今年は例年以上にたくさん本を読んだような気がする。170冊。その中からのベストテンだ。女性作家の小説が圧倒的におもしろい。そんな中で小嶋陽太郎は別格のおもしろさ。白岩玄『たてがみを捨てたライオンたち』も(たまたま)このベストテン圏外にしたけど、実によかった。繊細な感情の綾を丁寧に掬い取る作品がいい。何もない話をどこまでドキドキさせて描けるか。奇抜なお話はいらない。ただそこで生きていること、それだけで心にしみてくる。そんな小説が好き。何でもない日常を、何という事もなしに描いているだけなのに、目が離せないし、どうなるのか、先が気になる。ドラマチックはいらない。
1位 悲しい話は終わりにしよう (小嶋陽太郎)
2位 百貨の魔法 (村山早紀)
3位 その話は今日はやめておきましょう (井上荒野)
4位 森へ行きましょう (川上弘美)
5位 クローゼット (千早茜)
6位 友情だねって感動してよ (小嶋陽太郎)
7位 いまは、空しか見えない (白尾悠)
8位 水槽の中 (畑野智美)
9位 南西の風やや強く (吉野万里子)
10位 猫は笑ってくれない (向井康介)
次点 ファーストラブ (島本理生)