墨汁日記

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うまい

2005-10-10 22:38:15 | 徒然草
 兼好は文がうまい。「徒然草」が読み継がれるのは当然だ。
 並の文章家なら、家に置いてある調度品がその家の主の人格を表すと発見したなら、その発見に喜んで、そういう話として書き出してしまう。
 ところが、兼好は違う。
 まずは、下手クソな字で書かれた屏風や襖をポンと置く。
 そうする事によって読者は、過去に見た下手な字で書かれた屏風や襖を思い出し、その空間に精神的に移動する。
 そして、そんなものを置いている家の主人の心を嘆く。
 読者は、むかし人の家で見た下手な屏風と、その家の主を思い浮かべ、あーなるほどなと納得する。
 それから本題である。
 うまい。
 ただ、現代人は大量生産の襖は見た事があっても、下手な字が書いてある屏風や襖など想像しにくいので、「意訳」は単にわかりやすさだけをねらって訳した。


徒然草 第八十一段

2005-10-10 21:54:11 | 徒然草
 屏風・障子などの、絵も文字もかたくななる筆様して書きたるが、見にくきよりも、宿の主のつたなく覚ゆるなり。
 大方、持てる調度にても、心劣りせらるる事はありぬべし。さのみよき物を持つべしとにもあらず。損ぜざらんためとて、品なく、見にくきさまにしなし、珍しからんとて、用なきことどもし添へ、わづらはしく好みなせるをいふなり。古めかしきやうにて、いたくことことしからず、つひえもなくて、物がらのよきがよきなり。

<口語訳>
 屏風・障子(→ふすま)などの、絵も文字も下手な筆づかいして書いてあるが、みにくいよりも、宿の主をつたなく覚えるのだ。
 大方、持ってる調度(→家具、道具)によっても、心劣りさせられる事はあるものだ。さほどよい物を持つべきこともない。壊れないためとして、品なく、みにくい様に造り、珍しいからとして、用ない事ども付け加え、わずらわしい好み成すのを言うのだ。古めかしき様にて、それほどおおげさではなく、費え(→出費)もなくて、物の良いのが良い。

<意訳>
 のたくった筆跡で、絵とか文字なんか書いてある屏風や襖なんか見ると、その字の下手さくそさより、そんな物を置いている家の主人の感性を疑ってしまう。
 だいたい、持っている家具や道具に、その家の主の品性が現れる。外じゃいい人でも家がダサダサだとがっかりする事もある。
 それほど良いものを持つ事もない。
 でも、実用一点張りの壊れなきゃいいみたいのや、意匠だけ先走ってコテコテだったりするモノは避けたい。良いモノとは、古くさく見えても、おおげさでなく、造りがしっかりしているもの。さらに安けりゃ良い。

<感想>
 ひとんちに遊びに行くじゃん。すると、何でこんな物がこんな場所にっ! と驚愕してしまうような物を平気でおいてるウチとかある。普通のマンションのリビングにでっかい機織り器が鎮座ましましているのを見た時は少したまげた。たまに、ペコちゃんやらポールとか部屋の中に置いている人もいるが、アレもどうかと思う。
 そこまで大げさではなくても、たしかに部屋の調度品はその人を表すよな。飲み会の後に、結婚した先輩の家に転がり込んで、家じゅうがディズニーだと。あー、先輩の奥さんって頭がディズニーなんだ、そんな奥さんに尻にひかれているワケね。現場じゃあれだけいばっているくせに。とか思ってしまう。
 ちなみに、俺の部屋だって、客観的に眺めると実に俺らしい。俺の心そのままをあらわしてじつに混沌としている。
 今度遊びにくる? 魔境っぽい部屋だけどさ。

原作 兼好法師


自分らしく

2005-10-10 15:02:34 | 
 「自分らしく生きたい」とか言ってるのを聞くと、つい下らねーなーとか思ってしまう。
 何故か、俺が心の底から下らないからである。
 俺は脳みそがあんまりないので、他人の話も、自分の事として重ねあわせないかぎり理解できない。
 だれかが、「自分らしく生きたい」と言ったとする。
 では、俺自身にその言葉を重ねてみる。「俺らしく」生きてみよう。あくまで偽りの無い「俺らしく」だ。平日なら、仕事行ってメタクソ怒られて、酒飲んで寝る。休日なら、一日寝たうえ、酒飲んで寝る。
 下らない。
 「俺らしく」などあまりに下らない。毎日酒飲んで寝てるだけだ。
 「自分らしく生きたい」と言う人の「自分」はさぞかし素晴らしいのであろう。きらめいているんだろう。それが、今はたまたま何らかの理由で発動を阻害されてはいるが、「自分」を解放したあかつきには、めちゃスゴイ事になるのだろう。
 だが、俺には開放すべき「すごい自分」なんぞないので、「俺らしく」なんか生きたいとは思わない。俺は「俺以上」しか望まない。「自分」なんて下らなすぎるから。


徒然草 第八十段(BlogPet)

2005-10-10 10:09:57 | こうさぎ
徒然草とか上級貴族とか、多い振舞だ
兵は死んでもなければ、好んでするべき事ではない
兵尽き矢窮りて、獣に近い振舞だ
法師が武道を志し、武士が経を読む
という文にはやられまくった
さんざん兼好をコケにしてみた
人ごとに、我が身にうとき事を忘れ、役人にいたるまで武を好む人多い
百度勝つとも思い侮られが武道を志し、武士が経を読む
と、ウチヤマは考えてるはず。


*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「おいし」が書きました。