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映画・演劇のレビュー

芥川龍之介『文豪死す』

2024-07-03 08:00:00 | その他

タイトルに作者名を芥川龍之介と書いたが、もちろんこれは芥川の新作ではない。6人の文豪と呼ばれていい日本を代表する作家たちの最期の小説を集めたアンソロジーだ。先日カフカを紹介するエッセイ『カフカふかふか』を読み、久しぶりにカフカを読みたいと思ったけど、なんかそれって時間のムダみたいな気がして(カフカは凄いけど、今僕がカフカを読むことにあまり意味を見いだせない)やめた。

だけど、これは今読む意味を感じだから、読み始めた。僕は今は新刊しか読まない主義である。まぁこの本は新刊だから、主義には反しないけど、大正、昭和に活躍した歴史に残る作家たちの遺稿集である。新しいわけではないし、初読でもない。だけど、これは実に新鮮だった。
 
高校生の頃に読んだ『歯車』は「怖い小説だった」ということしか覚えていないくせに、授業で芥川をする度に「傑作だ」とか胡散臭いことをしゃべっていた。高校1年生は必ず『羅生門』をするから、たぶん20回くらいは授業をしているはすだ。その都度そんなふうに『歯車』に触れたくせに、実は今回読むことが2度目である。高校時代に読んで以来。まだ17.8歳の広瀬はこれを読んで面白いと思ったのか? 疑わしい限りである。10代に読んだ本はもう読まないけど、芥川も太宰も梶井基次郎もみんな10代の頃読んだ。大学の卒論は鏡花で準備していたが、書けなくて漱石にした。もちろん鏡花も漱石も全集でほぼみんな読んでいる。忙しいはずなのに、よく読んだものだ。
 
今読み返すと、よくもまぁこんな本を高校生が読むよな、と呆れる。確かに凄いけど、今なら17歳には勧めない。今、授業で17歳と川上弘美や山田詠美をしている。教科書にちゃんと載っているし。なんか不思議な時代になった。
 
もちろん未だに『山月記』も載っているし、先日授業でやった。2学期には当然『こころ』をする。

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