マラッカ海峡。
そこには植民地時代以来、多くの歴史が刻み込まれている。
1781年7月6日、西インド諸島、ジャマイカ沖を航行中の船上で、男児が生まれた。
名はトーマス・スタンフォード・ラッフルズ(Thomas Stamford Raffles)。
父は船長であったが、家は貧しく、彼が14歳の時、東インド会社ロンドン本社で臨時社員として働くこととなった。彼は、学問への思いが強く、昼は働き、夜はすべての時間を勉強に費やし、独学を続けた。その努力が実り、1805年、ラッフルズ24歳、ペナン島の書記補に抜擢され、東洋へ赴くこととなる。
インドのカルカッタにあったイギリスの東インド会社は、東南アジアの海上交易上重要なマレー半島のマラッカ海峡の北部にあるペナンと、中部にあるマラッカを支配下に置いていた。