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映画・演劇のレビュー

極東退屈道場『ガベコレ』

2014-12-16 22:18:00 | 演劇
2度の準備公演を経て、ようやくの本公演だ。ここまで入念に準備したのは、この作品が今まで以上に危うい世界を描くためだ。立ち止まることなく、どんどん進化していく林慎一郎が今回、コラージュして、ルポするのは都市の未来と現在。地下鉄、駐車場と続いたこの街のドキュメントシリーズは、今回、廃棄されるゴミをテーマに据えた。舞洲の入口にあるあの奇怪な「タテモノ」を中心に据えて、集められたゴミを巡るいくつものスケッチが、35のエピソードとして羅列されていく。

そこにはあからさまな大阪の街作りへの批判も確かにある。だが、当然の話だが、そこにとどまるのではない。そこを出発点にして、大きな意味での「都市」の在り方へと至る。ダンスを交えて、語られるそれぞれの立場からの声。街のできごと。風景。ここにはストーリーはない。だが、ストーリーでは描かない刺激的なドラマが、ここにはある。

いくつものキーワードに刺激されて、そこで描かれるドキュメントを通して、僕たちは考える。この街の今と未来。バカな政治家、行政の失態によって、大阪はどんどんつまらない町になる。こんなはずではなかった。でも、それは加速する。その象徴としてのあの醜悪なゴミ処理場。

林さんは行政を批判するためにこの作品を作ったのではないことは明白だ。そうではなく、興味深い場所の都市ウォッチングからスタートして、想像や妄想を深めるばかりだ。ゴミ収集というキーワード自身をガジェットとして展開するスケッチは、気がつくと、とんでもないものとなる。この化け物のような作品の圧倒的な迫力の前で、僕たちは震撼するしかない。これは2時間に及ぶ壮大な悪夢だ。ここで生きる僕たちは、それを堪能する。そうしてもう一度見直す。劇場の外に現実がある。


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