習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『大洗にも星は降るなり』

2010-08-31 22:17:43 | 映画
 今頃になって、ようやくこの映画を見た。まぁ、これは正直言って別にどうでもいい映画だったから、一生見なくてもOKだった。だが、なんとも間抜けな話で、先にこの映画のスピンオフを見てしまっているから、それで本編を見ないのはなんとも片手落ち。だいたい、本編と信じてスピンオフなんかをレンタルしてきた僕が悪い。あの時はあまりのことに唖然とした。まるで気がつかなかったのだ。騙された、と思った。泣いた。

 ということで、ようやくこの本編である。これまた予想通りなんとも間抜けな映画だ。確かにくだらなさではスピンオフのほうが徹底していたかもしれない。だが、バカな男の一途な恋心と、その愚かさは、見ていて感情移入できる人も多分いるかも。なんともうら悲しい映画だし。どうでもいいことを、徹底して見せるのはそれなりの覚悟がいる。中途半端されたなら目も当てられないものになる。その点、この映画はなんとか及第点だ。一応納得はいく。

 『キサラギ』と同じパターンの映画である。ワンシチュエーション、閉じられた空間、限定された人物、ある人物を待ち続けること、会話劇。共通する部分は多々ある。だが、『キサラギ』のようなスマートさはない。このドンくささは強烈だ。福田雄一監督の個性だろう。これにハマる人は多分たくさんいるはずだ。もてない男たちのドタバタ騒動である。笑って見ているだけでいい。それが、バカバカしいと思うなら、見なくていい。だって、それだけの映画なのだから。

 だが、その潔さは結構気に入った。夏の恋を引きずりながらクリスマスを迎えた男たち。海の家でバイトして、そこで出会ったかわいい女の子との想い出。そんなもの夏の終わりとともに消え去るのが当然で「いつまで夏の余韻に浸っているのだ、もてない男たちよ!」と喝を入れてあげたくなる。でも、こいつらにそんなことを言っても無駄だ。バカだから。こういうバカを主人公にして、バカにバカをさせて楽しむ映画だ。結構イタイ映画でもある。心して見るように。


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