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映画・演劇のレビュー

『ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀』

2013-02-25 22:24:19 | 映画
 なぜこんな地味な映画が公開されることになったのだろうか。なんとも不思議だ。しかも、東映配給というのも。ドイツのパニック映画で、ナチスの話で、陰謀と冒険とラブストーリーの娯楽スペクタクル大作。盛りだくさんだけど、それだけ。

 最初はロバート・ワイズ監督のアメリカ映画『ヒンデンブルグ』のリメイクかと思ったがそうではなかった。大作を装って、実は劇場映画でもない代物をわざわざ公開するのはなぜか。しかも、どういう経緯でこんな形で公開することになったのか、謎は深まるばかり。東映系でこんなにも地味に。自信がないのなら公開しない方がいい。やるならとことんやって騙せ。

 これは劇場用映画ではなく、TVムービーではないか、と映画を見始めてすぐ思った。あのオープニングは映画ではありえない。後でキネ旬を見たら、ちゃんとそのへんが書かれてあった。なんと3時間のTV映画を編集して1時間50分にしたものを日本では劇場公開にしたようだ。どうりで話がよく飛ぶし、ストーリーに無理があるし。脚本はめちゃくちゃ。オリジナル版はもう少しちゃんとした話なのだろうが、きっとそれでも大雑把な気がする。ただしヒンデンブルグのスケール感はとてもよく出ていた。CGでもこれだけの質感やボリュームを表現できるのは、意外だった。これを映画館の大きなスクリーンで見ると、確かに圧巻だった。でも、話自身はヘボ過ぎた。

 「空のタイタニック」という感じで宣伝をしようとしたようだが、それは無理だろう。だいたいこういう中途半端な宣伝なら、しないほうがいい。上手く騙して、あわよくば儲けようとでも思ったのか。世の中そんなに甘くはない。ハリウッドの大作映画ですら、なかなかヒットしない時代なのだ。こういう映画に騙されるような奇特な観客はいない。だますならとことん、徹底した宣伝と戦略で、ちゃんと勝負したらよかったのだ。まぁ、誰も騙されたりはしないだろうけど。

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