銀座の甚平喰い倒れ日記

甚平を愛するサラリーマンの食生活を綴った日記。銀座界隈を中心に東京の美味しいお店をご紹介。

福井 越前そば片桐にて「おろしそば」をいただきます

2008-11-28 10:00:06 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

旅先でのアクシデント。

無縁な方は生涯その道を進んでいただきたいのだが
私は今回が3度目のアクシデントだった。

1つ目は22歳の時にグレイハウンドのバスで
アメリカ大陸横断をした際に乗り換えのアルバカーキの街で
体だけ乗り換えて荷物を載せ換え忘れるという
大チョンボを。

あの時は相当あせったのだが
火事場のクソ力とはよく言ったもの。

拙い英語を総動員して荷物を載せたバスが
メンフィス経由でセントルイスに着くという言葉を
何とか理解して、先回りしたセントルイスで無事再会を
果たすことができたというものだった。

2つ目は相当前にこの日記でもお話をした
タイでお財布をスラれるという真っ青なもの。

今回の3っつ目は今までで
一番大したことがなさそうなものなのだが
身寄りのない旅先で1人38度の高熱を抱えるのは
相当にシンドイ思いをさせられた。



結局、金沢2泊の後に行くつもりだった
能登は金沢で寝たきりという日程に組み変わり、
あくる日にご覧の福井城下にやって来た。

昔の城跡の多くは官公庁になることが
多いのだと聞かされていた記憶は、
この福井城を見ると何の抵抗もなく頷かされてしまう。

福井城跡は県庁に県警本部が鎮座しており
昔の人が登城する際の緊張感を違った形で
味あわせてくれるのだ。

平日の仕事を放り出した旅は
例の如く観光を許してくれず、
福井初日は夜10時過ぎまでホテルに篭りきって
ようやく開放されたその足で福井最大の歓楽街。
片町に繰り出したのだ。



金沢でも片町がきっての
歓楽街だったことは全くもって偶然ではないようだ。

お城の片側から川に向かって増えていった
集落を片町と呼ぶようになったというようなことを
何だかの本で読んだことがあるのだが、
全国各所にこの片町という町名が存在するのは
街が開けて最初に人が集まった場所が歓楽街化している。

