ピュイ&キュイの徒然

ポーセリン・ペインティングや美術館・お寺巡り・バードウォッチングのことなどの覚書です

第66回正倉院展

2014-10-27 20:05:56 | 美術館・博物館
奈良国立博物館で開催中の正倉院展へ。
23日には皇太子殿下がご観覧されたとの事で、号外が出ていました



25日(土)の夕方4時半頃に会場入り。
入場待ちはほぼ無いのですが、場内はそれなりに混雑してました。



今回のメイン「鳥毛立女屏風」の前には幾重にも人垣ができていて、最前列で見るまで
20分くらい掛りました

頬や唇を赤くして眉を描く・・・
お化粧の基本は現代とあまり変わらないのですね。(程度の差はありますが)



衲御礼履(のうのごらいり)
聖武天皇が大仏開眼の時に履いたと伝わってます
スェードを赤く染めて、真珠、琥珀、水晶、ガラスで装飾されていて、とてもおしゃれ。



金銀平脱皮箱(きんぎんへいだつのかわばこ)
平脱とは、皮に漆を塗り、その上に金と銀の装飾を貼る技法の事です
疑問なのは・・・皮と漆が乾燥してそれぞれ収縮するような気がします
金や銀の薄板は縮まないはず。なんで剥離しないのでしょう??
本当に不思議です。



この残欠、犬の狆かもしれないそうです。
犬と人との関係は今の時代と同じだったのかもしれませんね。



雑玉幡 残欠(ざつぎょくのばん ざんけつ)
ガラスのビーズで編んだ華籠
配色が見事ですね



白瑠璃瓶(はくるりのへい)
気泡が無数に有り、中でも底には大きな気泡があるのです
イラン、バクダッド周辺で制作されたと考えられていますが、その当時の空気が
閉じ込められているなんて!ロマンを感じます
遠く、奈良までどんな旅をしてきたのでしょう??
現代のように優れた梱包材など無かった時代。
ここに存在するのが奇跡です。
実物は薄い緑色でした



密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)
正倉院宝物には美しい箱が多く残されています
大切な物を収納する為の物ですが、現代でも箱を美しく飾る装飾技法(カルトナージュ)が
女性の間で流行しています。
私も美しいお菓子の箱を捨てられずに持っています。
箱を愛する想いは同じかな?



東大寺封戸処分勅書 
藤原仲麻呂直筆
右肩上がりで整った筆跡、几帳面だったのでしょうか?



今年の展示は、地味かな?と思いながら鑑賞しましたが、全く違いました。
白瑠璃瓶や雑玉幡の色は写真とは比べ物にならない程美しく、色があまり残ってない、と
感じた鳥毛立女屏風に描かれている生き生きとした表情。
やはり本物は違いますね、当たり前だけど・・・



(宝物の写真は図録を写しました)

正倉院展に行く予定をされてる方は
平日の午後3~4時以降か、日曜日も夕方は快適に鑑賞できると思います
ひたすら並んで入場しても、会場は大混雑で、宝物を近くで見られない事が多いのです
是非、混雑を避けてご鑑賞ください


IMARI・伊万里

2014-10-04 10:22:33 | 美術館・博物館
中之島の大阪東洋陶磁美術館で開催中の
IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器展 に行きました

有田焼きの磁器を伊万里港から積み出したことから一般に「伊万里焼」と呼ばれています

17世紀頃、ヨーロッパでは、中国の景徳鎮が大人気でしたが、明から清への政権交代の混乱によって
輸出できなくなり、その代りに有田磁器がヨーロッパに広まったのです

この時、中国で政権交代が無かったら・・・きっと伊万里焼はこんなにもヨーロッパの王侯貴族を
魅了する機会がなかったかもしれませんね。
ドラマチックな歴史の一幕です。



シャルロッテンブルク宮殿・磁器の間
圧巻~です
地震に無い国だから、この飾り方ができるのでしょう。
どんな方法で取り付けてあるのか?それが知りたいです



電気もガスも無く性能の良い温度計もなかったはず。
炎の色で温度を正確に感じ取る事ができたそうです。
この時代の職人さんの高度な技術、何度見ても敬服いたします。



会場2階のロビーではビデオ上映があります
45分ありますので、時間に余裕を持ってお出かけください。
…私は夫が一緒でしたので、10分しか見せて貰えなかったです・・残念・・・

