ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ひとまず合格

2012-09-07 21:50:47 | Weblog
これまでの経験上、
私がちゃんと仕事を教えた人は、たいてい仕事が好きになってくれる。
私という人間を苦手になったとしても、
仕事じたいは「好きなもの」「チャレンジしたいもの」として残る。
これはきっと、説明する私が、仕事を大好きだからだと思っている。

さて、今日は、
中国人の後輩に、ガッツリと現場仕事をレクチャーした。
日本語は翻訳家を目指していただけあって、かなり上手い。
でも、仕事の経験に関しては、ほぼまっさらだ。

いい仕事をするためには、段取りが非常に重要で、
段取り上手になるには、自分の仕事の前行程と後行程を知ることが重要だ。
でも、中国人は基本的に自分以外の人には冷淡で、
他人のために自分の仕事が増えるのを嫌う。
その他人が、自分よりも学歴が低いとなると、極端なまでだ。

例えば、女子でもお客さんに出したグラス1つ、片付けるのも嫌がる。
日本人が、「応接室を使ったあなたが片付ければ、すぐにお客さんを通せるじゃない」と言っても、
「それは、私みたいな大卒の人間がやることではない」と言い切る。
このへんの身分意識は、日本人の予想をはるかに超える。

で、中国人の後輩が、どこまで現場仕事に心を開けるかが今日の課題だった。

午前を終わった段階で、前半の仕事をおさらいした。
ひととおり説明が終わったところで、
後輩から「あなたは、その知識をどこで学んだのですか?」と聞かれた。
私は「ぜんぶ現場の人たちに教えてもらったんだよ」と答えた。
そしたら、後輩はすごく驚いた顔をした。

中国は、まだ社会が成熟しておらず、
かつ過去のいいものは文革ですべて失われてしまったので、
社会で先輩が後輩に何かを教えることがない。
基本的には、学歴の延長で歩いて行くが多いし、
相手を出し抜くことが賢さの証のような風潮があるので、
他人にノウハウを与えるなどという感覚は皆無に近い。

次に、「では、この仕事で何が一番必要なんですか?」と聞かれたので、
「企画力。つまり、考える力、相手を喜ばせる力、そのために段取りを組む力」と答えた。
「企画力、ですか。どうやったら身につくのですか?」と聞かれたので、
「それはまだ身についてないから答えられない。でも、それぞれの工程をやっているプロに
各工程のツボを教えてもらったら、とりあえずはかたちになるかな、と思ってる」と答えた。
そしたら、「なるほど。では、私は学ぶべきことがたくさんありますね」と。

で、こんなカッコいい会話が終わった後に、
日本人と仕事をするようなペースでは決して進まず、
相変わらず中国人はマイペースすぎるほどのマイペースなんだけど、
興味の扉が開かれたようなので、今日のところはこれでよしとする。