だったのと同じになるので、参戦させない方向で、開戦です。で、彼が出てきます。
もうすっかり影の人になっているキースです。
そうなると、やっと恋愛モードになる、、はずです。
最近、恋愛モードが他人様に振られている気がするので、頑張ります。


★アニメ「イクシオンサーガ」の声優名並びで幸せになれる!!

☆追記☆
「イクシオンサーガDT」の限定CDを予約しました。
あれを聴きながらシリアスを書くのは無理ですが…^^;
気分のアゲアゲ↑↑には使えます。

先日、友人が人としてあまりにも浅はかな行動をしているのを喜々として報告されてしまい…;もう…、開いた口が塞がらなかった。
人としてどうよ?のレベルなのです…。
男と女の色恋に(あんなもの、恋愛とは呼んでやらん!)
彼女の馬鹿さに、大人として興ざめです。
いつか、小説のネタとして使ってやろうとは思っていますが…。
で、今は恋愛モードにも戦闘モードにも乗り切れなくて…;
イクシオンのノリは何も考えないでイケそうです。

でも主に「負けられない戦い」がBGMです。
(執筆時に聴きたい神曲集4)戦闘シーン書いてきます。



『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 五話「ソルジャーズ」

2012-10-27 02:00:13 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 五話「ソルジャーズ」

 僕達はメサイアへ戻った。
 やはり太陽系は遠く、旅立ちから三ヶ月になろうとしていた。
 僕はメサイアで、ソルジャーズのジョミーを呼び出した。
「本当の気持ちと本当の事を教えて欲しい」
 場所はメサイア空港の中枢、普段トォニィが使っている部屋だった。
 執務室ではなく応接間の方だったが、ドアの外にはトォニィ直属の部下(親衛隊)がいた。
 椅子に座るように招いた僕は、彼が座るのを待ってからその反対側に座った。
「この旅は、最初からこれが目的ですか?」
「いいや、尋問をする気はないよ。本当の事が知りたいだけだ。答えてくれないか?」
「ブルーはどうしてます?」
「気になる?」
「…はい…」
「トォニィと一緒に居る。彼は何も知らない」
「そう…ですか」
「その表情は何?」
「……」
「嬉しい?悲しい?」
「…そのどっちもです…」
「素直だね…」
「いつから気がついてましたか?」
「…何を?」
「僕の事を、僕がクローンじゃないって…」
「メティスの僕の所にカナリアの少年を送り込んだのは君じゃないかと、疑った時から…でも、君を信じたかった」(※本編「湖底の城」一話)
「出会う前からですか…」
「僕はジュピターの時に、あちこち巡って居たし、メサイア襲撃事件のすぐ後に調べているんだ。巧妙に隠してあったけど施設で廃棄されていたのは、ブルーのDNAを持つ者が殆どだった」
「…場所の特定が出来ているって言われた時には…どうしようかと思いました」
「僕はノアに居たからね」
 ジョミーは悲しそうな顔で笑った。
「しかし、君は本当に優秀なミュウなんだね…」
「…ブルーのおかげ…です」
「君はタイプイエローでしょ?」
