司法書士佐季papaの毎日が一期一会

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遺産発見条項

2021年06月23日 | 相続全般

愛読者の皆さん、おはようございます。

司法書士のもとに相続登記手続の依頼があるタイミングとしては、不動産の所有者が亡くなって直ぐのときもあれば、金融機関や保険会社などでのほぼすべての相続手続を済ませ、残りは不動産だけというときもあります。

私は後者の場合であっても、遺産分割協議書に不動産だけではなく、遺産発見条項を記載するかどうか、確認することにしています。それは、遺産分割協議が成立した後に新たな遺産が発見されることは…それも成立後直ぐのときもあれば、何年も何十年も経ってからなど…、それほど珍しいことではないからです。

ちなみに、最近何度か経験したケースとしては、固定資産税を共有者の1人がずっと負担していた遠方の土地の相続登記手続がありました。当該負担者が亡くなり、固定資産税の滞納が続いたことで依頼者及び他の共有者に固定資産税課から通知が届いたことで知ったのです。

ところで、先述の『遺産発見条項』とは何か?耳慣れない言葉だと思いますが、代表的な例として、次の3つが挙げられます。

(1)別途協議条項

遺産分割協議書の記載例「新たな遺産が発見された場合は別途協議する」

問題点「相続人が既に亡くなっている場合や認知症になっている場合は、関係者が増え、新たな協議が複雑かつ困難になる可能性がある」

(2)法定相続分割条項

遺産分割協議書の記載例「新たな遺産が発見された場合は法定相続分で取得する」

問題点「発見された遺産が、預貯金等の分割可能なものであれば、相続人誰もが納得しやすいと思われますが、動産や不動産等の現物分割や換価分割が困難な場合には代償分割とならざるを得ず、それに伴う紛争を生じさせる可能性がある」 

(3)指定分割条項

遺産分割協議書の記載例「新たな遺産が発見された場合は特定の相続人が取得する」

問題点「実務上よく使われる。ただし、発見された遺産が分割済みの遺産に比べて多大な場合は、遺産を取得しない相続人は到底納得できない場合が多く、取得者に対し、錯誤や権利濫用の主張をしてくることが予想される」

なお、お分かりのようにこの「遺産発見条項」を記載しただけで紛争を防止するには十分とはいえませんが、それでも(2)(3)の場合は「解決済み」として、ある程度のケースでは他の相続人を納得させる根拠にはなりえるでしょう。

ちなみに、先に成立した遺産分割協議の内容を考慮できるかどうかですが、裁判所の見解としては、「先行の協議で不均衡な遺産分割協議がおこなわれたとしても、各相続人が取得した財産の価格を考慮するのは相当ではなく、本来の相続分に応じて各自の相続分を定めるのが相当である」として否定しています。

以上のように、親族同士の交流が薄れてきているような昨今、被相続人が一人暮らしで相続人とあまり頻繁に連絡をとっていなかった場合などは慎重に対応する必要があるでしょう。このような遺産漏れが無ければ、相続人やその家族の生活は以後大きく変わっていたかもしれないからです。

では、ブログの愛読者である皆さんもそうでない皆さんも、今日が昨日よりも幸せな1日となりますように 

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