そんなところではないだろうか?と思っている私の記憶も
あながち嘘ではないのじゃないかという訳だ。

病み上がりで都合3食を
ビタミンウォーターやらで代用したこともあり
体が食物を猛烈に求めていた。



最初に訪れたのは天菊という
天麩羅屋さんだったのだが、
残念無念。

ご覧のように写真が上手に取れなかったので
今回、は手短に済まさせていただく。

素材を短時間でギュっと封じ込めた天麩羅は
揚げ上がりもとても軽やかで北陸の魚を味わうのには
中々に良いお店だった。

私は塩で食べたので天丼なんかを頼む方に言っておくと
素材を殺さない強すぎないタレの味は
丼にした時もしつこくなく、
美味しく食べさせてくれるだろう。



天菊を出てすきっ腹に純米酒で、
ホロ酔いを通り越した視界で向かおうとした先は
焼き鳥の名店秋吉。

しかし、東京でも食べれるお店の発祥を味わうよりは
ご当地モノをと思い直し、江戸っ子では考えられない時間に
暖簾をだしている蕎麦屋にもぐりこんだのだ。

越前そば片桐。

この店の向かいにも同じように
深夜に暖簾を出す蕎麦屋があるのだが、
中に入るとなるほど。

燗守がいるのだ。

場所柄ということもあるのだろうが、
昔は酒のつまみに蕎麦を喰っていたなんて話を聞くと
昔ながらが息づいていると
この店に飛びこんだ甲斐を感じた。



頼んだメニューは熱燗と
福井といえばのおろしそばなのだが、
メニューを見ると自然とおろしそばに目が行くあたりは
思わずやるねぇと背中を叩きたくなってしまった。

おろしそば ¥650
かけそば ¥650
ざるそば ¥800
天おろし ¥1,000

かけそばとおろしそばは同じ¥650で
かけだったらおろしだよなぁと
独り言が聞こえてきそうなのだ。

熱燗をすすりながら仕事に見入っていると
目の前で注文ごとに茹で上げられる蕎麦の姿が
先ほどの天麩羅たちをすっかりと消化してくれた。



お客さん県外の人でしょ?と
写真をバチバチ撮っている珍しい客に
よくかき回してガッと喰うのが流儀だと教えてくれた。

太切りにされた蕎麦に
辛味大根をようく絡めてパクリ・・・

旨い。

本場のピリリと辛味が利いた大根が
食欲をどんどん増長させてくれるというのも、
もちろんなのだが私は次の日に食べた
いくつかの食事と合わせて考えると
福井の方々は鰹節が相当に好きなんだろうなぁと
旅を終えてみて改めて感じさせられたのだ。

正直、いろいろな食べ物で
鰹節が強めに利いていた。

流石に酒の肴がそれほど充実している訳ではないので
東京で言うと飲んだ後の〆にラーメン屋で一杯。

なんてことを
福井の方々は越前そばで〆るか!となるのだろう。

ご馳走様でした。

越前そば片桐
〒910‐0023福井県福井市順化1-17-1
TEL0776-21-3147
17:00~2:00(うる覚えなので定かではありません)

おろしそば ¥650

甚平満足度 ★★★▲☆
甚平満腹度 ★★★☆☆

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金沢 小松 弥助にて「甘エビ」をいただきます

2008-11-25 11:42:17 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

子供の世話ばなしはできるのに・・・と
陰口を叩かれないように地方遠征の続きを
粛々と再開させていただく。

金沢にたどり着いた2日目。

あんまりホテルに缶詰で
仕事に明け暮れるのも良くないと
丸1日観光をすることにした。

西茶屋街、忍者寺、金沢城、兼六園、武家屋敷、
東茶屋街と西から東に舐めるように歩き回り、
一通りの観光を済ませる中で、
この旅で唯一予約をしたお店に行って来たのだ。



小松弥助。

赤玉本店のある片町の交差点を
とぼとぼ歩くこと5分ほど。

アパホテル片町の1階に居を構えるこのお店は
東京の知人に頼むから行ってくれと言われてしまうほど
評判のお店なのだそうだ。

周囲は繁華街からちょいと離れていることと
アパホテルの古くささから、
このお店で大丈夫なのか?と
躊躇しながら暖簾を潜った。



カウンターとテーブル席が
2つほどのお店の中には
14時を回っているというのに
お客がぎっしりと詰まっていた。

私用に用意されていたただ1つの
カウンターの空いている席を見ると
予約をしなけりゃ厳しいなぁと吐息をついた。

最初は1通り出させていただくからね。と

鮨に集中していた眼差しを
一瞬だけ私の瞳孔に向けた老人がご主人だった。



最初に出てきたのはご覧のいか。

いかの上にはちょいとばかしの岩塩が
振られていたので観賞を終えるとそのまま一思いに
バクつかせていただいた・・・

太極拳や気孔といった類を
直に体験したことはないのだが
週間少年ジャンプの黄金時代に育ったものとしては
気やらスタンドやら念などといった
見えない力に対する造詣は深い。

何を言い出すのかと失笑を買いそうだが、
このお鮨。

握っているのだが握っていない。

適温の旨みの塊を食べさせるような
いか自体の素材の良さはもちろんのことながら、
口に入れた瞬間はらりと解けてゆく米粒の1粒1粒は、
まさに超常現象と言っても過言ではないのだろう。

米粒同士を見えない糸で繋いだ・・・
口を通る瞬間からほつれてゆくような・・・

言い出したら切がないのだが
手から発した気やオーラといった類で
素材を固形化しているようなお寿司は
疲れを瞬時に消し去ってくれた。

旨すぎる!