「はい…僕にはサイオン能力の事についてはよくわからないですが…」
「君にその力を与えているのは、ブルーだね」
「……」
「彼は無意識なのか…それとも…」
「無意識だった時もありましたが、今は気付いていると思います」
「その意味はわかっている?」
「はい」
「君は、それでどうしたい?」
「…ミュウで居たいです…」
「君は初めてミュウの能力を植え付けられた人間って事?」
「いいえ。多分、因子があったのだと思います」
「僕とそっくりなのは…それは、親が一緒って事なのかな?」
「どこかで繋がりはあると思いますが、同じではないと思います」
「じゃあ、君の顔や身体は…」
「手を加えて作られたものです。似ているだけでしたから…」
「似ているだけ?…僕に似ている子供を実験に使ってたって事なんだね…」
「はい」
「はぁ…。やはり、そうか」
 目の前の自分と同じ顔の彼から目を逸らし、小さなため息とともに、ぼそりとジョミーが呟いた。
「知った時に潰さなかった事を、悔やんでいるのですか?」
「ううん…。十年前、共生が始まった頃、無駄な衝突を避けるために、僕は人に対して不可侵を宣言したからね。だけどそれだけで、僕が手を出せなかった訳じゃない…ミュウを作る研究をしている。それは、十分に僕らが介入出来る事象だ。僕は廃棄されたデータを修復して、作られているのが僕とブルーだと知って会ってみたくなった。完成を待ったんだ。それを後悔してるんだ」
「…政府の指示で、見逃したのは聞きました」
「過去は変えられないね…」
「一番、最善だと思う道しか選べない。最善だと思わないと進めない」
「あは、そう…だよ。ジョミー。僕らはそうやって生きてきた。これがその結果だとするなら、僕は君を殺さないといけないんだろうな…。君はどうする?」
「…どうする?…それは…」
「ああ、ミュウの長であるトォニィは僕と意見が違う。それの意味はわかる?僕はそれを聞く前の君の意思が聞きたいんだ」
「裏切り者の僕の…意思…?」
「ああ」
「僕がやってきた事を知っていて、それを聞くの…ですか?」
「そうだよ」
「やっぱり、ジョミーは厳しいですね。そんなの決まっているのに…僕は」
 下を向いて目に涙を滲ませるジョミー。
 二人の間を時間が流れてゆく。
「僕は…生きていたい。ただそれだけです。ジョミー、貴方が僕を殺すと言うのなら、僕は何をすれば生き延びる事が出来ますか?」
「トォニィではなく、殺すという僕に従うって事?」
 ジョミーは少し驚いていた。
 彼は彼でソルジャーの遺伝子を受け継いでいるようだ。
 トォニィに従えば、例え裏切り者であっても強いミュウの自分は殺される心配はないだろう。
 けれど、この事実はミュウがまた人類を敵として見る火種になるかもしれない。そうなる前に…。
 僕は立ち上がり食器棚からティーセットを出して、紅茶をいれて彼に出した。
「僕は…君とゆっくり話す時間を持ちたいと思っていた。本音で話そう」
「避けてた訳じゃないんです」
 ジョミーは紅茶を受け取り答えた。
「僕だけじゃなくて、皆を警戒していたね」
「はい」
「僕はスメールではあまり一緒に居られなかった…」
「僕はフィシスといる事が多かった…」
「彼女との方が安心出来たんだろう」

