ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

〈宗教化〉する現代思想

2008-11-13 00:06:01 | Weblog
これは、昨日、大阪からの帰りの新幹線で読んだ本。
光文社新書、仲正昌樹著。

感想を一言で言うと「読みやすい!」
私は西洋哲学を体系的に学んだ訳ではなく、
芋づる式で興味がある哲学関連の本を乱読してきたので、
この本の、シンプルにまとめられた哲学の流れの紹介は、
たいへん助かりました。

ギリシアから続く西洋の哲学史について、
日本の学校教育で、一連の流れとして学ぶことはないけれども、
欧米人と話すときには、それは知識としてのデフォルトなわけで、
それがとても、日本人にとってはコンプレックスに感じられると思う。
(少なくとも、20歳当時の私にはそうでした)
ついでに、日本人は東洋哲学の流れも体系的におさえていないし、
じゃあ、日本はどうなの。東洋はどうなの。と、
欧米人から質問されると、もっと困る・・・。

ということで、西洋哲学の流れを
ここまで平易にまとめてくれたことに対して、
まずは著者に感謝を気持ちを述べたいと思います。

それに「サヨク」に対する嫌悪感に近い感情は、
とても共感できるところがありました。
そうそう、彼らの、自分たちが理性的だと勘違いしてて、
「サヨク」という宗教にはまっていることに、
気づいてないのが困るんだよね。
という感覚は、
私が高校時代、教師のみなさんに対して持っていた感情まさにそのまま。
痛快でした。

それに、形而上学についての説明はよかった。
ジャック・デリダの脱構築についても、ここまで素人にも
わかりやすく説いた本はないのではないかとも思いました。
いろいろな意味で、ツボにはまった一冊。

著者の相対的な考え方に対する立ち位置は、
もともと統一教会の信者だった方だというけれども、
むしろ仏教的な印象すら受けました。
きっと「中論」なんかも、うまくわかりやすく
書いてくれるに違いない。
そうだなあ。もし機会があったら「華厳経」について
書いて欲しいな。

いつもは退屈な新幹線の時間が、
とても楽しい時間になりました。感謝です!