甘エビ。

見るからに醤油のいらなそうな
旨そうな容姿にこいつもそのままいただいた。

やっぱり旨い!

口に入れた瞬間に広がる海老の甘味が
解れてゆく米粒と共にどんどん広がる。

幸せが押し寄せてくるのだ。



続いてヅケ。

いかを握る前に切った赤身を
醤油に漬け込んでいたのだがこの醤油が凄かった。

醤油に漬けなければいけないようなものなのではなく、
醤油に漬けた方が良いものになっているのだ。

赤身の甘味を引き出すこの醤油。

こいつならば大手を振って醤油を使っても良いと
普段は毛嫌う調味料を見直させてくれた。



続いて、ちょいと炙ったとろ。

ここのご主人の包丁は
重に引く笹の包丁使いを見ても細かいのだが
このとろにも細かく隠し包丁を入れていた。

軽く炙っただけなのにこの包丁のおかげで
微妙な旨みの違いができるのだから
大したモンだと唸りながら喰わざるをえない。



バイ貝。

まな板に叩きつけると
素材が目を覚ましうねりをあげる。

口に入れると柔らかさの奥から突き上げる
コリッとした食感と共に貝類が嫌いな子供でさえも
おかわりしたくなるような甘さが広がる。

店に入りカウンターに腰を降ろした際に
先客たちが崇めるように、嫌、実際に崇めながら
食べている姿に少々驚いてもいたのだが、
奉り立てられるだけの仕事をしていることも、
驕りのない気さくな人柄もお客の1人1人が
虜になってゆく由縁なのだと頷きと共に
共感させられた。



ヅケとウニととろろ芋かな?

小さな丼で出してくれた。

ヅケは必要ないんじゃないかとパクリとやると

失礼。

ヅケとウニの競演を
適量のシャリと海苔が下支えした交響楽団は
タライで食べたくなるような旨さだった。



うなぎをトースターでカラッと焼き
キュウリと一緒に巻いた巻物。

実はご主人。

私と同じくリコー製のデジカメを使われている。

接写に最適だと話が弾んだこともあって
巻物も撮影用に海苔を立てて巻いてくれた。

上手く撮れなかったが・・・

うなぎはいかや甘エビに比べると
ちょいと食べ劣りするがそれでも
十二分に美味しくいただけた。



小鯛。

キッと入った包丁が
見た目に大きく影響し、
出された瞬間に喉が鳴った。

旨い。

結局、巻物以外は全てそのままいただいたのだが
コチやのどくろなどの北陸の幸は別に喰うにしろ
予想以上に満たしてくれた。



ねぎとろ。

桜色のとろが白葱に巻かれたこいつは
そのまま食べても甘さ十分。

巻物と丼は唯一、念だの気だのの話から離れるのだが
握りが匠の技を堪能させるのに対して、
巻物は素材の良さやバランスの非凡さを改めて
見直させてくれた。

このお店が繁盛している理由は
味や技云々もそうなのだが、
1番の決め手は客商売だと心得て
お客1人1人を見ているからだろう。

普通ならば常連との会話に
没頭しがちなことが多い中で、
一見の旅人の長男出産を我がことのように喜ぶ姿や
生まれたら喰いに連れて来いという豪胆さ、
お腹だけでなく心もいっぱいに満たすお店だから
有難がる輩が後を絶たないのだろう。



あわびがいいよ。と言われて
追加で頼んだ厚切りのあわび。

出産という家族の不自由さが
生み出した1人旅だったのだが
嫁にも生まれて来る子供にも3年、5年の後に
食べさせてやりたいと心の底から思わされた。

旅1番の贅沢と決めていたお店だったのだが
贅沢ではなく私や家族が成長する上で
必要なお金や時間にいつしか変わっていた。

美味しいお寿司をご馳走様でした。

小松弥助
石川県金沢市池田町二番丁21-1アパホテル1階
TEL076-261-6809
11:30~17:00(要予約)
水・木定休

おまかせに腹六分目までおかわり ¥10,000
(純米酒2合を含む)

甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ★★★☆☆

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越後にて「麟太郎」誕生

2008-11-19 11:54:47 | 銀座の甚平子育て日記

2008年11月17日(月)。

漆黒の世界に飽きてしまったのか
自らの意思を破水という形で表現して
わたしたちとおんなじ世界にやってきた。

麟太郎 3212グラム。

お蔭様で無事出産を終えることができました。

残念ながら越後の国境を越えるのに手間取り
その瞬間に立ち会うことは叶わなかったのだが
母子共々健康であることが何よりも幸いだった。

名前の由来は本気で桃太郎と迷った挙句
メジャーなものなら万々歳。
どんなマイナーなことでも、
たとえそれがテレビチャンピオンの大食い選手権で
1時間にカレーを5,000グラム
平らげるといったものでも、
何でもいいから人様に誇れるものが
成長の過程で備わってほしいとの思いで
決めさせていただいた。



これを期に最強の親バカ日記に
鞍替えさせていただこうかとも思うのだが
当面は大盛りが子供のミルクに、
味付け玉子がオムツに、
間食のかき揚げそばの積み重ねが
おもちゃに変わってゆく生活を楽しんでいただきたい。

子供のことを言い始めたら
きりがないのでこのへんで切り上げさせていただくが
兎にも角にも嬉しくてしょうがないのだ。

これからもどうぞよろしくお願いします。

麟太郎誕生

甚平満足度 ★★★★★
甚平満腹度 ☆☆☆☆☆

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金沢 赤玉本店にて「湯豆腐」をいただきます

2008-11-13 11:42:10 | 旅歩き(国内・海外で食べる)