 それから僕達は長い時間をかけて色々な話をした。
 覚悟を決めた彼にはもう迷いは無いようだった。
 僕が最後にした質問にも彼は落ち着いて答えた。

「君が君として生きていられなくても?」
「はい。それが僕の進む道なら」





   続く




『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 四話「ソルジャー・ブルー」

2012-10-21 01:37:42 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 四話「ソルジャー・ブルー」

  太陽系第三惑星「地球」衛星「月」黄昏の海 上空
 月が近づくにつれてジョミーが無口になった。
 その様子を見てシドがソルジャーズに声をかけた。
「君たちを信頼しているよ」
「シド?」
 艦橋を出て外部ハッチを開け、外へと三人は出て行った。
 黄昏の海と呼ばれるポイントには古い建物がありそこを覆うように巨大な青い氷の塊がある。
 前に来たのは三年以上前、青い氷は成長していた。
 あの時はトォニィですら近づく事が出来なかった。
 ジョミーは何も言わずに進んでゆく、そして、青い氷に溶け込むように中に入った。
 青い氷はあの時と同じように悲しみを湛えていた。

「おいで」
 氷の中に入るのを躊躇っているソルジャーズにジョミーが声をかけた。
「……」
 二人は意を決して氷に近づいた。
 スッと意外と簡単に中に入れた。
 この氷を作ったジョミーが良いと言っているのだからこれは当然なのだが、前に何をしても入れなかった事が嘘のようだった。
 氷の中は冷たさを感じなかった。
 氷のように見えてこれは氷ではなかった二人は悲しみが形になったようだとミュウ達が泣いていたのを思い出していた。
「そう…なんだ…仲間たちはここで泣いたんだね…」
 何も言っていないのにジョミーがそう反応した。
 ジョミーは薄く青く光っていた。
 古い建物の内部は所々で凍りついたようになっていたが、通路を歩き、ある部屋の前ででジョミーが言い出した。

「僕が初めてここに来た時、僕は自制心を失った。シドが君たちに僕に注意するように言ったのはそういう事なんだ。二度目はまるで観光のようだった。三度目はマザーに引き寄せられてここに…最後はブルーの心をここに戻すために来た」
「……」
「ブルー。見て、彼が君の本体だ」
 ドアを開けてジョミーがブルーを招き入れた。
 僕はドアの所から見ていた。
 ブルーがゆっくりと前に進み出て彼の棺へと近づく、その光景は少しずつ歪んで見えなくなった。
「もう泣かないって、ここでは泣かないって置いてきたのに…」
「ジョミー」
 クローンのジョミーが僕の肩を抱いていた。
「…ここには、反省と後悔しかない。ブルーを助けられずに逝かせてしまった事、身体を残すなんて事をして、君たちを人類は作り出してしまった。僕が希望を無くしてしまったからブルーは僕から離れる事が出来ずに彷徨わせてしまった。僕の身勝手な行動の象徴みたいなこの氷を見てミュウ達はブルーを想って泣いた。彼らはとても純粋だ。僕は仲間を裏切っていると知りつつ、ブルーの事を何年も黙っていた。それは僕のただの我がままだ。僕はこんなに酷いのに…僕は身勝手で自己満足な事しか出来ないのに…ミュウ達はあのシャングリラと同じように僕をまた迎えてくれるんだ。だけど、僕はどこまで酷い事をすれば気がすむのかな…」
「……」

「でも…それでも、君には見えるだろう」

「え?」
「誰?ブルー」
 あの優しい声がした。
「ブルー?」
「ソルジャー・ブルー。貴方ですか?」
 声はクローンのブルーからだった。
 彼の身体は時間が止まったようになって動かないのに、声が聴こえる。
「見えたのだろう?」
「ブルー!」
「…進めと、また僕に前を向いて進めと言うのですか?」
「見たのだろう。今の君と同じ、あの光を。希望の丘のあの朝日を」
「そうですね。あの朝日を」
 そうジョミーが言った瞬間に風景が変わった。
 空はどこまでも青く、流れる白い雲。
 足元には草花が咲いていた。
 チリチリと痛い程、冷たく澄んだ空気。
 そして、遠くに見える山の間から登ってくる朝日の眩い光。
 ここは、地球の希望の丘。

「僕は見た。あの時、この光を」

 あれが本当の意味での希望の光だ。
 明日を守る事、それがこれからの僕の生き方。
 いつか来る未来のために投げうったこの命。
 その使い道。
 失った希望はまた見つければいい。

「どこまでも、遠くへ」

「僕は貴方には追いつけないですね…」

 僕を探し続けて、僕を見守り続けて、僕を導き。
 僕を愛し。
 そして、去っていった貴方。

「大き過ぎます…」
「ブルー。お願いがあります…最後に…。今、貴方の心が入っている彼にキスしていいですか?そしたら、また嫉妬してくれますか?」
 そう言って、ジョミーはブルーに近づき、その首に手を回し引き寄せてキスをした。
 ブルーの手が優しく僕を抱きしめた。
 ジョミーのオーラが青から暖かいオレンジに変わっていった。







