ドリーム 2(セカンド)

長坂徳久が語る夢教育(ときどき日常)

Power No.64

2008年02月06日 22時08分46秒 | 少林寺拳法(ライフワーク)

NPO法人 こころとからだの総合教育 育夢学園通信

《きみたちへ 13》

発行日 2008年2月6日(水) 発行・文責 理事長 長坂徳久

《きみたちへ》は子どもに向けた通信(つうしん)です。

【本当のおもいやり】

  やあ、きみたち!今日は先生が高校生のときの話をしよう。

  先生のお父さんとお母さんは、先生が中学二年生のときに離婚(りこん)しました。

  そのあとは、お母さんと弟、妹でくらしていました。 

   しかし、先生が高校二年生の夏にお母さんがいなくなりました。どこかへ家出してしまいました。

  先生(高2)、弟(中2)、妹(小5)の三人でくらしていくことになりました。

  そのとき、先生は橋本(はしもと)高校(こうこう)に行っていました。

  橋本(はしもと)高校(こうこう)には、冬に「金剛(こんごう)登山(とざん)」があります。金剛(こんごう)山(ざん)に登るのです。

  先生は、二年生とき、その登山を休もうとおもっていました。

  先生の家にはお母さんも、お父さんもいないので、誰もお弁当をつくってくれる人がいなかったからです。

  自分でも作れなくはないですが、友達はみんなお母さんが作ったきれいで、おいしそうなお弁当を持ってきます。

  先生だけが自分でつくった弁当をもっていくのはずかしくていやでした。今のようにコンビニやおべとうやさんもありませんでした。 

  それとなく、先生は友達たちに「登山は休む」と言いました。でも、その弁当の理由は言いませんでした。 

  その登山の前の日になりました。友達たちと一緒にいると、ある一人の友達がみんなにこう言いました。

 「おい、明日の弁当、パン買って持っていけへんか?!」

 すると、他の友達たちも、

 「そうやな、パンにしよう!」

と言ったのです。先生はそれを聞いてびっくりしました。

登山の寒い中でパンなんておいしくないのです。でも、友達たちは先生のためにそう言ってくれたのです。しかも、そのことを先生には何も言いませんでした。すごくうれしかったです。  

  パンなら先生も持っていくことができます。一人だけパンを持っていくのは、なんだかいやですが、みんながいっしょなら、パンでもはずかしくありません。友達たちは、先生のそんな気持ちをわかってくれていたのです。  

  その日の学校の帰りに、みんなで次の日のパンを本当に買いに行きました。本当にみんなパンを買ってもって行ってくれたのです。たった一人の先生(友達)のために、みんながそうやってくれたのです。  

  先生は思いました。これが、本当のおもいやりなんだなぁと・・。

  今でも、そしてこれからも、あのときの友達の言葉を先生は忘れません。