市原悦子風に言うと
10日間お暇をいただいてまいりました。

忙しい時期の10日間は全くもって空白にはならず、
携行品のノートPCのLANケーブルの納まる先をを
行く先々で探すハメになってしまったのだが・・・

出産を真近に控え、
嫁の実家である越後の国の妙高市に
身重な体を預けに行ったのは今から3週間ほど前。

人の旅行記なぞお腹の足しにはならないのだろうが
今日から数回お付き合いいただきたい。


東京と地方の違いを聞かれれば、
時間の縛られ方の違いと答えるのも
1つの答えなのではないかと思っている。

東京の慌しさも1時間に1本の地方の電車も
見方によってはどちらも時間に縛られていると言う訳だ。

長野と新潟の直江津を結ぶ直江津線も1時間ごとの電車で
車圏内を出て行動をしようとすると必然的に
こいつが来るのに合わせて行動するようになるのだ。



有人の駅でもホームには
5分前になるまで人っ子1人いない。

少しでも早くと時間を次々と
突き詰めて行くような都会の縛られ方と
決められた時間に対して合わせてゆく縛られ方。

どちらがいい悪いではなく
要するに表と裏な訳なのだ。

リュックサック1つで最初に向かった場所は直江津だ。

この漁港しかない土地に降り立った目的は
実はというと直江津の○トーヨーカドーには
高校・大学時代ともにサッカーボールを追い回した
仲間がいるからなのだ。

何の連絡も取らずに
10年ぶりに突然押しかける昔の顔。

近づくとともにリアクションが楽しみでならなかった。



駅徒歩10分のお店の売り場の方に
「店長の林さんはいらっしゃいますか?」と聞くと・・・

驚いた。

「林は店長ではありません」と真顔が帰ってきたのだ。

風の噂は恐ろしい。

誰だかの結婚式で聞いた
林君の近況は売り場のマネージャーが飛躍して
お店の店長として伝わっていただけの話なのだ。

このとんだ間違いは言った側には何も害はないのだが
「あいつ、自分のことを店長って言っているらしいいぜ」と
良からぬ噂が広まってしまっては申し訳ない。

林君の驚きの10秒間の後の苦笑いは
「あっちゃ~!」という音が十分に見て取れた。

嫁の実家のある妙高市でも直江津がある上越市でも感じたのだが
新潟は今、とても沸いている。

いたるところに掲示された
「天地人」のノボリ。

直江兼続や毘をあしらったグッズの数々。
○トーヨーカドーの彼に言わせても
「天地人」特需で売上が前年比とは
比べられないほど良いそうだ。

丁度、新潟知事選挙が終わった直後だが
現職の泉田さんの勝利は在職中に大きな地震が
2回も起きて大変だっただろうにとの
県民の思いもあったのかもしれない。

沈んでいた新潟の気を充実させている「天地人」。

NHKからの最高の支援なのだろう。



林君との駄話に
あんまり花を咲かせるのも彼に申し訳ない。

そこそこに切り上げて
別れの言葉の結びで界隈の旨い店を聞くと
駅に向かう途中の「軍ちゃん」は港であがった
旨い魚を喰わしてくれるぞと言うので覗いてみると
往路では出ていた暖簾が復路では見当たらない。

私の大きな手で小さく見えてしまう
馬鹿でかい時計に目を落とすと14:20。

ランチは14時までだったのだ。

刀を切り返そうにも
東京とはかけ離れた静寂の街は
立ち喰い蕎麦と駅弁屋くらいしか見つけさせてくれない。

次の行く先。
金沢まで何も胃に入れないという選択肢もあるのだが
そんな事をしてしまったら87kgの体重は
キープできなくなってしまう。

吟味に吟味を重ねた結果、
駅弁甲子園とやらの親子部門優勝を果たしたという
鱈めしを車中でいただくことにした。



中を開けてみると
棒鱈にたらのこ、鱈の親子漬、梅干に錦糸玉子、わさび漬けと
その名の通り鱈尽くしそのまんまだった。

食品添加物の本で
たらこが1番良くないと教えられてからは
福岡の稚加榮の明太子以外は好んで
手を伸ばさなくなったのだが、
見た目以上にプリッと食べられる棒鱈を
さっぱりと流してくれるわさび漬けと酢の親子漬けは
バランスの良さばかり感じさせてくれた。

想像以上に穏やかな
北陸本線はくたかから見る秋の日本海。

積雪時は止まってしまうと聞く評判とは裏腹に
いたって順調に景色が流れていった。



夕方に金沢に着き
今回の旅をきっかけに
今年最大の失敗した買い物から
以外に使えるものに変わったi-Phoneを片手に
駅周辺の事情をチェックする。

知りたかった情報は
ジーンズ1本に変わる部屋着探しだ。

金沢駅周辺のショッピングゾーンは
駅前のフォーラスと百番街、香林坊界隈と
2つの中間にある名鉄丸越。

手頃なものを求めようと
まさか金沢に来てまで無印良品に行くとは
全く思ってもいなかったのだが、
これで落ち着いてパソコンに向かえる。

ホテルにチェックインし、
次々と転送された業務の山を
フルマラソンほどの時間と引き換えに
晩飯。晩飯というどこの団体だか判らない
念仏を唱えながら一直線に片付けた。

i-phoneの良さは添付ファイルが開けて
電話で解決できる要件を手元で常にチェックできることだ。

私のように10年以上docomoを使ってきた輩の中には
パケ放題を落として2台目携帯として
購入した方もいるのだろうが、
フルブラウザの2段階定額は
ちょいと使えば必ず上限に行く始末。

冒頭の最大の失敗とは
i-phone=予想以上の金食い虫の図式を
私の中で覆せなかったことからだったのだ。

情報に溢れた都会では
ipodタッチ化していた電話機が
情報のない地方に来てみて大活躍。

断言できることは
2台所有するのはやめた方が良いということだけだ。



夜の帳が闇夜に馴染んできた頃に
ようやく仕事も片付いた。

金沢の歓楽街は香林坊のちょいと先の片町界隈だ。

今回、金沢駅前に宿を取ってしまったのだが
夜遊びが染み付いた輩は車で8分ほどの
片町近隣に宿を取った方が良いのだろう。

金沢1食目は決めていた。

創業昭和2年。
80年弱の歴史を持つ
金沢おでんの親玉、赤玉本店だ。

片町の交差点に佇むこのお店。

いったいどんなお店なのだろうか・・・?