  シャングリラ(庭園)
「死んでも敵わない気がする…」
 クローンのブルーが一人呟いた。
「なんで勝てるなんて思ったんだろう…」
「ブルー。僕もだ…」
 横に座るクローンのジョミーが同調した。
「僕達は違法なクローンなのに、こうしてちゃんと生きていけるようにしてもらって、僕達はどこかでいい気になっていたんだ」
「ジョミーが力を無くして、身体も小さくなった時に僕も多分どこかで自分の方が勝ったって思ってた…」
「ブルーはもう死んでいて、伝説のタイプブルーって言葉だけで大した事は無いと思っていた。あんなに大きくて強かったなんて…」
「トォニィが氷に入れなった時、僕なら入れるって思ったのが恥ずかしい。多分、僕も入れなかったと思う」
「僕も同じだ。あの時彼にも勝てたと思った。そんなの全然なのに…」
「僕達は思い上がっていたんだ」
「自分とそっくりの固体が死んでゆくのを見て、悲しかったけど、どこかで自分じゃなくて良かったと思った…」
「そう。自分自身が死んでゆく経験なんてしていない」
「ジョミーはそれに耐えて生きてる」
「自分よりも大切な人を失った経験なんてしていない」
「多分、僕達はこの先もそんな経験はしない」
「経験がタイプブルーを作るのなら、経験がタイプブルーを変化させたんだな」
「もう、一生、敵わない。僕らは最初から負けていたんだ」
「ジョミーを自分の思いのままにしようなんてなんて…出来なかったんだ…」
「僕達は彼の手の内だ」
「僕達はまだ子供だから…身体はこうして人並みでも、まだ十年も生きていない」
「まだまだだね」
「僕達はどこかで間違えたんだ」

「人を愛するってのは、生きるのと同じくらいの覚悟がいるんだな」
「そうだね。好きなだけではダメなんだ」
「愛も憎しみも希望や夢や、そんな全てが入り混じって愛なんだ」
「愛する人と見る夢。同じ夢、違う夢。同じ望み、違う望み」
「同じ痛み、違う痛み。そして愛する事の重さ」
「一緒に居るだけが愛じゃない」
「だけど、一緒に居ないとわからない愛もある」

「それは、きっと全て経験で…。ああ、もう、何も考えられない…今の僕では無理だ」
「僕達はまだまだ届かないのだけは、はっきりしたね」

 シャングリラは月を離れて地球を一周した後、木星のメティスで補給しメサイアへの進路をとった。





  続く








雑記 曲の最後1分半だけですが…。(ブログ用に作りました)

2012-10-18 14:04:59 | 月イチ雑記「青い星」
曲の最後1分半だけですが…。(ブログ用に作りました)



追加タイトル「22秒頃がヤバイ…」と思うのは私だけ?

またまた削除されそうな動画をUPさせました^^;
しかも、こっちに貼るとは…。
三代目JSBの「kiss you tonight」という曲なのですが、内容はかわいい恋愛曲です。
でも三代目は男性のツインボーカルなので、掛け合いの恋愛ソングはあら?ってな感じがしてしまって…楽しいです。
「花火」が気に入って好きになった彼らです。
二次元しか萌えないから、、、最初は腐フィルター無かったのだけどなぁ…;

また即削除されないように曲を切ってみましたが、どうなる事やら。。。







『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 三話「遺伝子の記憶」

2012-10-16 00:32:09 | 『君がいる幸せ』Artemisia編二章 心の中は
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 二章「心の中は」 三話「遺伝子の記憶」

  メサイア上空 シャングリラ 
 僕はソルジャーズの二人を迎えた。
「単位ギリギリのブルーを連れてくるのは大変だったんじゃない?」
「移動中もレポートやってたよ」
 ジョミー達がブルーとネタにして笑った。
「まだ残ってる…」
 ウンザリしたような顔でブルーが言った。
 そんな二人だったが、この急な旅立ちを楽しんでいた。
「ジョミー。出航準備整いました。艦橋に来て下さい」
 シドに呼ばれた僕らは艦橋に向かった。
「目的地、ソル太陽系第三惑星地球」
 シドの声と共にシャングリラはメサイアの空港からゆっくりと離れていった。
 見送っているのはトォニィと彼の親衛隊の者達だけだった。

