ドリーム 2(セカンド)

長坂徳久が語る夢教育(ときどき日常)

少林寺拳法橋本西支部 道場通信ドリーム No.554

2006年06月04日 18時20分20秒 | 少林寺拳法(ライフワーク)

  ただいま高校総体の少林寺拳法競技の審判から帰ってきました。

 高校生からは学ぶべきことも多く、今回も「気づき」が数点ありました。仕事を調整していった甲斐がありました。

 もうひとつ無理してでも言ったのには理由があります。ひとつは、下村先生への日頃の感謝のためです。協力したいという気持ちです。

 そして、もうひとつが、橋本西支部から笠田高校少林寺拳法に入ったN・Y君の高校生最後の組演武を見届けるためでした。とても、成長したいい演武を見せてくれました。

 Y太、いままでよくクラブでがんばってきた。辞めずに遣り通したことに「おめでとう」をいいます。素晴らしい!

追伸、神○高校の、Tさん。本日はお世話になりました。娘さんの大活躍、おめでとうございます!

さて、通信ドリームです。

 2006年5月15日(月)   発行・文責 長坂 徳久

【子どもの季節を感じていますか?②】  

 前号からの続き。次のように書きました。子どもたちの少林寺拳法活動には次のように「季節」が巡ってきます。

 ①春・入門して緊張もするし、とけこむことで大変なこともあるが、最初なのでわくわくして何をしても面白い。楽しくて仕方がない。→ ②夏・どんどん熱中し、これこそが自分の天職(自分の求めていたものだ!)と思えるぐらい熱中する。意欲満々!→ ③秋・同じことの繰り返しで、緊張感や刺激を感じなくなり少し飽きて、惰性になる。→④冬・不満(自分が悪いとは思わないので他人のせいにする。)や嫌気が出てきて、辞めたくなる。また実際に足が遠のき、辞めてしまう。 

 すべての保護者の方は、お子さんの少林寺拳法を応援したい、支援したいという気持ちをお持ちでしょう。いえ、少林寺拳法に限らずに、お子さんの人生すべてを心の底から応援されていると思います。それは、承知で「少林寺拳法での各季節での応援の仕方」を書かせてください。

 すべての季節での接し方に共通することは、

 お子さんの「速度」を大切にしてあげるということです。

 少林寺拳法をうまくなりたい、これぐらいがんばりたいというのは、そのお子さんにより、「速度」が違うのです。そのときどきによっても違います。フルスピードで走りたい子(とき)もいれば、ゆっくり景色を見ながら歩いていきたい子(とき)もいるでしょう。その「速度」を感じてあげることが大切です。少なくとも、長く続けてほしい、長く続けさせたいと願うならば、それが一番大切です。また、そのことで、保護者の方のいらいらは一気になくなるでしょう。

 同じ「方向」は向いているのです、子どもも親も指導者も。でも「うまくいかない」と思う時は、この「速度」がずれてきているのです。速い人に駆け足でついていくのは疲れます。先先に行かれると腹がたちます。置いていかれるとさびしくなります。そのうち迷子になるかもしれません。私は指導者として、一歩だけ前を歩いて、回れ右をして、子どもたちと進んでいきます。

 

         【子ども】              【保護者・指導者】

・ニュートラル → 「がんばる。」          「応援する。」

・プラス    → 「やる気満々」。         「いい具合に応援する。」

・マイナス   → 「やる気がない。」        「非協力的。」「がんばり過ぎる。」     

 

 「熱くなりすぎる。」 「がんばり過ぎる。」ことは、危険性があります。つまり「燃え尽きる」(バーン・アウト)するからです。そして、両者の違いを私は、次のように考えています。

 「がんばり過ぎる」=「がんばらされている。」(指導者や親に)

 「やる気満々」  =「自らがんばっている。」

 では、モチベーションをあげたり、保ったりするにはどうすればいいのでしょうか。

・今をそのまま認めてあげる。(許してあげるという言い方でもいいかもしれません。)

・ほめてあげる。

・励まし続ける。(大丈夫といい続けると言い換えてもいいかもしれません。)

 こうすれば、間違いなくやる気は出てきます。少なくとも逆をするよりは。

 これを繰り返しても、どうしても「やる気がない」(やりたくない)というときは、それは、神様が「この子には、少林寺拳法は向いてないんだよ。」と教えてくれているということです。「いままで、よくがんばったね。」といって辞めさせてあげればいいのです。

 神様の声に逆らってはいけません。そして、「何にも向いていない人」は決していないということも忘れないでください。たまたまそのことに向いていなかっただけです。 

 ただし、はじめるときには、「三年は辞めずにがんばろうね。」などの約束は親子の間では必要でしょうね。それは「がまんする」ということも幼少時には教えなくてはいけないからです。

 さて、子どもたちに季節が巡るのと同じく保護者の方にもこの季節論は当てはまります。私が、みなさんにお願いしたいことは、次のことです。

「春」(入門した頃)の気持ちを持ち続けてほしい。

 入門した頃の純粋な気持ち。入門したときは、「うちの子がこんな高いレベルのことをやっていけるのか?」と思ったかもしれません。Aチームやデモチームなどをみて、「こんなことが本当にできるようになるのかな・・」「うちの子もあんなふうになってほしいなぁ」と純粋に思ったことでしょう。そして、同時に、「真っ白な道衣に身を包んだお子さんの姿、そのものに感動したはずです。」そして、そのときは、「この子はこの子でいい。この子なりにがんばっていけばいい。それを応援していこう。」と思ったのではないでしょうか。

