墨汁日記

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閑か

2005-09-19 10:08:32 | 徒然草
 徒然草には「閑か」という言葉が良く出てくる。「しずか」と読む。別に「静か」と書き換えても問題はない。ところで「閑か」とは、どういう心境か。少し説明しよう。
 将来への不安、死への不安、老後の不安、不安にもいろいろあるが、「不安」は常に目の前に立ちふさがる。けっして「過去」に不安をおぼえたりはしない。「過去」は悔やむものだ。人は不安定な「未来」にのみ不安をおぼえる。すんじまった事はすんじまった事だ。だが、すんじまった事と振り払えないほどの「過去」だって存在する。その嫌な「過去」が、また襲ってくるんじゃないかと不安になることもある。しかし、それだって「過去」から導き出された「未来」への不安である。
 人は「未来」にしか不安を抱けない。トラウマになるほどの「過去」であるなら、それは不安でなく恐怖だ。

 未来への漠然とした不安を、心から取り除くにはどうしたらいいか。答えは二つある。「心を燃やす」と「心しずかにする」の二つだ。
 「心を燃やす」には、何かに没頭すれば良い。恋愛や仕事。趣味に子供の成長。
 恋愛に没頭している間は「未来」はバラ色になる。仕事に精を出せば「未来」は収穫の季節になるはずだ。子供の成長を楽しみにするなら「未来」も楽しみになる。趣味に没頭すれば「未来」は忘れていられる。
 なにかに没頭して「未来」を忘れるのが「心を燃やす」なら「心しずかにする」のは「今」に浸りきる事だ。お気に入りの音楽をかけて、自室にこもり音楽に浸りきる。マッサージを受けてリラックスする。あるいは森林浴。心燃焼系のSEX以外の快楽はたいてい「心しずか」にしてくれる。この「心しずか」の境地になんの助けも借りず自力で入り込もうというのが「座禅」なのである。

 「未来」は不安である。不安は消えることなく死ぬまでまとわりつく。寝ていてさえも未来への不安で夢に脅かされる。その不安をなくそうという方法の一つが「心閑か」なのである。
 「未来」になんの期待も抱かないでいられるなら、不安は消える。期待するから、それを裏切られた時の事を思って不安になるのだ。「希望」を捨て「不安」を捨て「心閑か」にしていられるなら、深い精神世界の底にすら行く事ができるだろう。だが、「希望」はそうやすやすと捨てられない。あざとく生にしがみつくのが生き物の本質だもんね。生きる事に余裕があるなら、未来にも期待しちゃうってもんじゃない。


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1 コメント

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はじめまして。 (BB)
2014-01-06 19:16:46
はじめまして。
素晴らしいご提案だな、と頷いてしまいました。
「心を燃やす」は意図的でなく、いつの間にかできているものですが、「心しずかにする」は自身がかなり意識的に行わなければ出来ないと思いました。立ち止まっている時に必要なのは、みせかけの熱よりも、そうしたしずけさですね。熱を持つのはその後、ということでしょうか。気付きのご教示有難うございました。
ところで方言にも興味があるのですが、不躾で申し訳ございませんが、Protozoaさんのすんじまったという言い方や、~ちゃうからの推測ですが、ご出身は東京でしょうか。興味本位で聞いてしまいました。
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