スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

2017年今年の漢字は 「北」

2017年12月18日 | 雑感
こんな本を読んでみた。 今年7月刊行された元国連WFP(世界食糧計画)アジア地域局長の書いた本である。

著者忍足謙郎氏は25年以上ボスニアやコソボ等の紛争地、世界各地での食糧支援の指揮をとっていたようだ。

今年の漢字は「北」、いま世界を騒がせている北朝鮮の話もあったので紹介してみる。

こんな国は世界にひとつしかないと思える特別な国ではあるが、同僚からの前評判は北朝鮮勤務は
以外と悪くないと聞いていた、という意外な話もあった。 


任地としての北朝鮮は他国に比べ静かで、暗くて、ひたすら自由もなく、仕事はやりにくいが
なにより身の危険はなく、皮肉ではあるが徹底した監視社会のおかげで、街中で襲われたり、
流れ弾に当たるような身の危険を感じることはまず無いというのだ。


銃弾が飛び交う紛争地などに比べたら、この国はずっと安全のようだ。 なるほど。

        

国連WFPが北朝鮮への食糧支援交渉を始めたのは1995年。

洪水などの自然災害での多数(数十万から百万人とも?)の餓死者が発生したというあの年で、
北朝鮮は他国に比べ移動の制限が厳しく、他国など支援体制のある地域への移動逃避もできず、
国連やNGOの駐留も認めていなかった為もあり、未曾有の人道危機へと拡大してしまったようだ。

コントロールしきれなくなった北朝鮮政府はWFPの支援を受け入れたのはいいが、食料配給のモニタリング
(配布された現場に行き、どんなふうに届けられ、どのように使われたかをランダムにて調査する)
をも拒否、「それでは支援出来かねる」 と当初はてぶらで帰るのを余儀なくされたようだ。
国際支援ルールも解っておらず、結局支援可能になったのが飢餓の発生から数年たってからのことという。 

当時の主なドナー国は、現在対立しているところの アメリカ・日本・韓国。  これも世の不思議か。
紆余曲折、現在は規模は小さいが妊婦や乳幼児を抱えた母親に向けた栄養プログラムへシフトしているようだ。

支援があるから圧政を続けられる、それでも支援すべきかの議論は意見が分かれるところ。

詳細はこの本を読んでいただきたいのだが、いま暴発寸前の北朝鮮とアメリカ、そしてぬるま湯・日本。
北はとんでもない国だが、考えて見れば戦前の日本と似ている? いや今の日本もたいして・・・。 

著者はあとがきに、こう嘆いていた。
   「日本のメディアは世界が直面している数多くの問題をあまり取り上げてくれない」
   「もう少し世界の不平等について関心をもってほしい 知ってくれるだけでもいい」


貴ノ岩暴力や松居一代、そして不倫のニュースばかりが目立ち、それを真剣に ? 見ている私たち。 






  








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