『ライトハウス』のロバート・エガース監督が、北欧の大地を舞台に繰り広げられる、1人の男の復讐の旅路を描いたアクション大作。だが派手なアクションではなく、静かな物語を神話として、じっくりと語り聞かせるというスタイルを取る。
暗い画調で統一されたお話はリアルではない。ツッコミどころ満載の昔話で、悠々たるタッチで語られる。昔、昔あるところで、ある男がいました、という感じで、シェイクスピアを思わせるドラマ展開をする。(お話は『ハムレット』)
単調な展開の2時間17分は長い。見ていて次第に退屈してくるけど、作り手はまるで動じない。父を殺して王位を奪った叔父への復讐を描くのだが、まるでハラハラしないし、ドキドキもない。ただただ悠然とした語り口で堂々と描かれていく。
よくもまぁこんな映画をこれだけのスケールで堂々と作ったものだ。しかもローカル映画ではなくアメリカの大作映画だし、オールスターキャスト。最初にアクション映画と書いたが、実は嘘。架空の世界の壮大な歴史劇だ。今時よくやるなぁと感心する。まぁ監督があの『ライトハウス』を作った人だから妥協はないし、これは当然かもしれないが。