 惑星メサイアを離れ通常航行に入ったので僕達は後をシド達クルーに任せて艦橋下の庭園に降りた。
「前に太陽系に行った時はワープの連続で本当に大変だったから、今度はゆっくり行けそう」
 とソルジャーズのジョミーが言った。
 僕の後ろを歩いていたブルーが道をそれて大きな木の下に上って行った。
 それを見て僕も上がろうとしたがちょっと道と芝生との段差が大きかった。
「……」
 僕のその姿を見たジョミーがサッと芝生へ上がり僕に無言で手を差し出した。
「ジョミー」
 僕は彼の手を掴んで芝生へ上がった。
 僕ら三人は教育ステーションのグレーの制服を着ていたから、芝生に座るとまるで学校の校庭にいるようだった。
 上の艦橋からシド達が手を振っていた。
 僕達はそれに手を振って答えた。
「彼らにとってもここは家なんだろうな…」
 この庭園には大戦時に仲間の遺体が並んだ事もあった。
 それでもここは皆の憩いの場だった。
「ジョミー。何故、僕達を連れて行こうと思ったの?」
「…それはね。きっかけはトォニィの提案だけど、前に行った時に君たちはブルーをちゃんと見れていないから会わせたいと思ったんだ。それに地球にも行けるかもしれない」
「それだけ?」
「んー…」
 僕は芝生の上に寝転んで寝息をたて始めたブルーをチラッと見た。
「…ここまでずっとレポートやってたから…寝ちゃったね」
 ジョミーが言った。
「みたいだね。君たちに聞きたい事があったんだけど…ジョミー、君は僕をどう見てる?」
「どうって…最強のミュウとかかな?」
「君は僕のクローンだから、僕の記憶を埋め込まれているんだよね?それと、自分の本当の記憶とどう折り合いを付けているんだ?」
「ジョミーの、ソルジャー・シンの記憶は記録のような感じで、本を見てるようになってる。すーっと読める時もあれば感情移入するような時もある。でも結局は自分の記憶の方が鮮明で、培養ポッドから見る世界ばかりだけど、あれが僕の世界の全部だったから…」
「そうか…ブルーもそんな感じでいいのかな?」
「みたいだよ」
「そっか…」
「どうしたの?」
「あのさ、僕も君たちと同じジョミーのクローンのような物だよね?だけど、ちょっと違うな…と思ったんだ」
「ジョミーはジョミーのクローンなんかじゃないよ。本人だ」
「ん、でも…最近、前の僕の記憶や気持ちが嘘だったような気がするんだ」
「それは、きっと時間をワープし過ぎたからだよ…」
「かもしれない…でも、前に僕がしてきた事が偽善や欺瞞。ただの計算高いだけに思えて…どうしようもないんだ」
「偽善でも欺瞞でも計算でも。それでも、僕らはジョミーに助けられた」
「それも、君たちを敵にしたくなかっただけかもしれないんだ」
「それでもいい。僕達にも計算はあった。人類とミュウのどっちが僕達にとって一番良いのかを僕らは選んだんだ。その選ぶチャンスを僕達にくれたのはジョミーじゃないか!」
「……」
「だから。記憶がどうのって…それって、過去の自分が許せないとか、認められないとかじゃないの?」
「…そう。僕は間違ったんじゃないかと思っているんだ」
「何一つ間違えない人間っているの?」
「ジョミー…君は…」
「ブルーは僕を選んで僕を残し、生かした。でも、それは…僕じゃない僕の方がもっと上手くやっていけてるんじゃないかって思う時があるよ……」
 そう言ってジョミーは向こうを向いてしまった。
「ごめんね。ジョミー」
「……」
「僕はミュウの力と僕自身と共に何かを何処かに置いてきてしまったようだね…。今回はそれを探す旅なんだ。それで、「月」へ…、ブルーに会いに行く。そして、君たちをブルーにちゃんと会わせようと思っただけなんだ。ごめんね、ジョミー。自分が死んでゆくのを見させられるのは辛いよね…君に嫌な思いをさせる気はなかった…僕は先に部屋へ戻っているからね」
 ジョミーは僕が自分をクローンだという発言を良く思っていないのは知っていた。
 彼を泣かせるつもりも、辛い事を思い出させる気も無かったのに…、ただ、彼らを月に連れて行くのは、二人には僕とブルーの想いを知っていて欲しかっただけだ。
 僕はどうしてしまったのだろう。
 本当に何かを何処かに置いてきてしまったかのようだった。
 それは、月にはあるのだろうか?

