つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

チャルメラ、トリガラ、ショーユ味。

2016年01月11日 14時13分25秒 | これは昭和と言えるだろう。

この画像は、アルプラザ津幡店前にて撮影した、焼き鳥の移動販売車だ。
もう2~3年になるだろうか。 同じ場所で商いを続けている。

店内に入る際に嗅いだ香ばしい匂いが記憶に残って、買い物中も落ち着かない。
用事を終えての帰りがけ、つい、求めてしまうのである。
先日も誘惑に負け、ぼんじり、せせり、なんこつ、レバーを各一本ずついただいた。
パクリと齧り付き、串を一気に引き抜く。
噛みしめると、肉の弾力と共に口中に広がる脂とタレのハーモニー。
鼻に抜けるスモーキーフレーバー。 
ビールも悪くないが白飯と合わせると最高だ。 タマラナイのである。

さて、こうした屋台の味は、いつも妙に心をくすぐるのものだが、
個人的なその原点と言えるのが、子供の頃に食べた「ラーメン」だ。

冬の寒い夜、時々、遠くから聞こえてくるチャルメラの音。
生演奏ではない。
ラッパスピーカーから流れるのは、やや間延びして、少し音程も狂ったあの旋律。
きっとカセットテープが伸びてしまっているのだろう。

とにかく居ても立ってもいられず、小遣い銭を握りしめ、そそくさとゴム長を履いて外へ出る。
キョロキョロと辺りを見渡し、雪道を踏みしめながら歩く事、数分。
…いた!
車は、近頃流行りのデリバリーバンじゃなく、軽四。
カフェやスイーツのオシャレロゴとは無縁のいで立ち。
赤ちょうちんに手書きと思しき「ラーメン」の文字。
真っ赤な暖簾に染め抜いた一言は「味自慢」。
これぞ昭和のラーメン屋台である。
息せき切って呼び止め、ラーメンを注文。
値段やメニューは覚えていないが、ラインナップは醤油ラーメンの大盛りか普通盛り。
丼持参の場合は、発泡スチロールの容器代がかからず10円安かった気がする。

さぁ、いよいよ調理だ。
グラグラと湯がたぎる大きな鍋へ、黄色い中細ストレート中華麺を投入。
茹で上がるまでスープの準備に取り掛かる。
丼に醤油ダレを入れ、柄杓で汲んだトリガラの出汁を目の細かいザル越しに注ぐ。
湯気と一緒にいい香りがたちこめ、鼻腔をくすぐる。
頃合いを見て、湯の中で踊る麺を平ザルですくい上げ、手際よく湯切の後に器の中へ。
透き通った琥珀色のスープの表面に、ちょっとだけ泡が立つ。
湯がいたホウレンソウ、シナチク、ナルト一切れ、チャーシュー2枚をトッピング。
最後に適量のホワイトペッパーをかけて出来上がり。
無駄のない鮮やかな動きで仕上げる様子は、まるで一種のショー。
期待に胸を躍らせ、目の前に出てきたラーメンは、得も言われぬ美味しさだった。

最近は、こんな「夜鳴きそば」をとんと見かけなくなったのが残念。
以下の画像は、以前、琵琶湖競艇への旅打ち帰りに立ち寄った、福井県・敦賀市でのスナップだ。



移動販売ではないが、路上の屋台で旨い一杯を食わせてくれる。
「敦賀ラーメン」の基本は、トンコツ+鶏ガラスープ。
嗚呼、食べたくなってきたぜ!屋台ラーメン!!

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