墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

やり直し

2005-10-14 20:13:50 | 駄目
 やり直しなんか、ほぼ不可能な年になってもやり直しを望む、その態度こそが未練たらたらなのだ。まぁ、宣言しよう。やり直しなんか出来ない。俺は今の俺のまんまで人生を終える。恥ずかしく情けないことで、本来的に俺は希望的に生きる事なんか苦手なので。
 だから言ってやろう。三十にして夢を口走るのは、心底の馬鹿だ
 いいか。三十にもなって迷っている奴は馬鹿なのだ。三十にもなって迷う奴は軽蔑すべき馬鹿である。なら若い人が三十で迷う事は許されない。三十までに悟るか居直りなさい。
 エールだ。


徒然草 第八十五段

2005-10-14 19:34:43 | 徒然草
 人の心すなほならねば、偽りなきにしもあらず。されども、おのづから、正直の人、などかなからん。己れすなほならねど、人の賢を見て羨むは、尋常なり。至りて愚かなる人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎む。「大きなる利を得んがために、少しきの利を受けず、偽り飾りて名を立てんとす」と謗る。己れが心に違へるによりてこの嘲りをなすにて知りぬ、この人は、下愚の性移るべからず、偽りて小利をも辞すべからず、仮りにも賢を学ぶべからず。
 狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。驥を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。

<口語訳>
 人の心素直でないならば、偽りがないことはない。けれども、もとから、正直の人、なんかなかろう。己れ素直でないなら、人の賢を見て羨むは、尋常だ。至って愚かな人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎む。「大きなる利を得るがために、少しの利を受けず、偽り飾って名を立てんとする」と謗る。己れが心と違えるによってこの嘲りを言うのを知らない、この人は、下愚の性は移ることなく、偽っても小利を辞すことない、仮りにも賢を学ぶことない。
 狂人の真似として大路を走れば、即ち狂人だ。悪人の真似として人を殺せば、悪人だ。驥を学ぶは驥の類、舜を学ぶは舜の徒だ。偽っても賢を学ぶのを、賢と言うのだ。

 <意訳>
 人の心なんて素直じゃないから、自分自身の本性すら偽ってしまう。はなっから正直な人なんかいない。どーせ素直じゃないから他人の賢さを羨ましがるのは当然だ。
 でも、他人の賢さを羨ましがる心を、そのまんまに理解出来ないのは愚か者である。
 愚か者は、賢い人を見て、賢さを憎む。
「なにしてんだか知らないけどさ。しょせんは最期の大きな利益を狙って、小さな利益を避けてるだけなんだろ。どうせ名を上げる為の嘘っぱちな虚栄なんだよ」
 この人は、自分と賢い人とがどれだけ違うか顧みる事も無い。これ以上は賢くもならないだろう。自分を偽ってでも目先の得をのがす事はないだろう。
 気違いの真似して大通りを走れば気違いそのものだ。悪人の真似と言って人を殺せば悪人だ。一日に千里走る馬を真似た馬は、一日に千里走る。舜の皇帝を真似たら舜の皇帝ともなろう。偽りでも賢さを真似たら賢くなりはしないか。

<女の理屈>
「兼好ちゃん、なんでお隣の賢ちゃんみたいに賢くできなの?」
 だってとなりの賢ちゃんなんか嫌いだもん。
「それは兼好ちゃんが素直じゃないからよ。素直になれば、本当はみんなに誉められる賢ちゃんがうらやましいはずよ」
 だって。あいつ自分のお弁当を女子にわけてんだぜ。先生に誉められたいばかりにあんな真似してるええカッコしいだ。
「兼好ちゃん。そんなこと言ってたら賢ちゃんみたいに賢くなれないわよ。だいたい嘘でもいいから大好物の鳥の唐揚げをみんなにあげられる?」
 ダメ! 母ちゃんのトリカラは誰にもやらん!
「でしょ。馬鹿の真似~って言って、四小通りを歩いてみなさい。本当の馬鹿よ。人殺しの真似して人を殺したら人殺しなのよ。一日に三万キロ走る馬の真似をした馬は本当に三万キロ走るのよ。舜皇帝の真似したら舜皇帝のお友達よ。だったら嘘でもいいから賢ちゃんの真似したら賢くなるのよ」
 我が母親ながら、この女は何者だ?

<感想>
 これは女の理屈である。実は兼好の中にも女は存在していたという段である。

原作 兼好法師