多治見・現代陶芸美術館

2014-04-07 21:24:21 | 美術館・博物館

岸田周子先生と教室の先輩方と
岐阜県現代陶芸美術館で開催中の
宝石のきらめきデミタスコスモス展に行きました



図録より



ロイヤルクラウンダービー上絵金彩花のガーランド図カップ&ソーサー」 1909年



ロイヤルウースター「上絵金彩羽図カップ&ソーサー」1913年

18世紀から20世紀初頭のマイセンやセーヴル、ミントン、
ロイヤルウースター、ロイヤルクラウンダービー、コールポート、
そして日本の錦光山など、約300点が展示されています

東京在住の鈴木康裕・登美子夫妻が40年にわたり1点ずつ収集された
優雅な、宝石のきらめきをもつデミタスカップ

文字通り、カップの中の小宇宙に感動しました

図録も素晴らしい出来栄えです
小さな小さな作品ですので、図録でゆっくり鑑賞するのも良い方法ですね。

午後は、陶磁器絵付け用絵具を製造されている工場を見学いたしました
今まで、本でしか見たことのない機械や道具に興味津々。

普段、何げなく使っている絵具ですが、こんなにも多くの作業工程を経て作られて
いるのだと解り、職人さんたちに感謝の気持ちでいっぱいです。


陶磁器も絵具も限りある地球の財産なのだと益々愛おしくなりました
(全ての物は、地球からの恵みなのです)

香雪美術館・花らんまん展

2014-04-03 14:05:51 | 美術館・博物館
神戸市御影の香雪美術館で開催中の、森田りえ子さんの
「花らんまん展」に行きました

森田りえ子さんは、薬師寺の散華や東大寺の干支の絵馬を描いておられます
それらの原画も展示してありました

女性らしい繊細で優しい画風が大好きです。



美術館の隣には、弓弦羽神社
御祭神は熊野大神

あの羽生弓弦君と同じ名前ということで、有名になっています





御由緒によると、神功皇后が泉にお姿を写された故事にちなんでこの地は
「御影」となったそうです
また、この時の泉は「澤の井」と呼ばれています
(・・・そういえば澤ノ井、お酒の名前になってますね)

美術館と神社の木々には駅前とは思えないほど、多くの鳥の姿が有り
心落ち着く場所でした。



第65回正倉院展

2013-10-29 20:46:29 | 美術館・博物館
奈良国立博物館で「第65回正倉院展」が開催中です

今年一番の楽しみは、蓮の花びらをかたどった、
漆金薄絵盤(うるしきんはくのえばん)

香を炊く為の台です

正倉院宝物の中でも、最も華麗に彩られた宝物

23年ぶりの公開ですが・・・正倉院から博物館まで運ぶのに
慎重に慎重を極めなければならない程、繊細だそうです

花びらはぐらぐらしている上に、絵は金箔の上から描かれている為、
剥離しやすくて、学芸員泣かせの宝物です

正倉院から博物館・・私が歩いても約10分
それを車で1時間以上かけて、それはそれは・・・ゆっくり、ゆっくりと・・
この運搬が怖くて、次は宝庫から出せないかも、と話を聞きました

素晴らしいポスターやチラシ





平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)

螺鈿の鏡は、毎年のように出陳されますが、今年は、琥珀と玳瑁(べっこうの事)
で彩られた花にとまる可愛らしいスズメを楽しみにしていました

花芯に玳瑁、花びらに琥珀が使われて、それぞれ、下に描かれた模様が
浮かび上がるような工夫がされています。
トルコ石とラピスラズリの小片を埋め込んでいて、色の対比が絶妙!!



予想外にツボにはまったのは・・・
ドールハウスを造っていたの?と思うようなミニチュアが見事でした!

他にも、素晴らしい宝物がありますが、
毎年の楽しみは「古文書」

下級役人が次月以降に受け取る給料を担保にして役所からお金を借りた
記録が展示してありました
利息は、13~15%

昔から、庶民はお金に苦労していたのね・・・としみじみ・・・

正倉院展は、始まったばかりですが、会期が短いので、あっという間に
終わってしまいます。

休日を避けて平日の午後3時~4時以降にお出かけください

平城京どうぶつえん

2013-08-27 13:33:08 | 美術館・博物館
奈良文化財研究所・平城宮跡資料館では、
ちょっと楽しい展示が始まっています

発掘調査で出土した動物達が展示されてるのです




病気を治したり、おまじないの道具に使われていました
神社の絵馬、実はルーツは平城京。
神様への捧げ物とされた馬の絵が描かれた板絵が出土してるそうです

一番左の小さな馬、犬にも見えるのです
可愛いいです



猫足~
昔から、人々は猫足に魅了されてたのですね!



