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音楽・小説・その他、思いついたことをだらだらと綴る
アールグレイの気まぐれ日記

Happy Box

2013-05-07 | 
●Happy Box●
PHP研究所  2012.3

独学で天気のことに詳しくなってしまった大友が、女性関係が派手だった友人・清水の結婚相手から、清水の言動を結婚式当日まで観察する任務を頼まれた…『Weather』(伊坂幸太郎)
その道66年になる掏摸(すり)師の福子がショッピングモールで出会ったのは…『天使』(山本幸久)
「ぼくね、きみの生まれ変わり」30間近のわたしにいきなり声をかけてきたのは、豊かな白ひげを顎にたくわえた、でっぷりと太った老人だった…『ふりだしにすすむ』(中山智幸)
昭和46年、六畳一間のボロアパートだけど、アイコの家には最新の贅沢なものがあふれていた。母子家庭だけどキャバレーのホステスをしているママが頑張っているからだけど…『ハッピーエンドの掟』(真梨幸子)
行きつけのバーでイケメンな死神が見えるようになってしまった榎本帆奈。死神にとっての幸せとは…『幸せな死神』(小路幸也)


「幸せ」をテーマに、ペンネームに「幸」がつく5人の作家が書き下ろした短編集。
…というのは、図書館で借りて、解説を読んでから気づきました(笑)
伊坂さんの『Weather』は、ホントに好きだなぁって思ったんだけど(伊坂さん目当てだったので当然なんですが)
『幸せな死神』がけっこうぐっときて、小路さんの他の作品も読んでみたいな~と思いました。
『ハッピーエンドの掟』は、幸せというキーワードからはちょっと異色だったけれど、SF的な話だけどほろりときた『ふりだしにすすむ』も、おばあちゃんスリ師の『天使』も…どれもいろんな形の「幸せ」を考えさせられる話でした。



「あまりにもささやかすぎて、当たり前すぎて気づかないですけど、何より不幸は心に突き刺さりますが、本当の幸せはただそっと寄り添うように訪れる。だから」
 気づかないけど、人間は毎日毎日幸せに触れているんだって。

 小路幸也『幸せな死神』より
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