スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

こんな本もあった

2016年09月25日 | 雑感
山本七平の紹介・論評した本の中から、吉田 満 著 『 戦艦大和ノ最期 』 という一冊。
                                         
沖縄特攻作戦に参加して撃沈された巨艦 「 戦艦大和 」 の出撃から終焉までの経緯を、
副電測士として乗組んでいて、奇蹟的に生をうけた吉田氏がその体験を通してまとめた手記だ。


        

出撃前夜のこんなやりとりも ・・・。
 「 貴様ハ特攻隊ノ菊水ノ 「マーク」 ヲ胸ニ附ケテ、天皇陛下万歳ト死ネテ、ソレデ嬉シクハナイノカ 」
 「 ソレダケヂヤ嫌ダ モツト、何カガ必要ナノダ」 
  
  遂ニハ鉄拳ノ雨、乱闘ノ修羅場トナル 
 「 ヨシ、サウイウ腐ツタ性根ヲ叩キ直シテヤル 」
  臼淵大尉ノ右ノ結論ハ、出撃ノ直前、ヨクコノ論戦ヲ制シテ、収拾ニ成功セルモノナリ

死という文字が幾度も出てくる。  死を目前にした若者の息づかい。
出港・待機・開戦・出撃前夜・激戦・撃沈・漂流・巨大戦艦での生々しい様子が手に取るようでした。
 
林房雄氏(作家)の論評にこうあった。
 ≪ 一つの戦争をまともに生き抜いた者のみが次の戦争を欲しない。
                     然らざる者は「終戦」の翌日から、再び戦争を開始する。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   この慟哭を知れ。 この慟哭の彼方には、再び地上の戦争はない。
                     アメリカの友よ、この一文を読め。 友である。 敵ではない。≫ 
と。

この本初稿は終戦直後に書かれたが、占領軍・GHQの検閲で全文削除、講和条約発効年
(昭和27年)に改めて刊行されたという。  佐藤優氏が言うように≪魂の苦悩を描いた傑作≫です。
GHQによる削除および発行禁止対象のカテゴリー(30項目)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