これはダメだと思う。「愛のために人を殺せるか」なんていう観念的な話は、映画自体によほどの仕掛けがなくては、観客を納得させられない。雰囲気だけで流されるわけにはいかない。しかも、リアルな映画ならいざ知らず、こういうムードだけで押していく映画である。難しい。余程上手く乗せられなくては、冗談のようなおふざけ映画に堕してしまう。50年も前のフランス映画のリメイクである。ルイ・マル監督の傑作ミステリーを現代の日本に置き換えて見せる。それだけでも大変なことなのに、この映画は、映画の中におけるリアリティーが絶対条件になる。リアルな嘘に心地よく酔わせる必要があるのだ。それってかなりの高等技術を要する。25歳だったルイ・マルに対して、50歳の緒方明。大人の力で支え切れるか、がこの映画の見所か。だが、残念ながらまるでダメだった。
緒方明監督は、この作り物めいた世界を思いっきりキザに、わざとらしいくらい嘘くさく作る。危険を承知で挑んだのだろうが、失敗だ。話にまるで説得力がない。ルイ・マルはテンポのいい語り口で一気に見せたから観客を騙せたが、このトロい作り方では、この穴だらけの話に突っ込みを入れまくって見てしまうから、ダメだ。
大体まず、編集が悪いのは致命的だ。まるでなってない。これではスリリングな映画にはならない。サスペンス映画なのに、これではまるでサスペンスを感じない。作り手はこの映画の醸し出す「作り物の世界」に心地よく酔ってもらいたい、と望んだのだろうが、上手く乗せてくれないから、騙されたいのに無理。主人公は4人とも間抜け。それに振り回される周囲の人物もバカすぎ。どうしてこんなことになってしまったのか、想像を絶する。
主人公の吉瀬美智子はでかいだけで、まるで大根だ。なぜ、彼女を使ったのだろうか。阿部寛もいつもの魅力がまるでない。エレベーターの中に閉じ込められて必死の努力をするのだが、あれではなんの意味もない。その意味のなさがこの映画の意図なのならいいのだが、そうでもなさそうだ。玉山鉄二の警官なんて、ただのバカにしか見えない。そのバカと行動を共にする北川景子はもっとバカだ。何一つ納得がいかない映画である。困った。
緒方明監督は、この作り物めいた世界を思いっきりキザに、わざとらしいくらい嘘くさく作る。危険を承知で挑んだのだろうが、失敗だ。話にまるで説得力がない。ルイ・マルはテンポのいい語り口で一気に見せたから観客を騙せたが、このトロい作り方では、この穴だらけの話に突っ込みを入れまくって見てしまうから、ダメだ。
大体まず、編集が悪いのは致命的だ。まるでなってない。これではスリリングな映画にはならない。サスペンス映画なのに、これではまるでサスペンスを感じない。作り手はこの映画の醸し出す「作り物の世界」に心地よく酔ってもらいたい、と望んだのだろうが、上手く乗せてくれないから、騙されたいのに無理。主人公は4人とも間抜け。それに振り回される周囲の人物もバカすぎ。どうしてこんなことになってしまったのか、想像を絶する。
主人公の吉瀬美智子はでかいだけで、まるで大根だ。なぜ、彼女を使ったのだろうか。阿部寛もいつもの魅力がまるでない。エレベーターの中に閉じ込められて必死の努力をするのだが、あれではなんの意味もない。その意味のなさがこの映画の意図なのならいいのだが、そうでもなさそうだ。玉山鉄二の警官なんて、ただのバカにしか見えない。そのバカと行動を共にする北川景子はもっとバカだ。何一つ納得がいかない映画である。困った。