モノクロ

中学か高校の頃、テレビで深夜に映画をやっている局があって良く見ていた。うちはテレビの視聴は非常に厳しく、流行っている番組などはあまり見れなかったのだけれど父母は10時には寝てしまうので夜中にこっそりと見ていてもあまりばれなかった。


その頃ミニシアター系の映画が流行りだした頃でアメリカ超大作よりも単館でやっているような映画が好きだったので、お金がなく映画館まで行けない身にはありがたかった。その頃はＮＨＫでも昔の映画を良くやっていたような気がする。ヒッチコックやチャップリンや小津安二郎の映画はほとんどＮＨＫで見たんじゃないかと思う。昔の映画が好きなのでオードリー ヘップバーンやフレッド アステアなどの映画もテレビで見た。


今から30年前位のその頃は、そんな風に白黒映画を見る機会は結構あったのに、今ではすっかりやっているのを見なくなった。テレビでやってる白黒映画なんて最近はまったくないのではないだろうか。あえて白黒で撮っているジム ジャームッシュの映画も好きだった。若い頃リアルタイムで昔の映画を見ていた父とたまに映画の話をすることがあって、一度だけジム ジャームッシュの映画を父と見に行ったことがある。今思うとなんで父を連れて行こうと思ったのか分からないが。中学高校の頃、映画に夢中になっている友達が誰もいなかった。それでかもしれない。観たのは確かダウン バイ ロー だった。白黒は白黒でもやはり父には斬新だったようで、父に映画の感想を求めたところ「で、結局何が言いたかったんだ？」と答えた。今思い出してもちょっと可笑しい。



そういえば、娘が最近、「恋する惑星」って見たことある？と聞いてきた。あるよ、と答えたがもう20年以上前の映画なんだと思った。いまの子はSNSなどがあるので誰かがいいよと言っているとそういう所から情報が入って興味が湧くのだろう。あの映画は多分今見てもおしゃれな映画ではないだろうか。映画いっぱい見ておいた方がいいよ、と娘に言った。と言いながら自分は子供が出来てから映画を観に行くのも借りるのもうんと遠ざかっている。


最近もっと映画が見たいと思い、配信型の映画見放題のサービスにお試しで入ってみたが、私は勘違いしていたようで、レンタルビデオ屋みたいに旧作からマイナーなものまで何でも網羅している訳ではないらしく、あまり私の見たい物がないのだと気づいた。当然昔のモノクロなどほぼ無い。他に変えてみるかどうしようか考えている。


でも映画っていいな。何十年前の映画を今見ても良いと思えて世代を超えて共有できるのだから。娘にも、昔の良い映画たくさん見て欲しい。