奈良時代は、国際交流が華やかで、らくだ、ろば、羊、孔雀、水牛
などの動物の記録もあるそうです


こちらは、常設展示の木簡(字を書いた木の札)
犬を飼っていて、役所に登録していた・・という事でしょうか?
その上、エサの支給があったという事??
近くに学芸員さんの姿が無かったので、詳しい事は聞けませんでした
近いうちにもう一度出かけて、話を聞いてみたいです



発掘されて、出土してきた木簡は、木に墨で書かれている為、良好な状態で
残っています。
また、湿地の中で豊かな地下水に守られて朽ちることなく出土しました。

こうして、1300年後の私達が当時の暮らしぶりを知ることが出来るのも
奇跡的な事だと思います

この時代の人々はまさか、使っていた道具を私たちに見られるなんて
思ってもいなかったでしょうね。
私達の暮らしぶりは未来の人達にどう思われるのでしょう・・・?
想像するだけで楽しくなりますね。

そういえば・・・聖徳太子は犬を飼っていたそうです
白い犬で「雪丸」という名前や、散歩をさせていた記録もあって、
おそらく、犬と飼い主の関係を記した日本で最初の記録では?
と思います。
雪のように白く賢い雪丸を散歩させている、聖徳太子さま。
次、お札のお顔に返り咲く時は是非、こんなお姿を希望します~

推古天皇(聖徳太子の叔母様)縁のお寺が近所にあり
そこに雪丸像もあるのです。

みほとけのかたち

2013-08-08 13:26:09 | 美術館・博物館
奈良国立博物館では「みほとけのかたち」展が開催中です

チラシが素敵です♪



仏像の解説といえば「如来」「菩薩」「明王」「天」と分類するのが一般的ですが
いきなり、難しそうで、ハードル高くなりますね。

でも今回の展示構成は・・・

みほとけのすがた
みほとけのしるし
みほとのからだ
みほとけのなかに
みほとけの霊験
みほとけの住処
みほとけの宇宙

とても解りやすく、楽しい内容でした
子供さんにも興味を持って貰えそうな解説は、もちろん大人も
充分楽しめます

博物館の庭で・・・
大きくなっても、まだ、乳離れ出来てない甘えん坊。
よく見ると、小さな角が生えかけて・・・
鹿も、男の子はいつまでもママに甘えるのですね!



今年産まれの仔鹿ちゃん
お気に入りの場所なのでしょう。


正倉院宝物と近代奈良の工芸

2013-06-22 23:54:31 | 美術館・博物館
奈良県立美術館では
「正倉院宝物と近代奈良の工芸」展が開催中です

正倉院宝物や奈良の文化財は明治以降、模写、模造が製作されてきました

毎年、秋の正倉院展にも、模写・模造品が併せて展示してある事もあり、
予てから、一堂に見る機会があったら・・・と思っていただけに
とても嬉しくて、初日に出かけました

その時代の超一流の工芸家達の手による作品は素晴らしく、目を見張ります
近代、現代の道具を使っても精巧に復元するには、大変なご苦労が
あったそうです
また、質の良い材料を揃えるのも大変な事だそうです。
正倉院宝物が1300年もの昔に製作されたことに改めて驚かされた
展示会でした。

ただ・・・最近製作された物は鮮明な色や形をしています・・でも、
オリジナルの正倉院宝物の方が耀いて見えるのは・・・何故??

やはり、そこには多くの人の手によって守り伝えられた来た輝きが備わって
いるからなのでしょうか。



今年の正倉院展はどんな内容でしょうか?
今から楽しみです!

田中一光 デザインの世界

2013-02-22 21:47:41 | 美術館・博物館
奈良市出身の田中一光(たなかいっこう)展に行きました

「田中一光」と言われても全く知らなかったのですが・・・

Loft 無印良品 大阪の海遊館などのロゴデザインをした方でした!!
西武百貨店も。
作品も見た事のあるポスターやデザインが多くて、この人が!と
驚いたり、感心したり。。
(札幌オリンピックのポスターも)

ご実家は三条通りに有り(今は無いそうです)
餅飯殿商店街にある蒲鉾屋さんとご親戚。(度々、買い物します)
そんな身近な人なのに、今まで知らなかったのですね。





家に戻ると、田中一光デザインの物があちこちで見つかり、
私達の暮らしの中に溶け込んでいるのだと、嬉しくなりました。
街を歩いていても注意すると、見つけることもできます。