Tenkuu Cafe - a view from above

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春、列島を横断する (18) - 久慈・小袖海岸

2011-05-29 | 東北


咲いだ花より、咲ぐ花よりも、咲いで実をもつ花がよい・・・・・だ。



初めて私がこの北山ひでさんを見かけたのは、雪の深い二月でした。私は日本のチベットと云われる北ノ果てのへき地を旅して歩いたのですが。
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海猫の群が訪れるほかは、去年まで誰一人この北の果てを訪れたものはないということでした。というのはこの道が出来るまでは全く山に閉ざされ、北の浜は孤立しただったということです。

私はこの、酒に酔ったお婆さんを見かけた時、一定の距離をおいたまま、声をかけずに黙って歩いて行きました。
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あのひでさんが北の浜の一二を競う海女だということを、あとで知ったのですが、いつの間にかその足の早い後ろ姿は雪のトンネルの中に消え、やがて、私浜の入り口にあるバラックの組合に着くころは、もう見失っていたのです。

(水木洋子作『北限の海女』より)






岩手県北東部、久慈湾にのぞむ玉の脇から南部の小袖集落にかけては、段丘崖や、海水の侵食を受けた花崗岩の岩礁、海食洞などの変化に富む岩石海岸をなし、1971(昭和46)年、陸中海岸国立公園に指定された。

二子、大尻、小袖は、磯漁業や定置網による漁業集落で、磯漁に従事する女性たちの姿は『北限の海女』(水木洋子作)としてラジオドラマとなり有名になった。