ヒマヒマノキ ~歩いて、見て、楽しんで~

庭園・街の花、まつり・名所。いろいろな出会いを,その時々の想いを交えて、皆様にお届けします。

金澤翔子さんの書展に行ってきました ~上野の森美術館(東京)~

2017-09-27 | 公園・庭園・名所
5年前にNHKの大河ドラマ「平清盛」の題字を担当したことで、全国にその名を知られることになった金澤翔子さん。その翔子さんの書展が上野の森美術館で開催されていました。
山手線の上野駅で降り、公園口から歩いて数分。平日にもかかわらず、会場には書を鑑賞するたくさんの人で溢れていました。
       
会場で彼女の書を目の当たりにしました。何と表現したらいいのでしょうか。
書道の作品というと、その評として、美しいとか、気品に満ちているとか、高尚なものを感じさせるなどという言葉が思い浮かびます。しかし、彼女の書を前にして、そうした言葉では言い表せないものを感ぜずにはいられませんでした。

「風神雷神」の書は神様が降りてきたのでしょうか。「道心・仏心・慈愛・愛」などには仏様の祈り感じます。「命・飛翔」にはしなやかに生きようとするものを感じます。
それらの書は、優しく、賢く、力強く、そして時に激しく、見るものの心に迫ってきます。「今を生きる」という純心な想いが伝わってきます。
それは彼女自身の心の在り様なのかもしれません。



























彼女を支え続けてこられたお母さんのエッセイ「心は天につながっている」(PHP:2016年10月)の中に、「日本一幸せ」というエッセーがあります。そこにはこう書かれています。

   翔子誕生で、涙にくれてダウン症の告知を受け、その日から余りの苦しさに
   日記をつけ始めていた。告知の日に「今日、私は日本で一番悲しい母だろう」
   と書いてあった。
    その後もおろおろと悲しみ、この世から消えようと、もがいていた。あの日
   から26年経った今、我が子に幸せかと問われて「母さんは日本一幸せだよ」と
   答えられる。死のうとしても死ねなかった私はしみじみと思う。「生きてさえ
   いれば絶望はない」と。

せつないまでの親としての想いを吐露した文章です。私には、翔子さんの在り様が、お母さんに気づきをもたらしその在り様を変えているように思うのです。守ってやらなければならないという呪縛から解放しているように思うのです。
彼女は「心の書家」なのではないでしょうか。展示されている書の中で、「共に生きる」という書が、今私の脳裏に焼き付いています。

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夏の終わりに ~埼玉・川越氷川神社 風鈴まつり~

2017-09-10 | まつり・イベント
ようやく涼しい日が続いたかと思うと、また暑さがぶり返したり。それでも少しづつ秋の気配が感じられるようになってきました。
夏の終わりに、涼やかな風鈴の音を聞いておこうと、川越の氷川神社の風鈴まつりに行ってみました。西武池袋線を所沢で乗り換えて、終点の本川越駅でおり、今回はタクシーで神社に向かいました。街をそぞろ歩く人出の中に、浴衣姿の若者が随分と見られます。どうやら風鈴まつりの仕掛けの一つのようです。川越は本当に観光上手な町ですね。



川越の氷川神社と言えば、その祭礼として行われる川越まつりの山車行事が有名ですが、神社はそもそも縁結びの神様です。この風鈴まつりは、神様のそのお力をいただくべく、良縁祈願のまつりとして4年前から行われているものなのだそうです。









境内はカップルで溢れかえっていました。既に良縁で結ばれている人たちでしょうから、今更わざわざ願をかけなくともいいのではないかと思うのですが、それは野暮というものでしょう。
境内の風鈴の音に心打たれるのかと思いきや、特設された回廊には、願い事が書かれた札がつけられた風鈴が、それこそ鈴なりになっています。その回廊を大勢の人が少しづつ進んで行きます。とにもかくにも人・人・人なのです。
やっとたどりついた回廊の出口にはいろいろな種類のおみくじが置かれていて、これまた若いカップルが、良いお告げのおみくじを引きますようにと、真剣におみくじを選んでいます。見回すと、中高年の参拝客は少ないようです。
そういえば、行きに乗ったタクシーの運転手さんが、私の方を見て「風鈴まつりは、若い人の縁結びですよ」と冗談交じりに言ってましたっけ。「あはは、分かってますよ。風鈴を見に来たんですよ」と返事したものの、そんなに枯れて見えるのかと、がっくり。もっとも誰が見てもそうなんですが(笑)。
それでも神様のおかげで、若い人のパワーを少しいただいたような気がして「元気いっぱいで」帰ってきました。帰り道で、来世は世の中の人が驚くような縁が待っているはずとつぶやきましたら、家人に「そう、よかったわね。願ってるわ」と笑われてしまいました。



















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