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映画・演劇のレビュー

『MAD探偵 7人の容疑者』

2011-11-07 21:47:45 | 映画
こういう珍品が思い出したように今頃になって公開されることがあるから、紛らわしいのだ。2007年の香港映画で、07年には東京国際映画祭、08年福岡アジアフォーカスでも上映されたジョニー・トーの映画である。これが今頃になり、ようやくひっそり劇場公開された。2011年劇場公開作品としてTSUTAYAでこれをみつけたジョニー・トーのファンであるうちの嫁さんが大喜びでレンタルしてきたのだが、見始めてすぐ、「私、これ見てる!」と言い出した。わざわざレンタルしてきたのにそれはなんだろ、と思う。

彼女は3年前に福岡アジアフォーカスで、別タイトルでの上映を見たらしい。(調べたらその時のタイトルは『マッド探偵』で、同じじゃん、と思った)まぁ、映画祭で毎日4本ずつ1週間ほど見た中の1本なのだから、忘れていてもしかたないだろう。それにしてもなぜ、彼女がこれを新作だと、勘違いしたのかは、映画を見始めてしばらくしたらすぐにわかった。

 このわけのわからないストーリー展開と、そのくせ、とても地味なアクションとも言えないような見せ方。どこをどう捉えてこの作品を評価したらいいのか、よくわからない。だいたいストーリー自体がこんがらがっていて、何が何だかわからない始末だ。これでは記憶の彼方にいっても仕方ない。

ここにはいない死んでしまった人の姿、存在が見え、そいつと普通に喋ってしまう男が主人公だ。彼は刑事だったが、あまりのクレージーさから辞めてしまって、(というか、クビにされて)今では心霊探偵になっている。映画はそこにはいないものを彼の主観映像として見せたりする。でもそれを客観映像と織りまぜるから、こんがらがる。彼が刑事とともに事件の謎を追いかけるバディー・ムービーなのだが、この設定のせいで何でもありの映画になってしまう。これでは真面目に映画を見る気が失せてしまう。彼のエキセントリックな行動に振り回されながら、だんだん退屈してくる始末だ。よくもまぁ、こんなアホな映画を作ったものである。

サブタイトルの『7人の容疑者』というのは、犯人のまわりに7人の人間がいて、そこにいるのは1人なのに、7人がかりで犯行をしているからであり、アホです。しかも、その姿は主人公にしか見えないし。

映画はジョニー・トーとワン・カーファイとの協同監督で、以前に2人は『マッスルモンク』でも一緒に監督していた。あの映画も本当にアホな映画だった。


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