Rはどこか、バーの外にいるような感じだった。
酔った勢いで報告、
そんな思い出リストの中に俺がまだいたっぽい。
今まで会ってなかったんだからそのまま別れてもよかったじゃん。
そんなこと言われると寂しくなる。
律儀なことすんなよ、夕イ人のくせに。
もっといい加減でいてくれよ。
『元気でね。すぐ電話する。メールする。
ずっとリュウのこと忘れないから!』
優しいこと言うなよ、夕イ人のくせに。
って、
夕イ人だから優しいんだよね。
誰にも優しい。
実際それほど想ってなくても誰にでも簡単に優しくできる。
そこに心はなくても優しさはあったり。
優しさはあっても深い意味はなかったり。
それにどれだけ振り回されてきたか。
優しくすんなよ。
律儀なことすんなよ・・・
恋愛免疫のないヤツだったら直撃してここでまたややこしいことになるぞ、お前。 ←平常心。
そこから一気に話始めた。
Rは英語につまると夕イ語をまぜながら何度も分かる?とくり返した。
ほとんど何を言ってるのか分からなかったけど
話が途切れないようにウンウンと相槌を続けた。
それでもRの声が全て言いたい言葉どおりに頭の中に入ってくる気がした。
前に話した彼女と結婚するって。
同じ故郷出身のコで、田舎に戻って住むことにしたんだって。
共に都会でひとりで生きてて同郷のコに会ったら魅かれ合うだろな。
式は挙げないで田舎でみんなで食事会だって。
それが式だろとツッコミかけたが
この状況で大阪人魂をいかんなく発揮してる場合ではなかった。 ←ギリギリ。
一緒に来てほしい、リュウも一緒に暮らそうって。
たとえ思ってなくても嬉しかった。
そこに意味はない。
その場の思いつきや成り行きで相手が喜びそうなこと言う人たちに俺もう慣れてるし。
お前感情どっち寄りかに統一しろよとか言われそう。 ←そこ重要?
やっぱり俺に会いたいって言い出して、
俺も最後になるかもと思って迷ったけど、二人とも行動には移さなかった。
最後は笑って電話を切った。
翌朝、Rは彼女と遠い遠い田舎へ帰った。