なんだか説明不足で置き去りにされる。そんな映画だ。でも、風景が圧倒的に美しく、そんな場所に置き去りにされるのだから、まぁ、それはそれでいいかぁ、とも思う。異常な化粧を施したショーン・ペンの姿のインパクトにひきずられて、この映画は一見なんだかとても異常な物に思える。だが、そうではない。これはちょっとしたロードムービーだ。ダブリンからニューヨークへ。30年間まるで音信のなかった父の死。父との確執。死 . . . 本文を読む
『ふれられるよ今は、君のことを』というタイトルに心魅かれた。特に「今は」という部分。そこにはきっと「今だけ」というニュアンスを秘める。そんな気がした。小説は期待以上によく出来ていた。というか、今の僕の気分にぴったりでそれにも驚いた。
これは、とても切ない。ひとりで生きるということの痛みが、これでもか、これでもか、といった感じで綴られる。主人公は40前後の独身女性。中学の教師をしている。学校では . . . 本文を読む
こんなにも怖い話はない。それをここまでストレートに見せる。凄い映画だ。もちろん、これはホラーではない。ホラー以上に怖い事実だ。聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠蔽する教育者たち。ありえないような目を覆いたくなる行為が生々しく描かれる。こんな話の映画に挑戦した3人の子供たちがすごい。彼らの体を張った迫真の演技がこの恐ろしい映画を成立させた、と言っても過言ではない。絵空事ではな . . . 本文を読む
HIV感染者たちの隔離施設(というか、村の閉鎖された学校なのだが)で出会った男女が、「絶望の中で愛し合う様子を繊細に描く」(と、どこかの解説には書いてあった)。監督は、あの傑作『孔雀 我が家の風景』のクー・チャンウェイ。あの映画が大好きだから、ただそれだけでこの映画を見たのだが、ちょっと残念な出来で、がっかりした。切実さがまるでない。どうしてこんな映画にしたのだろうか。
売血を通してエイズ . . . 本文を読む
ジェイムズ・アイボリー監督の新作は、こんなタイトル(原題もここまま)が付いているけど、映画自体はなんだか摑みどころのない作品で、なんともゆるい空間で主人公たちは、ずっとまどろんでいるばかりだ。これでいいのか、と思うくらいになんだかよくわからない映画である。でも、その何とも言い難い世界がとても不思議で心地よい。思いもしない映画で意外性が何よりも魅力的なのだ。でも、ほんとに、ここが人生 . . . 本文を読む