Tenkuu Cafe - a view from above

ようこそ『天空の喫茶室』へ。

-空から見るからこそ見えてくるものがある-

春、列島を横断する (15) - 栗駒山

2011-05-22 | 東北


故遠藤周作氏の代表作である『侍』は、この「慶長遣欧使節団」の支倉常長とルイス・ソテロをモデルに描いた作品である。

支倉常長は、長谷倉六右衛門という侍として、また、常長と共に海を渡った宣教師のルイス・ソテロは、小説ではベラスコという名前で登場する。
そして、貧しい土地の侍として生まれた六右衛門と野心的なベラスコの二人が、長い旅路の中で、その苦難と失意に満ちた日々をそれぞれの視点で胸中を語ることで物語が展開する。

「侍」のキリスト教徒に対する疑問、宣教師ベラスコの神への祈りが小説の中で交錯することで、時代に翻弄された男たちの人生、その中での信仰の意味を考えさせられる。



遠藤周作氏は『侍』執筆に先立ち、牡鹿半島の月ノ浦(侍が出航した港)や旧支倉村を訪れ、メキシコ、ローマなどへの取材を重ね、約5年の歳月をかけてこの小説を書き上げたという。