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映画・演劇のレビュー

森沢明夫『ロールキャベツ』

2023-07-15 07:22:00 | その他

森沢明夫が手掛ける青春起業小説。夢も趣味もない大学2年生の夏川誠が主人公。彼を変えたのは、ただ椅子に座るだけの遊び「チェアリング」の仲間たちだった。

5人の大学生たちが過ごす春から夏までの短い時間。でもそこから始まる未来。大学2年の春になる頃、ふたりの女の子たちに出会う。パンクした車のタイヤ交換をしてあげることから始まった付き合いは下宿のシェアハウスの仲間2人を加えた5人のチェアリング部発足に繋がる。20、21歳の頃。就活が始まる時期に5人は人生最高の時間を過ごす。

甘い小説だけど、こんな甘やかな時間って素敵だと思う。大人と子どもの間で、でも確実に大人サイドにいる彼らが最後の子ども時間を過ごす。だけどこれは終わりではなく、始まりだ。そんな眩しい時間をじっくり描く青春小説。社会の荒波に揉まれる前の夢の時代を愛おしむように描く爽やかな作品。


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