多島 斗志之著、東京創元社刊。
久しぶりに本格以外のミステリが読みたくなったので、購入しました。
印象は、とにかく「上品な文章」だということです。
過激な表現で驚かせて、読者を引き込む方法も、
もちろん文章表現としては、あり得るべき方法ではありますが、
この小説は、人の心の機微を、とても慎ましく、
しかも瑞々しく描いているので、読後感がとても爽やかでした。
1952年の夏休みに、当時14歳の少年が、六甲山の別荘地で
一人の少女に出会い、そこからはじまる淡い初恋。
そして、彼らの親の世代の、少し複雑な人間関係。
いつか少年たちも踏み込む、大人の少しかげりのある世界。
すべてがうまく調和していて、本当に素敵な文章でした。
ぜんぜん内容も表現も違うけれども、
久しぶりに宮本輝さんの『錦秋』を思い出しました。
『錦繍』は大人を描いた文章だけれども、
この『黒百合』は、少年を描いた文章。
でも、人の心の機微をうまく描いた小説として、
なんだか通じるものがあるような気がしました。
久しぶりに本格以外のミステリが読みたくなったので、購入しました。
印象は、とにかく「上品な文章」だということです。
過激な表現で驚かせて、読者を引き込む方法も、
もちろん文章表現としては、あり得るべき方法ではありますが、
この小説は、人の心の機微を、とても慎ましく、
しかも瑞々しく描いているので、読後感がとても爽やかでした。
1952年の夏休みに、当時14歳の少年が、六甲山の別荘地で
一人の少女に出会い、そこからはじまる淡い初恋。
そして、彼らの親の世代の、少し複雑な人間関係。
いつか少年たちも踏み込む、大人の少しかげりのある世界。
すべてがうまく調和していて、本当に素敵な文章でした。
ぜんぜん内容も表現も違うけれども、
久しぶりに宮本輝さんの『錦秋』を思い出しました。
『錦繍』は大人を描いた文章だけれども、
この『黒百合』は、少年を描いた文章。
でも、人の心の機微をうまく描いた小説として、
なんだか通じるものがあるような気がしました。