今日、幼稚園の玄関のちょっと汚れた水槽の中で、一匹、オタマジャクシからカエルになりました。オタマジャクシがカエルになる、当たり前のことです。毎年、らんこ先生は20~30匹、多い年はもっと、それを見ます。けれどこの一匹は特別な一匹です。
実はこれは去年の4月、卵からかえったオタマジャクシくんなのです。普通はその年の夏までにカエルになります。けれど毎年、そこまででカエルになれないオタマジャクシがいます。そういうオタマジャクシはたいてい身体が弱く、秋までの間に死んでしまうものでした。
らんこ先生は以前は夏がすぎたオタマジャクシは、子供達に気づかれないようにどこかに逃がしたりしていました。ところが7,8年前の事。あるお母さんに、秋になるとオタマジャクシは死んでしまうのだと話していたら、Kくんがとっても怒ったのです。「死んじゃうなんて言ったらダメ!」「かわいそう!」
本人は覚えてないだろうなぁ・・・。今ではもう6年生。お父さんの転勤で七尾にはいません。Kくんの迫力に、らんこ先生はハッとさせられました。それからは、ダメかもしれなくてもさいごまでエサをあげて、水をかえることにしていました。でもやっぱり秋になると・・・。
ところが去年の秋。3匹が生きていたのです。環境を変えるとまずいかなと思って、洗ったりせずにそーっとそのままに。汚いままの水槽。そのうち一匹が死んでしまいました。残った2匹。冬の間はじーっとしていたのですが、春になったら動きだし、足が出てきたのです。今日一匹のしっぽがなくなってカエルに。
たぶん、イチバン喜んでいるのは、らんこ先生です。もう一匹もがんばってカエルになってほしい。この感動を味わうことができるのは、あの時、Kくんがらんこ先生に怒ったからですよね。ありがとう、Kくん。今でもあの優しい気持ち持っていてくれますように。