これは『イカとクジラ』で日本初登場した前後の作品である。もちろん日本未公開。ノア・バームバックの2007年作品。ニコール・キッドマン主演で、ジェニファー・ジェイソン・リーが共演する。ふたりは仲の悪い姉妹を演じる。ジャック・ブラックやジョン・タトゥーロも出る豪華キャスト陣。日本語タイトルは意味不明。これではマーゴットが結婚するみたいだ。原題は『Margot at the Wedding』。
妹の結婚のために久しぶりに実家に帰って来た姉。ふたりの関係を中心にして、周囲の人たちと織りなす結婚式までの数日間のスケッチ。ふたりの関係はもちろん険悪で、重くて暗いタッチの映画だ。一触即発のヒリヒリする時間が淡々と描かれていく。ふたりの関係が壊れた原因は姉の書く小説。作家である姉は家族の問題を赤裸々に暴く。それによって傷つく妹という図式。
姉にはうまく人と付き合えない息子がいる。夫とは離婚間近。今回の結婚式もあまり乗り気ではない。だが、仕事のついででやってくることにした。浮気相手とのランデブーも兼ねている。ニコール・キッドマンがほんとに嫌な女を演じている。最後まで変わらない。だから、この女は嫌な奴でした、という結論に至る。そんな映画を誰が見たいと思う? ノア・バームバックらしいといえば、そうなるだろうけど、なんだか最初から最後まで嫌な映画だった。これが日本では劇場未公開だったのは当然だろう。悪い映画ではないが、嫌な映画。