無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
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パレスチナ・イスラエル問題・・・その2

2016年08月02日 | Weblog
イスラエル問題(ベストアンサーより)

イスラエルの建国については複雑で簡単には言えませんが、第一次世界大戦前からの国際情勢が関係しています。

19世紀末のドレフォス事件などに代表されるユダヤ人迫害がヨーロッパで問題化、ユダヤ人が迫害を受けないためにも自分達の国を持つべきだと言う「シオニズム運動」が活発化します。

第一次大戦中にユダヤ人からの資金援助を得るために、イギリス政府によるユダヤ人がパレスチナの地に定住することを認めこれを援助するという「バルフォア宣言」が出されますが、
同時にアラブ人とも、当時オスマン帝国の所有地だったパレスチナを与えるという「フサイン・マクマホン協定」を結び、
さらにフランス・ロシアにも、パレスチナを植民地として三国で分割するという「サイコス・ピスコ協定」を結んでいました。
つまりパレスチナの地を異なる三者にそれぞれ与えると言う、矛盾する協定を結んでいた訳です、これが有名なイギリスの三枚舌外交。

つまりイスラエルの建国とパレスチナ問題は「アメリカには関係無いイギリスの責任」だった訳です。

第二次大戦でのユダヤ人資金の協力及びそれまでのナチス始めとするヨーロッパでのユダヤ人虐殺の罪悪感により、連合国側は1947年に国連による決議でパレスチナ分割案(ユダヤ人に有利)を示しましたが、アラブ側はこれを拒否。
1948年イスラエル建国宣言と同時に、アラブ各国のイスラエル侵攻による第一次中東戦争が勃発します。

終戦後にパレスチナはイスラエル・エジプト(ガザ地区)・ヨルダン(ヨルダン川西岸)の三者によって分割され、パレスチナ人の土地は一切無くなってしまいました、これがパレスチナ難民の発生原因。
つまりイスラエル一国だけの責任ではありません。
その後の第三次中東戦争でヨルダン川西岸、ガザ地区、シナイ半島はイスラエルにより占領されましたが、その後エジプトとの単独和平によりシナイ半島はエジプトに返還されました。
先日の国連によるパレスチナ分割案は、イスラエルの国境をこの第三次中東戦争前のエリアに戻そうという話です。


さて、イスラエル建国に直接的には関係していないアメリカがなぜイスラエルの背後にいるのかですが、これは3つの主な理由があります。
一つは良く知られているアメリカ国内のユダヤ人ロビーによるもの
陰謀論者のタワゴト程ではありませんが、ユダヤ人勢力はアメリカの政治にとっては無視できない力があります。
特に大統領選挙においてはその資金力(大統領選はほぼ2年掛りの長期戦で膨大な選挙資金が必要です)及び固定票を持つ大票田として選挙を揺さぶるだけの勢力があります。

二つ目は中東地域におけるアメリカの友好国及び情報収集拠点として必要な為。
近年の中東情勢を見るまでも無く、イスラエルは中東におけるアメリカの活動拠点としてサウジアラビアと並ぶ重要な国です。
万一ここが無くなるとアメリカは中東での軍事拠点が無くなります。
さらには中東における情報収集は、イスラエルの情報機関無くては成り立ちません。アメリカにとっての目と耳の役目を果たしているのがイスラエルです。

三つ目はイスラエルの核です。
公然の秘密としてイスラエルは核兵器を保持しています。(フランスと南アフリカの協力によるイスラエル製の核爆弾、数十発を保持していると言われている)
イスラエルは政治的駆け引きの為に保有を絶対に認めませんが、同時に否定も一切していません。
イスラエルが今まで核の使用を行わないのは、アメリカの軍事力がバックに有る為です。仮にアメリカがイスラエルから手を引けばそれは中東における核兵器の使用を意味します。
第四次中東戦争では、核使用を決断したイスラエルに対してアメリカ政府が武器支援を緊急に決定してそれを防いだとも言われています。
イスラエルの思想はそのユダヤ人迫害の歴史に立ったもので「全世界から可哀相と言われて滅ぶより、全世界から憎まれても我々は生き残る」という悲壮なものですから、核使用に躊躇いはありません。
アメリカとしてはそれを避けたいのは当たり前の話です。

個人的には仮にイスラエルが無くなった場合でも、パレスチナの地は今度は全土がレバノン同様に、アラブ人同士による内乱状態になって一層混乱が増すだけだと思いますね。