墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

徒然草 第百四十五段

2005-11-30 20:54:09 | 徒然草
御随身秦重躬、北面の下野入道信願を、「落馬の相ある人なり。よくよく慎み給へ」と言ひけるを、いと真しからず思ひけるに、信願、馬より落ちて死ににけり。道に長じぬる一言、神の如しと人思へり。
 さて、「如何なる相ぞ」と人の問ひければ、「極めて桃尻にして、沛艾の馬を好みしかば、この相を負せ侍りき。何時かは申し誤りたる」とぞ言ひける。

<口語訳>
御随身秦重躬、北面の下野入道信願を、「落馬の相ある人だ。よくよく慎みなされませ」と言ったのを、少しもまことでないと思いましたのに、信願、馬より落ちて死にました。道に長じてる一言、神の如きと人思った。
 さて、「如何なる相だぞ」と人の問いませば、「極めて桃尻にして、沛艾の馬を好みませば、この相を負わせました。いつ言い誤った!」と言いましたぞ。

<意訳>
上皇の随身である秦重躬、北面を守る武士であった下野入道信願の乗馬を見て、
「あの人には落馬の相がある。よくよく慎みなさい」
 と注意した。
 信願は、これを少しも信用しなかったが、落馬して死んでしまった。
 さすがは乗馬が得意な秦重躬の言葉。道に長じた一言は、神の如しと誰しも感心した。
「さて、落馬の相とはどんな相なんです」
 と人に聞かれて、
「あの人は、桃のようにすわりの悪い、ひどい桃尻の上に、気が荒く飛び上がるクセのある馬を好みましたので、この相を負わせた。間違いはなかったはずだ」
 と秦重躬は答えた。

<感想>
 馬から落ちて落馬してお亡くなりになられて死んだ人の話だ。
 この段で落馬して死んだ下野入道信願は出家した武士だ。たぶん在野の出家で、ちゃんと武士の格好をしていたんだろう。長刀かかえた弁慶みたいなのを想像しちゃ駄目。弁慶は武装した法師だ。下野入道信願は、出家した武士なので、頭ぐらいは丸めていたかもしれないが、武士の格好をしていたはずだと想像できる。
 このあたりの段は、馬と、死に際の話が交差して続く。

原作 兼好法師 


三日目の朝

2005-11-30 06:04:21 | 携帯から
東の空の低い所に細い三日月が出ている。星が、我が者顔で空を占領している。今朝は晴れ。寒さにやっと体がなじんできた。今日は水曜、やっと三日めで、安息の日曜日まで先が長い。先の事は考えず今日をやりすごすのがベストだ。


徒然草 第百四十四段

2005-11-29 20:20:11 | 徒然草
 栂尾の上人、道を過ぎ給ひけるに、河にて馬洗ふ男、「あしあし」と言ひければ、上人立ち止りて、「あな尊や。宿執開発の人かな。阿字阿字と唱ふるぞや。如何なる人の御馬ぞ。余りに尊く覚ゆるは」と尋ね給ひければ、「府生殿の御馬に候ふ」と答へけり。「こはめでたき事かな。阿字本不生にこそあなれ。うれしき結縁をもしつるかな」とて、感涙を拭はれけるとぞ。

<口語訳>
 栂尾の上人、道をお過ぎなられますに、河にて馬洗う男、「あしあし」と言いませば、上人立ち止って、「あれ尊いよ。宿執開発の人かな。阿字阿字と唱えるぞ。如何なる人の御馬か。余りに尊く覚えるのは」と尋ねられましたらば、「府生殿の御馬にございます」と答えました。「これはめでたき事かな。阿字本不生にこそあれ。うれしき結縁をもしたかな」と言って、感涙を拭われたんだと。

<意訳>
栂尾の上人が道をお歩きになられている途中。
 川で馬を洗っている男を見かけました。男は「足、足」と言いながら馬の足を上げさせようとしています。
 すると、上人は何を思ったのか、足を止め、馬を洗う男に声をかけられました。
「なんと尊い! きっとあなたは前世で功徳をつんだ方の生まれ変わりなのでありましょうね。馬を洗う時にまで『 阿字阿字』と根源の言葉を唱えておられます。ところで、その馬はどなたの馬なのです?  きっとその馬も、尊いお馬様なのでしょう?」
 と上人が聞かれますので、男はチンプンカンプンながら答えました。
「府生殿の馬でございます」
「これまためでたい! 『阿字不生』とは! 『阿字』は全ての根源であり、生まれもしなければ滅びもしない。そこまでの悟り。なんとうれしいご縁を結べました事か!」
 上人はそう言われて、感涙をぬぐわれたそうです。

<感想>
 この段の主役である栂尾の上人。
 高山寺をおこした華厳宗の僧で、「明恵上人」がとりあえず本名。
 栂尾(とがのお)に住んでたので、「栂尾の上人」ともよばれた。
 死に際の奇跡が有名で、奇談も多い。歌も詠む。自選の歌集『遺心和歌集』があり、それを弟子の高信が編集したのものが『明恵上人集』。
 栂尾の上人に少しだけ興味を覚えて、少しだけ調べてみたら、こんな歌を見つけた。もう充分、この歌だけで彼のキャラクターはなんとなくわかった。
「あかあかや あかあかあかや あかあかや
              あかあかあかや あかあかや月」

原作 兼好法師


二日目の朝

2005-11-29 06:02:16 | 携帯から
今朝はくもり、三日月がかすんで見える。風はなく、少し暖かい。今日も気がつくと起きて仕事に向かっている。二日目になると、初日の不安も消えて、あきらめにも似た落ち着きがでてくる。安息の日曜まで先が長い。


かきすぎ

2005-11-28 19:29:21 | 駄目
 ちょっと、かきすぎた。出し過ぎだ。
 出力が多すぎる。
 今週は、ちょっとさぼってサポタージュスープで、ブログの更新をさぼりつつ楽して、入力に力を入力する。
 だから、今夜はもうおしまいのおしゅうまい。