 次回は、「晩秋~冬」(やめてしまうか、復活するかの時期)について書いてみましょう。 


少林寺拳法橋本西支部 道場通信ドリーム No.553

2006年06月02日 23時12分50秒 | 少林寺拳法(ライフワーク)

 発行日 2006年5月11日(木)   発行・文責 長坂 徳久

【子どもの季節を感じていますか?】  

   人は誰もが「偉くなりたい」と思っています。これは人間の欲求であり、おとなも子どもも関係ありません。「偉くなりたい」というのは、勉強なら、かしこくなりたい。スポーツなら、うまく・つよくなりたい。仕事なら、成果をあげたい、出世をしたいということでしょうか。 

   そして、これらをもう少し突き詰めていけば、偉くなることにより、「他人(できるだけ多くの人に)に認めてもらいたい。」という人間の本能に結びつきます。

   人はもともとこのような本能を持っているのですから、誰もがみんな「がんばろう!」という意欲があるのです。いや、あったはずなのです。しかし、どこかで「やる気」をなくしてしまった子どもたち、おとなたちはたくさんいます。そして、そのように「やる気」をなくさせてしまったのは、実は、その人たちと関わっている周囲のおとな、親、指導者だと長坂は思っています。(詳しくは紙幅の関係で割愛しますが、また機会があれば書いてみます。「最初から勉強の嫌いな子はいない。」が長坂の持論。) 

   さて、子どもたちは新しいことをはじめるとそのことにすごい関心を示します。しかし、この関心が「高いレベル」で長く続くことはまれです。みなさんもおとなになってから何かを始めたことがあるでしょう? それは今も続いていますか? もしくは始めた頃の高いモチベーションで続いていますか?多くの子どもたちは少林寺拳法を「自分から進んで」始めた場合でも、長く続けていれば、きっと次のような過程を大なり小なり経るものだと長坂は考えています。(ここでいう季節は、実際の季節ではなく、「気持ち」としての季節、です。)

 ①春・入門して緊張もするし、とけこむことで大変なこともあるが、最初なのでわくわくして何をしても面白い。楽しくて仕方がない。→ ②夏・どんどん熱中し、これこそが自分の天職(自分の求めていたものだ!)と思えるぐらい熱中する。意欲満々!→ ③秋・同じことの繰り返しで、緊張感や刺激を感じなくなり少し飽きて、惰性になる。→④冬・不満(自分が悪いとは思わないので他人のせいにする。)や嫌気が出てきて、辞めたくなる。また実際に足が遠のき、辞めてしまう。 

  当然、辞めずに続く子どもたちも多くいます。橋本西支部はその典型でしょう。それは、③や④になっても、新たな刺激を感じ、次のレベルに自分自身が変化できたからです。 また、少林寺拳法を辞めることが悪いことではありません。その子にとってはそのことでプラスになることも多々あります。 この①→④は何かに似ていると思いませんか?恋愛?確かにそうかもしれません(笑)。 

  実は次のように「新商品」を売る場合のライフサイクル(成長カーブ)と似ています。

①導入期(季節でいえば冬から初春。)開発費や宣伝費がとてもかかるが、市場には新しい商品なので「当たる」と大きい。→ ②成長期前期(春から初夏)導入期のような宣伝や説明をしなくても、なぜかお客が買っていく。黙っていても売り上げが上がる。これが一生続くかのように錯覚する場合もある。→ ③成長期後期(晩夏から秋)少しずつかげりが見える。しかし、導入期のようなコスト(投資)はかからないので、収益は残る。→ ④成熟期(秋から冬) 衰退する。本来ならばこの時期にはその商品は撤退(一線から)をして、次の新商品の開発に取りくむことが必要。そうすれば、新たな成長カーブを描いて、次のステップの導入期に入ることが可能。 

  お子さんの少林寺拳法とビジネスでは少し例えが不自然かもしれませんが、この成長カーブと「季節論」は人生すべての事柄に当てはまるのではないでしょうか。(ちなみに人生春夏秋冬論というものがあり、ひとつの季節が3年サイクルで循環するというものです。これが当たるのです!) さて、今のお子さんの少林寺拳法はどの季節でしょうか? 当然、2回目の春、3回目の冬など、すでにワンサイクルを終えた拳士も多いでしょうね。特に、長くやっている拳士や保護者の方には、上のサイクルを読むと、「そういえば、そんな時期があったなぁ。」とか「これの繰り返しだな。」と思えるのではないでしょうか? ちなみに、少林寺拳法では、春から季節が逆行して「冬」(辞めたい)になることもあるでしょう。盛夏から突然、冬になる場合もあります。それには、本人だけでなく指導者や周囲の影響も多々ある場合が多いです。

 上の例は、「どんなに長く続けていても(しかも、周囲から見れば、とても高いレベルやいい環境でやっているように見える人でも)、誰もが大なり小なり通る道」の説明だと思ってください。 次号では、お子さんの「今の少林寺拳法の季節」に応じた、接し方、対応の仕方を考えてみましょう。