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つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

お江戸ファンタジー。 ~ 娘飛脚。

2020年09月19日 05時25分00秒 | 手すさびにて候。

ひと昔前、女性は結婚したら家庭に入るのが常識といわれた。
しかし「専業主婦」の概念が誕生したのは、それほど古くない。
明治末~大正期、100年前頃に端を発すると聞く。
それ以前 --- 江戸時代は共働きが当たり前。
令和の今と同じく、女性たちも社会で大いに活躍していた。

@お女中(商家や武家の屋敷への奉公)
@行商(移動販売)
@接客(飲食配膳、販売)
@職人(内職も含む)
@代行業(洗濯、子守、乳母、縫物)
@エンタメ業(音曲、舞、三味線の師匠)
@水商売(遊女、湯女、私娼)

--- といったところが、都市での主な職業になるだろうか。
また、農村部では野良仕事の働き手。
山間部では重い荷物を運ぶ仕事にも従事した。
実に様々なシーンに、女性の姿があった。

一方、彼女たちを受け容れなかった世界もある。
例えば「武士」に「火消」や「力士」、
そして「飛脚」が典型だろう。

電信のない時代、情報伝達は「人力」頼みだった。
馬や舟といった手段もあるが、かかる経費や使用に制限があることを考えると、
利便性は、人による運搬に軍配が上がる。
また、未舗装路や、山野を移動するのは人の方が理にかなっていた。
その役目を担ったのが「飛脚」。
現在の東京⇔大阪間をリレーし、3日で駆け抜ける健脚ぶりだったという。

当時、女性の移動の自由が制限されていた社会背景。
もろ肌脱いで、彫り物を背負うスタイルなどから、
飛脚は「男の仕事」だった。

しかし、もしも男顔負けの女性ランナーがいたとしたら?!
さぞ人気を集めたに違いない。

ほんの手すさび手慰み。
不定期イラスト連載、第百五十二弾はファンタジーとしての「娘飛脚」。
強くてカッコいい女性アスリートは、いつだって憧れの的なのだ。
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新しいものと、新しくして受け継がれたもの。

2020年09月13日 15時04分37秒 | 日記
一週間ほど前の散歩の際、
津幡町・加賀爪の「白鳥神社」で変化に気が付く。

「白鳥神社由緒」が新調されたのだ。
裏面には以下の記載があった。

<平成十二年に設置した〇〇〇氏寄進
 故〇〇〇氏揮毫による「白鳥神社由緒」
 経年損傷顕著なためここに改めて
 立て直すものであります。
 令和二年八月吉日 寄進者〇〇〇>
(※作注:伏字個人名)

20年でのリニューアル。
先代設置の年は、いわゆるミレニアムだ。
@シドニーオリンピック開催
@iモードブーム
@イチローが野手として日本人初の大リーガーに
@BSデジタル放送開始
--- など、平成12年(2000年)当時の出来事を振り返ると、なかなか懐かしい。

今朝、訪れてみるとブルーシートが外されていた。
近寄ると、ほのかに木材の香りが漂い、いかにも真新しく清々しい。
その序盤を掲載する。

<当社は日本武尊を祠り、古く白鳥大明神と称し、
 清和天皇貞観十八年(876)七月二十一日
 神位を従五位下に昇叙せられた国史見在者にあてられる社名で、
 広く井上庄の総社として仰がれ、特に雨乞の霊験をもって知られ、
 嘉永七年(1859)に奉納せられた雨乞報謝の絵馬が現存し
 町指定文化財になっている。>
(※後略)

由緒に記されているとおり、神社の歴史は古い。
貞観十八年は、平安時代。
嘉永七年といえば、黒船来航。
長年ここに坐(おわ)し、地域住民によって整備が行われ、
代々受け継がれてきたのだ。


話題は変わって、津幡町・清水の「もみの木カフェ」。
ベルギー人の「ロホンさん」手作りするベルギーワッフルの専門店が、
ここに暖簾を構えたのは、もう8年前くらいになるだろうか。
人波の絶えないなかなかの人気店である。

