墨汁日記

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徒然草 第八十一段

2005-10-10 21:54:11 | 徒然草
 屏風・障子などの、絵も文字もかたくななる筆様して書きたるが、見にくきよりも、宿の主のつたなく覚ゆるなり。
 大方、持てる調度にても、心劣りせらるる事はありぬべし。さのみよき物を持つべしとにもあらず。損ぜざらんためとて、品なく、見にくきさまにしなし、珍しからんとて、用なきことどもし添へ、わづらはしく好みなせるをいふなり。古めかしきやうにて、いたくことことしからず、つひえもなくて、物がらのよきがよきなり。

<口語訳>
 屏風・障子(→ふすま)などの、絵も文字も下手な筆づかいして書いてあるが、みにくいよりも、宿の主をつたなく覚えるのだ。
 大方、持ってる調度(→家具、道具)によっても、心劣りさせられる事はあるものだ。さほどよい物を持つべきこともない。壊れないためとして、品なく、みにくい様に造り、珍しいからとして、用ない事ども付け加え、わずらわしい好み成すのを言うのだ。古めかしき様にて、それほどおおげさではなく、費え(→出費)もなくて、物の良いのが良い。

<意訳>
 のたくった筆跡で、絵とか文字なんか書いてある屏風や襖なんか見ると、その字の下手さくそさより、そんな物を置いている家の主人の感性を疑ってしまう。
 だいたい、持っている家具や道具に、その家の主の品性が現れる。外じゃいい人でも家がダサダサだとがっかりする事もある。
 それほど良いものを持つ事もない。
 でも、実用一点張りの壊れなきゃいいみたいのや、意匠だけ先走ってコテコテだったりするモノは避けたい。良いモノとは、古くさく見えても、おおげさでなく、造りがしっかりしているもの。さらに安けりゃ良い。

<感想>
 ひとんちに遊びに行くじゃん。すると、何でこんな物がこんな場所にっ! と驚愕してしまうような物を平気でおいてるウチとかある。普通のマンションのリビングにでっかい機織り器が鎮座ましましているのを見た時は少したまげた。たまに、ペコちゃんやらポールとか部屋の中に置いている人もいるが、アレもどうかと思う。
 そこまで大げさではなくても、たしかに部屋の調度品はその人を表すよな。飲み会の後に、結婚した先輩の家に転がり込んで、家じゅうがディズニーだと。あー、先輩の奥さんって頭がディズニーなんだ、そんな奥さんに尻にひかれているワケね。現場じゃあれだけいばっているくせに。とか思ってしまう。
 ちなみに、俺の部屋だって、客観的に眺めると実に俺らしい。俺の心そのままをあらわしてじつに混沌としている。
 今度遊びにくる? 魔境っぽい部屋だけどさ。

原作 兼好法師


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