 何を求め…何を望む…。
 その先にそれはあるのか?

  シャングリラ 庭園
「泣いてる…?」
 寝ていたはずのブルーがジョミーの手を優しく掴んで言った。
 ブルーは目は開けずに上を向いたままだった。
「起きていたの…」
「ジョミー。君と僕は二人が二人共、お互いを選んだんだ。そこを何も悩む事はない。自分の為に自分で選んだのだから…それが悲しいなら僕も一緒に泣く。僕は君の傍にいる。誰でもない君のすぐ横にいる。こうして手を伸ばせば届く距離にずっといる。僕も不安になる時はある。でも、君がいたからこうして生きている。だから、未来に何があるかわからないけれど…僕達は二人で前に進もう」
「ブルー」
「ジョミーが居てくれて…良かったと僕は本当に思うんだ。居なかったら…きっと…今の僕はいない」
「今の言葉…全部、ジョミーに言ってあげてよ」
「僕が?」
「君の事を彼は好きだと気がついているのに黙っているから…君の言う事なら素直になれるんじゃないかな?」
「それは違うよ。ジョミーはソルジャー・ブルーが好きなんだ。クローンの僕に彼の面影だけを見てる。でもそれは、その想いは僕を怖いと思っているんだ」
「ジョミーが君に惹かれているから怖いんでしょ?」
「そうだね。でもそれはただの恋じゃない…僕達がミュウと暮らし始めた頃、スメールで僕とキスしたって事があったろ?カナリアにも迷惑をかけたあの…」
「うん。覚えてる」
「あのキスは…恋とか愛とかじゃなかったんだ。僕が彼の恐れを知って、それで…利用しようと思って落とそうとしたのが事実で、でも、ジョミーが僕を欲したのも事実なんだけど…でも…」
「……」
「あの時のジョミーは、今と違って世界を滅ぼせる力があった。そんな彼の前に想い続けている者が現れた。ジョミーは僕が望んだら悪魔にもなれたんだ。僕が人とミュウを憎んでいて、それで、僕が彼を僕の意のままにして、人類を滅ぼしてしまおうと言ったら彼はそれを難なく実行できたんだ」
「だから…偽善や欺瞞なのか…」
「そこまでブルーを愛していたって事だな…。また再び戦争を起こすなんて生易しいものじゃない…滅ぼしても余りある力だったんだ。だから、彼は僕にキスをした。あの時ならそれ以上の事も許したかもしれない。あれは「別れの儀式」だった。あのキスは、ブルーに対する想いへの別れと、僕への恐れへの歯止めの為の…」
「世界を滅ぼさない為の…キス…」
「なんで…そんな愛し方しか出来ないんだろうな…」
「ジョミーがそんな愛され方をしたから…かな…」
「それなら…切ないな…」

「ねぇ、ブルー。僕が君を好きだと思うのは、僕に組み込まれた遺伝子の記憶の所為なんだろうか?」
「…それは、違うと思う」
「違うの?」
「記憶の所為だったら、僕はジョミー本人を好きになっているはずだ。僕は君が好きなんだ」
「……」
 ジョミーはブルーの手を組みなおし、そっとキスをした。









「僕が成長出来ないのは…何も知らなかったあの頃に…戻りたいからなのか…」
 ジョミーはそっと庭園を出て行った。
「僕が今、明日を望まない…なんて言ったら…貴方はどんな顔をして何を言うのかな?」
 ジョミーの頬に一筋の涙がつたった。




   続く