ヒマヒマノキ ~歩いて、見て、楽しんで~

庭園・街の花、まつり・名所。いろいろな出会いを,その時々の想いを交えて、皆様にお届けします。

エッセー ~喜多方、日中線のしだれ桜~

2017-04-07 | 日記
知人のKさんを会津若松市の病院に見舞いました。何度目になるでしょうか。決して容態がすぐれない彼の希望は桜を見に行くこと。その桜というのは、以前Kさんが連れて行ってくれた喜多方の「日中線のしだれ桜」なんです。

            

まだ蕾状態のしだれ桜が開花するのは今月の中旬くらいと予想されています。 「ふくしまの旅」という福島県観光情報サイトに写真がのっています。それが上の写真です。
旧国鉄時代に廃止された日中線の跡地。しだれ桜はその約3キロの遊歩道に見ることができます。それは見事な桜です。
Kさんはその思い出をもう一度目の当たりにしたいのです。彼の体力を考え、時期的に無理ということを納得してもらうために、会津若松市内の鶴ヶ城(若松城)の桜の状態を見てもらうことにしました。

鶴ヶ城はこれからが「さくらまつり」になります。

        



隣接する博物館の駐車場に車を止めました。そしてゆっくりとお城の周囲を車いすで見てもらいました。車窓からもお城を眺めてもらいました。残念ながら開花している花を見つけることはできませんでした。Kさんは薄目をあけ、残念そうに桜を見やりながら、それでも開花した時の模様などをぽつりと口にしていました。









納得してくれたと思った私たちに「もういいから、喜多方へ行こう。」とKさんの言葉。あわてた私たちは「咲いていないし、体がつらいよ」。
今の体力ではとうてい無理なことはKさん自身わかっていたはずです。でもひょっとして、Kさんは、喜多方の桜が鶴ヶ城の桜とどんな風に違って見事なのか、話したかったのではないか。楽しかった思い出を語りたかったのではないか。

病院を後にしながら、Kさんの望みは、自分が見たかったのではなく、しだれ桜をもう一度私たちに紹介したい・話したいということだったように思えてきました。
私は「相手に寄り添う」というケアの意味を今更のように考えていました。
コメント
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