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映画・演劇のレビュー

『ITイット “それ”が見えたら、終わり。』

2017-11-08 19:17:12 | 映画

 

スティブン・キングの旧作をリメイク。以前はTVドラマとして作られた。確か3時間の前後篇。今回初の映画化は、2時間15分で、子供時代のエピソードのみで作られた。原作は13歳と27年後のふたつの話が交錯する。少年時代のみのエピソードで全体を構成したのは正解だ。シンプルだけど、美しい映画に仕上がった。オリジナルの「今」だった80年代をそのまま舞台にすると、30年の歳月を経て、今ではノスタルジックな風景として見えてくるのもいい。同じキング原作の『スタンド・バイ・ミー』のような映画をねらったみたいだ。あれはホラーではないけど、これだってもうこうなると単純なホラーではない。

 

子供の頃怖かったもの。それが具体的なピエロとして彼らの前に現れる。弟の死から始まり、1年後、弟を死に導いたピエロに立ち向かっていく主人公の少年とその仲間たち。7人の少年少女たちは、それぞれが心に中に持つ恐怖と対峙する。同時にその具現化であるピエロと戦うことになる。彼らは逃げない。

 

この映画が素晴らしいのはひとりひとりの傷みとしっかり向き合いながら、彼らが力を合わせることで、それ(IT)を乗り越えていこうとするところにある。13歳というギリギリの年齢がそれを可能にする。あと少し大きくなると彼らは「孤」になってしまう。その直前のまだ仲間を信じられる時間。そして自分の弱さをちゃんと理解し、でも、強くならなくては、と思うことも出来る。信じることがどれだけ大きな力を持つのかを、この映画は教えてくれる。


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