キャラの描きわけが明確である種のパターンにすっぽりと収まっている。ストーリー展開も無理がないけど、冒険もない。予定調和なのだ。せすんなのに、なんと暗転なし(!)の80分。安心して見ていられる作品。
でも、なんだか物足りない。もっと危機感とか、ドラマとしてのメリハリが欲しい。このイベントを通して、寂れていく商店街の活性化という夢がどれだけかなうのか。この劇を通して、この町自体の未来への展望、この劇の背景としてあるここで生活する人たちの現実、そんなものがここから見え隠れしてきたのなら、きっともっとおもしろい芝居になったし、ドキドキもさせられたのではないか。表面的なストーリーを追いかけることに終始して社会問題にまでは至らないのもつらい。作品世界が広がらないのだ。
議論の焦点となる入選作品13句は出てこない。みんながそれぞれ推す作品はバラバラで話し合いもまとまらない。まず、そんなところからでも、世界は広がるはずなのだ。確かに、テンポよく言葉のキャッチボールは成される。それぞれキャラクターは鮮明だ。だが、それだけではつまらない。たとえば、17音で表現できるものって何か、とか、そういう問いかけが欲しい。ここから何が生まれてくるのか、この小さな集まりが何を見いだすか。そんなプラスアルファが欲しいのだ。作り手の誠実さは重々理解している。だが、それだけでは、やはり物足りない。