こちらのお店1階と2階に分かれているのだが
面白いのがそれぞれ独立した体をなしていることだ。

1階のカウンターに陣取り
おしぼりで親父っぽさを最大限に醸し出しながら
メニューに目を通すとおでん、すじ煮、湯豆腐は
別格に扱われていた。

今回の旅でどうしようもなく口惜しいのは
越前ガニの開漁まであと僅かであることと
寒ぶりには時期が早すぎること。

どちらも両隣の福井と富山の名産なのだが
白海老やいか、季節の甘海老など北陸ならではのものは
明日に持ち越して、この東京でも食べれそうな獲物を
いただくことにした。

最初にやってきたのは一品100円からのおでんだ。

ロール巻・魚団子・大根・厚揚げ・いとこんなど
我ながら控えめに注文していた。



出汁をすすると
加賀おでんの出汁の味は
思いのほかあっさりと味付けられていることが判る。

ただし上品さこそ感じながらも
大根のエグさが移ってしまった出汁の味は
諸手を挙げるようなシロモノではなかった。

と、言いたいことを言いながらも
玉子などの好物を第2弾でしっかりと
注文させていただいたのだが・・・




続いてやってきたのは
赤玉伝統の味と紹介されていた牛すじ煮込み500円。

おでんと比べるとすじの処理の良さで
テロンテロンの牛すじがビールをぐいぐい
進ませてくれるのだが、
びっくり仰天はさせてくれない。

続けざまに元祖湯豆腐 450円。

熱いので絶対に土鍋に触れないでくださいと
注意を促されてやってきた。



絹豆腐がアツアツの出汁にどっぷりと浸り
葱に鰹節と海苔、葱に隠したゆずの皮が見て取れた。

立ち昇る優しい香りにつられて
豆腐を崩してパクリ・・・

!?

ぬわぁんだこれは!?

おでんとモツ煮で
東京あたりの居酒屋にいるような感覚だったのに
いきなり百万石の街に引き戻されてしまった。



うまい!旨すぎるのだ。

こいつの決め手はなんと言っても
甘めの出汁の味だろう。

甘いんだけど甘くない、
いや、甘すぎない出汁の味は
疲れた体に鋭気を戻してくれた。

また、上に載っている海苔が何とも旨い。

純朴な豆腐に天日干ししただけの海の恵みが
優しい甘さと温かさを伴ってじわっと
胃にもぐりこむこの湯豆腐。

わざわざ食べに来た甲斐が
十二分にあった。



私は三十数年間の人生で
お店で湯豆腐をおかわりしたことはなかったのだが
生まれて初めて純米酒と共におかわりをした。

鍋底を見て納得した。

あの甘すぎない甘さを
優しく感じさせるために下支えしているものは
極厚の昆布だった。

みりんや醤油や砂糖と塩のコントロールだけでは
なかなかあんなに優しくはなれないのだろう。

赤玉本店の湯豆腐。

周りの人におせっかいで
食べた方がいいですよ!などと
口をつきそうな旨さだったのだ。

ご馳走様でした。

赤玉本店
石川県金沢市片町2-21-2
TEL076-223-3330
11:30~翌1:30(日は23:00まで)
月曜定休

おでん ¥100~
牛すじ煮 ¥500

甚平満足度 ★★★☆☆
甚平満腹度 ★★★▲☆

元祖湯豆腐 ¥450

甚平満足度 ★★★★▲
甚平満腹度 ★★☆☆☆

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