店舗前面のオープンカフェに、仕切りができた。
サッシガラス面には、ベルギーにちなんだ絵が並ぶ。
それぞれのモチーフを、個人的な解釈に基づき推察してみる。

@フライドポテトのメーカー「ルトサ」。
 同店でも数年前から販売をはじめたベルギーポテト。
 マヨネーズをつけるのがベルギー流。

@ダイヤモンドファクトリー。
 世界で流通するダイヤモンドの7割~8割がベルギーでのカットと研磨。
 本場・アントワープには世界中からダイヤモンドの原石が集まる。

@manneken-pis小便小僧
 ブリュッセルを包囲する敵軍が、城壁を落とそうと火薬の導火線に火をつけた時、
 王子がおしっこをかけて消し、味方を勝利に導いた。
 そんな逸話がある小便小僧は、ブリュッセルのマスコット的存在になった。

@patisserieパティスリー
 ケーキや洋菓子を専門に扱うベーカリーの一種。
 ベルギーでは、パティシエの資格をもつ職人がいる店のみが名のれる呼称。

@bieren bieres beers
 ベルギーはビール王国。
 『多様性』と『独自性』を併せ持つと評価され、ユネスコの無形文化遺産に登録された。

日よけ、風よけ、雨よけ、目隠しの役目を果たす新しい備え。
内側のテーブル席では、美味しいワッフルやフライドポテトをいただきながら、
快適な時間が過ごせるだろう。
ますますの商売繁盛を祈っている。
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もののあはれ。

2020年09月12日 15時26分41秒 | 日記
拙ブログのタイトル「つばた徒然@つれづれ津幡」は、
「吉田兼好(よしだ・けんこう)」が著した「徒然草(つれづれぐさ)」に着想を得ている。

筆者は、鎌倉末期~南北朝時代に生きた人物。
「徒然草」は、彼が気の向くまま思いつくままに、物事を綴った随筆集。
ちなみに「徒然」とは「差し迫った用事がなく、手持ちぶさたな様子」。
「草」は植物でなはなく「帳面(ノート)」とでも言えばいいだろうか。
--- その19段目は、こう書き出している。

<折節のうつりかはるこそ、ものごとにあはれなれ。>
(季節の移り変わりこそ、何事につけても味わい深いものだ。)

「もののあはれ」は、何かに気づく事によって心に生まれ出る様々な感情。
能動的ではなく、受動的に心を動かされること。
日々の散歩では、そんな「もののあはれ」に遭遇するのは珍しくない。
今回は、最近接した一端を紹介しようと思う。


津幡銀座中央商店街のワンコディスプレイ、今月は「祭り装束」。
初秋の獅子舞を意識したものだが、既報のとおり今年はコロナ禍により開催中止。
せめてもの慰めだ。
犬たちの背後のポスターには「祈り」が認め(したため)られている。

本来なら、一週間後が本番だった。


津幡小学校裏にある廃屋(と思われる)。
一階出入口付近は蔦(つた)が覆い、二階の窓からは破れたカーテンや廃材が見え隠れ。
人の手がかかららくなり年月が経った様子が見て取れた。
僕は、ここが「現役」だった頃を覚えている。

消えかかった「高級呉服」の文字が、哀愁を誘う。


「ファミリーマート本津幡駅前店」傍の配電盤。
同店開業当初、前チェーンブランドのお手製ガムテープ看板である。
アメリカ・アリゾナの夕景を表した「K」のロゴが、
町内~国内から消えて、もう3年近くが経つ。


このポスターも、あと数日で世の中から消えるだろう。
積み残された責任を果たしてくれるのは、誰なのだろうか?

折節の移り変わるこそ、ものごとに憐れなれ。
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津幡短信vol.76~令和弐年・長月。

2020年09月06日 14時42分33秒 | 津幡短信。
津幡町に関するよしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は残暑厳しい中に漂いはじめた秋の気配についての4本。

【秋の雲。】


「弘願寺」の鐘楼越しに望む空。
やや輪郭は曖昧になっているが「ひつじ雲」だ。
うろこ雲、さば雲、いわし雲、ひつじ雲といった秋の雲は、
低気圧や前線が近づいている時に現れやすい。
ゆえに昔から、天気が悪化する報せといわれる。

