中川奈月が立教大学大学院映像身体学科の修了制作として手がけた2018年作品。2021年10月には単独で劇場公開もされたらしい。こういうなかなか劇場では見られない自主映画もAmazonには多数入っている。数ある作品の中から優れた作品を選んで見るのはなかなか至難の業だろう。映画祭で評判になったものを優先するのはまぁ、妥当だろうがそれでも外れは多い。映画祭とかには引っかからないけど凄い映画を発掘出来たらいいけど、難しい。
これも決して悪い映画ではないけど、凄いわけではない。微妙な出来。学生の自主映画だが、脚本がうまく、プロのスタッフが援助した。撮影監督は芦澤明子、福永朱梨が主演。篠崎誠が監修。
父親の不倫、不倫相手の友人(女子高生と不倫した教師、というのが父親)の自殺から自分もまた自殺未遂した女子高生が主人公。彼女が父親と同じように高校生と付き合う女教師とクラスメイトの男子の恋愛に干渉する。キスするふたりの写真を撮って脅す。なんだかとても嫌な話で、ちょっとしたホラータッチでもある。主人公は死んだ女子高生の姿が見えるのだ。
1時間の映画はそれなりに緊張感もあるけど、やはり拙い。やりたいことはわかりけど、これでは伝わらない。孤高の少女の孤独が表層的。表情を変えずに演じる福永朱梨は悪くはないけど、演出が伴わないから、それは彼女の浮いた一人芝居でしかない。お話の中に彼女がしっかりと収まらないのだ。周囲の役者たちの演技も酷いから緊張感は持続せず途切れる。たった1時間の映画なのに。