銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

乃木坂 魚真にて「的矢牡蠣」をいただきます

2007-11-02 12:29:29 | 青山・外苑前・赤坂・乃木坂

今まではあまり私が所属している会社の話は控えてきたが
今日はちょいとばかり職環境を垣間見ていただきたい。

私のチームには部下が3人いた。

2名は入社1・2年目の若手。
もう1名がおととい65歳の誕生日を迎え、
偶然にもその誕生日の日に40数年という長い長い
社会経験にピリオドを打った相談役的な爺様だ。

つまり、今日は爺様の最後のお見送りのお話という訳だ。



爺様の出身は北海道の札幌と旭川の中間の豪雪地帯。

奥様は実家から数軒先の幼馴染で
北海道というだけあった魚貝には目が無い。

その中でも焼き牡蠣が好物なので
最後の餞に鱈腹喰わせてやろうということになった。

初等兵と二等兵を走らせ、
築地やら日本橋を見回ったところ
丁度、日本橋の高島屋で志摩の洗浄方法に特許を持つ
的矢の生牡蠣を海鮮旅館の橘という所が
売っているというので目利きは任せてそいつに決めた。

¥210という現地の倍の値段ではあるが
東京ではおまけを含めてこの値段の仕入れならばマシな方だろう。



仕入れは済んだので、
どこで喰わせるのかという話なのだが、
持ち込みの牡蠣を焼いてくれなんて物騒な話を
気軽に引き受けてくれるお店が青山界隈という
つんつんした土地柄が受け入れてくれるのだろうか?

唯一お好み焼きの「さっちゃん」は
口約束で焼いてくれるなんて言っていたが
まさか本当に持ってくるなど予想していないだろう。

魚好きには魚屋で
ちゃんと喰わせてやりたいとの配慮もあり
1年程前に乃木坂の交差点に出現した、
タイの屋台のような魚屋の「魚真」に頼んで見ることにした。



魚真は築地の仲買「鈴兼」が運営する魚尽くしのお店だ。

こういった交渉ごとも
営業部隊の我々にとっては訓練のようなもの。

初等兵には荷が重く、
失敗=説教部屋という監獄送りを二等兵が行うことになった。

爺様のお勤め最後の食事だという浪花節に
若干の焼き賃で快く快諾いただき、
仲買直営の店によその牡蠣を持ち込むという
失礼極まりない暴挙をお許しいただいた。

「魚真さん。ありがとうございました。」



こちらのお店。相当に繁盛している。

入り口には立ち食いのカウンターがあり
数十あるテーブル席を魚を摘まみながら待つことができる。

カウンターの奥には
脇に魚屋のように氷の上に魚達が置かれた
食欲をそそるテーブル席があり、
そのまた奥にビニールハウスに大漁旗とコカコーラの
テーブル席で乃木坂という立地とは似つかわしくない
前述のアジアの屋台のような席が並ぶ。



流石に持ち込んだものだけで
食事を済ますことはできないので
大間のマグロ¥1,380
毛がに ¥1,980
塩辛や雌のめざしやら摘まめるものを頼んで
焼き牡蠣を待つことにした。

こちらのお店の喰いモンは
次回改めてしっかりとレポートすることに
させていただくのだが、毛がには客を見られたのか
子供も子供の海に戻してやりたくなるほど
こじんまりとしたものだった。

