つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

大団円。~吉凶は糾える縄の如し。

2020年03月23日 23時51分58秒 | 賭けたり競ったり
きのう(2020年3月22日)、史上初の無観客SGが幕を下ろした。
優勝は兵庫支部の「吉川元浩(よしかわ・もとひろ)」。

スタートラインを跨いだ途端、2号艇を突き放し、
舳先を捻じ込もうとする3号艇も意に介さず、
トップスタートを切った4号艇、
唯一の地元選手の5号艇、
果敢に攻め上がろうとする6号艇、
まとめて置き去りして一人旅。
文句のつけようのない独壇場。
圧勝劇を演じ終えた記者会見の席で、
チャンピオンは人目をはばからず涙を流した。

「珍しくエース機を引いて、僕を後押ししている何かがあると思って…」。
 だが、この後の言葉が続かない。
「すみません。ちょっと待ってください。我慢していたんですが…」。
 こう絞り出すように語ると、目を拭いながら
「いい報告ができるかな」と小さくつぶやいた。

(※画像、赤文字共に「スポーツニッポン」より引用)

所属の兵庫支部では2月に死亡事故があった。
故「松本勝也さん」は恩義ある先輩レーサー。
今節、エースモーターを引き当て、相棒のポテンシャルを引き出し、
序盤の劣勢を跳ね返し、幾つかの幸運を経て手にした優勝戦1号艇。
勢いそのままに連覇。
まるで、何かに導かれるように成し遂げた偉業だった。

二着は滋賀支部の「吉川昭男(よしかわ・あきお)」。
彼もまた、期するところがあったかもしれない。
一時期マスコミを賑わせた「八百長事件」は、
同じ支部の後輩レーサーが起こした。
汚名返上。
名誉挽回。
“びわこ番長”SG初優出の裏に、そんな思いがあったとしても不思議ではない。
果たして準優勝戦では下馬評を覆し、
優勝戦では最後まで諦めず、
他艇と遮二無二競り合い、奮闘を見せてくれた。

禍(わざわい)を乗り越えようと戦った2人の「吉川」。
観客のいない平和島でのドラマを、僕は忘れないだろう。

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