現在(2020/9/6/14:00)、大型で強い勢力の「台風10号」が、
沖縄~南西諸島上空を北へ進んでいる。
九州をかすめ、朝鮮半島~大陸へ向かう予報だが、大きな被害が出ない事を祈る。

【桜は季節を告げる。】


本津幡駅前で撮影した「一本桜」の落葉。
葉が茂る前に咲く淡い色の花で春の訪れを。
広葉樹の中で真っ先に落葉し秋の訪れを。
染井吉野(ソメイヨシノ)は、季節を報せてくれる使者だ。

【実りへ向けて。】


とある民家の軒先、真夏に活躍したであろうアサガオのグリーンカーテン。
葉も花もしおれ始めると、果皮が膨らみ始める。
中の種子が成熟し、茶褐色に色づくのは一ヶ月後だろうか。

田園地帯では、稲刈りが本格化してきた。
すでに一部の早生品種は新米が出回っているが、
作付面積の大きいメインどころは、これからが収穫時期。
焼き魚と味噌汁で、うまい県産米をモリモリと喰いたい。

【成長を見て、時を知る。】


8月初旬は指の先ほどだった錦鯉の稚魚が、体長10センチクラスに育っていた。
これから秋を迎え、冬を越すころには、立派な体格と発色を見せてくれるだろう。
一輪だけ開いた睡蓮(スイレン)が、よい趣(おもむ)きだ。

<津幡短信vol.76>
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ホームラン王とトップアイドル。

2020年09月05日 09時38分13秒 | 手すさびにて候。
この記事の投稿日、9月5日は「国民栄誉賞の日」だそうだ。
第一号は、プロ野球の「王貞治」氏。
ホームラン世界記録樹立をキッカケに創設され、授賞式が行われたのが、
昭和52年(1977年)9月5日だった。

当時 --- 今から43年前の夏の事は、よく覚えている。
日本列島は太平洋高気圧に負けない熱気が充満していた。

「王選手」が749号を放ったのは、8月12日。
8月23日からの広島3連戦では、4本の固め打ち。
続く神宮でのヤクルト戦で754号。
本拠地・後楽園球場に戻った8月31日の大洋戦で、
755本目のアーチを描き、世界記録に並ぶ。

あと1本。

こうなると、もはやジャイアンツファンか否かは問題ではない。
誰もが「その時」を待ち望むようになった。

月をまたぎ、2戦連続の不発。
日本中がフラストレーションを募らせて迎えた9月3日。
異様な雰囲気に包まれるボールパークにあって、
ただ1ヶ所、左バッターボックスだけは、静謐(せいひつ)な時間が流れていた。
そこには、ピタリと姿勢を決めた一本足のフラミンゴ。
第2打席、フルカウントからの6球目だった。
圧縮バットから放たれた白球が、ライトスタンドに吸い込まれていった(LINK有)

ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載、第百五十一弾はホームランキングの活躍から生まれたヒット曲。
「ピンク・レディー」の「サウスポー」。

サウスポー(LINK有)」は、偉業達成の翌年、
昭和53年(1978年)にリリースされた。

通算7枚目のシングル。
彼女たちにとって、初のオリコン・チャート初登場1位に輝き、
9週連続首位をキープ。
同年のオリコン年間ランクでも1~3位まで「ピンク・レディー」が独占。
2人の絶頂期といっていい。

「サウスポー」は、架空の左投女性ピッチャーが主役ながら、
歌詞には“時の人”を連想させるフレーズが随所に盛り込まれている。
「背番号1の凄い奴」、「フラミンゴみたいひょいと一本足」など、
実名ではないが、明らかに「王選手」を意識していた。
作詞の「阿久悠(あく・ゆう)」氏は、「サウスポー」ヒット後、
当人から「僕の歌をありがとう」とお礼を言われたそうだ。

--- それにしても、日本のプロ野球でのホームラン世界記録更新は、
充分に衝撃的だった。
球場の広さや、プレーの質・内容が違うため、日米を単純に比較はできないが、
まだ、メジャーリーグが遥か遠い頂きだった頃のハナシだ。

そして、小学生の僕は「サウスポー」を聞き、
魔球・ハリケーンでホームラン王を手玉に取るヒロインを思い描いて、
うっとりしたのである。
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