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映画・演劇のレビュー

坂木司『ワーキング・ホリデー』『ウインター・ホリデー』

2014-12-17 21:14:19 | その他
こういう軽い小説ばかり読んでいると、重量級の作品が読めなくなるかも、なんて心配するほどに、読みやすい。400頁ほどの作品が、2日ほどで読める。(もちろん、基本は電車の往復2時間だ)1時間で100ページというのは、かなり早い。先が読める話で、おきまりのパターン展開から一歩も踏み出さない。わかりやすいし、何も考えなくていい。でも、楽しいし、ちょっと泣かせる。あざといし、うそくさい、というのと紙一重だが。

元ホストで、今は宅急便の配達員をしている血の気の多い単純な男と、いきなり訪ねてきた小学5年の息子。(彼はそれまで自分の息子なんてものがこの世に存在することなんて知らなかった!)彼ら2人を囲む心やさしい人たちとの物語。

こういう話は実は難しい。あまりにありきたりすぎて、乗り切れない場合があるからだ。だが、この小説は見事に読者を乗せる。うまい。どんどん、読み進め、気づくと感動している。けなげな息子と、単純バカの父。彼らのやりとりに、ハマる。

続けて、続編の『ウインター・ホリデー』も読んだ。こちらはその後のふたりが描かれる。1作目の夏休みから、こちらは冬休みへとシフトしている。相変わらずあざとい。1作目が楽しかったから、もう少し彼らの世界に浸りたいという読者のためのサービス。

この小説(もちろん1作目)は昨年、映画にもなっている。もちろん、見ていない。あまりに安っぽすぎて、そそられなかった。でも、この原作を読んで、少し、興味を持った。上手く作れば面白くなる。でもキャストもあまり期待できないし、きっと絶対つまらないはずだが、ツタヤで借りるかも。


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