クロムを見ると、ほかのつまらない芝居(というか、他のすべての芝居!)なんて、見ていられない、と思う。レベルが違いすