墨汁日記

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平成マシンガンズを読んで 58

2006-09-29 20:24:46 | 

「唐突だが、実は最近、人格分析に凝っていてな」

 本当に唐突だ。

「まったくの独学だが、精神医学や人格分析などの本を読み、自分なりの性格分類方法を編み出してみた。名付けて『死神式性格分類』!
 なにしろ精神医学を基礎とした性格のタイプ分けだから、血液型や星占いなんかじゃ分からない本当の自分があからさまって寸法さ!」

「はぁ」

 死神の性格分類法?
 思いきり怪しい。
 だが、怪しい故に少し興味もわく。
 死神が人間をどう捉えているのかが解る。
 私の分類も気になる。

「心身一体が『死神式性格分類』の基本だ。身に付けた洋服や体型、物言いでその人の本性はだいたい推測できる。車マニアが、知らない車でも、その車種の外見やエンジン音から心臓部であるエンジンの形式や排気量を推し量れるように、人の見た目や物言いで人間もある程度は推し量れる。人の心はそのフレームである体型を外れた形態を取ることはあまりない」

 ふーん。

「だいたい今までの会話やあんたの体型などから、ある程度は分類の目星がついているのだが、もしその気があるなら何問かの質問に答えてはくれないだろうか?
 それで、あんたの性格を確実に分類できる」

 くだらないなぁ。
 本当なのかなぁ。
 性格って確実に分類できるものなの?
 できないと思うけどなぁ。
 仮に分類できても、それは勝手な思い込みじゃないと誰が証明できるんだろう。似ているから、同じカテゴリーって考え方は幼いと思うんだけどな。タスマニアオオカミとオオカミがいくら似ていても別種であるように、同じ考え方であるなら同じ経路で結論されたとはかぎらないじゃん。

 だが、興味はあるな。

「うん」

「いいのか?
 では質問をはじめる。はい・いいえで答えたまえ」

「はい」

「自分は地味だと思う?」

「はい」

「自分は低血圧だと思う?」

「はい」

「よく夢をみる?」

「いいえ」

「では、なかなか寝付けないのに睡眠時間は長く、朝起きるのがなにより辛い」

「はい」

「人の好き嫌いが、あまりない」

「はい」

「自分以外の人間は平等だ?」

「う、え。はい」

「トロいと良くいわれる?」

「はい」

「考えをまとめてからでないと、行動できない?」

「はい」

「走るのは苦手。とくにマラソンは嫌い?」

「はい」

「うん。典型的な低血圧の症状だ。瞬発力がなく体力もない。
 最後の質問、他人なんか実はぶっちゃけどうでもいい?」

「え、だって。うーん、はいかも」

 死神はうなづいて言った。

「あんたのタイプは『行動力のないねずみ男』だ。
 頭が良く、社会の本質さえ実は見破れているのに、それを行動に表しにくい。後付けで考えて自己正当化するのは得意だが、その場で即断してそれを口にするのは体力的に不可能。
 行動力さえともなえば、本来は知性で押しまくるタイプだが、押すだけの体力がない。血のめぐりが悪いんだよ。おすすめの食品はレバーとほうれん草」

 私は「鬼太郎」のねずみ男か。しかも、行動力のない。