それでも蟹の喰い方を知らない初等兵に
爪で穿るんだぞだとか蟹味噌を身に付けて食べると
最高だとか教授している爺様の姿は水を得た魚だった。



そしてこの日のクライマックスがこれ。

的矢牡蠣だ。

よそのテーブルの視線が痛くて申し訳なかったが
爺様と私たちだけのスペシャルミールを堪能させていただく。

まずは、見た目にも焼き加減がすごく良い。

テント内全体に立ち昇る磯の香りは
写真なんか撮ってる場合じゃないぞ光線を
ビンビン発していた。



爺様に続いてパクリと・・・

ふぅまぁい。

言葉にならないような旨さだ。

夏牡蠣のようなぷっくりとしたクリーミーさはないが
1粒1粒が体全体に海の恵を運んでくれた。

2個目は1滴だけレモンの雫を落としたのだが
牡蠣の味が引き立ってこれまた良い。



北海道の牡蠣とは随分と違うのだが
爺様も大はしゃぎでかぶりついていた。

爺様のサラリーマン最後の日はこんな風に幕を綴じたのだが
私は30年後にどのような最後を迎えるのだろうかと
爺様の姿と重ねながら考えてしまった。

随分と先のようであっという間にその日は来るのだろうが
今は考えるのは止めにしよう。

爺様お疲れ様でした。
魚真の皆様。感謝いたします。

ご馳走様でした。

魚真 乃木坂店
港区赤坂9-6
TEL03-3405-0411
17:00~24:00
不定休


〒517-0204 
三重県志摩市磯辺町的矢310
TEL0599-57-2731

旅館 橘の的矢牡蠣を魚真で喰らう

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・・・ あっ、ありがとうございます。・・・
   それでは明日もお会いしませう



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
牡蠣食えば腹が鳴る也!法隆寺。。。 (mymyzu)
2007-11-02 13:05:26
「魚真」!

お昼でも大漁旗が目立つんですよね。このお店。。。

入った事はないですが前を通る度に思ったものです。

しかし、的矢牡蠣三昧。爺様の腸がパンクしなかった
ことを祈るのみです。

今から、牡蠣の美味しい季節。
書いたかもしれませんがBARで食べた牡蠣カレーが
また食べたくなりました。。。
返信する
キャ~~! (ポケット)
2007-11-02 15:30:11
キャ~~!
これって、凄すぎます!
焼き牡蠣を広げて盛りつけるなんて・・・!!!
これほど罪な写真はありません!
最高のお餞別だと思います。
返信する
心づくしの、本物の「ごちそう」ですね! (つきじろう)
2007-11-03 05:51:47
思わず感動しましたよ!

食材の確保も会場の手配も、ほんとに“ご馳走”と
いう言葉が意味する通りの、心をこめた宴席ですね。

こんなお仲間と一緒に仕事をして見送ってもらえる
職場の輪があるのは素晴らしいなぁと・・・
返信する
Unknown (Kyoko007)
2007-11-03 18:55:00
この記事は、食べ物エッセイとしても名作ですね。

とても、しんみりと読ませて頂きました。
返信する
牡蠣カレーはインド風? (甚平)
2007-11-05 19:12:46
mymyzuさん

こんばんは。甚平です。

爺様は後は思う存分寝るだけだとの
最後の言葉を残して帰って行きました。

それにしても牡蠣カレー。
洋風のルーで旨さはなかなか出すのが
難しそうに感じるのですが、サラっとした
タイやインド風なのではとフト思ってしまいました。

私もgooホームに入ってみたのですが
使い方がイマイチ理解しきれていませんので
日記用のgooメールのアドレスを記載しておきますので
喰い倒れの件はそちらにご連絡ください。

私はかねますや四谷のお肉屋さん。忍びでしたっけ?
mymyzuさんに教えていただいて行ったことのないお店
にも興味津々なのですが、鍋の季節に突入しますので
相談して決めましょう。

sada1976@mail.goo.ne.jp

それでは
返信する
さらにシワのよった目じりが何よりです (甚平)
2007-11-05 19:18:45
ポケットさん

こんばんは。甚平です。

爺様のただでさえシワシワなお顔が
大丈夫かと驚くほどクシャクシャになっていたのが
喜んでもらえてよかったと思わせてくれました。

実際にああやって盛り付けてもらえたのは
魚真さんのおかげ。

見栄えも120%増しでしたね。
返信する
ご無沙汰してスミマセン! (甚平)
2007-11-05 19:22:11
つきじろうさん

こんばんは。甚平です。

私の方もすっかりご無沙汰してしまい
申し訳ございません。

人の畑はよく見えるものですが
つきじろうさんのコメントは
うちの若手にも読まさせていただきました。

人は石垣。人は城・・・ですね。
返信する
嬉しいですねえ (甚平)
2007-11-05 19:25:36
Kyoko007さん

こんばんは。甚平です。

世界名作劇場へのご推薦
ありがとうございました。

皆さんのコメントで
自分も爺様のような最後を迎えたいと
心の底から思いましたので、
良い人間関係を沢山作れるように
頑張りたいと思います。
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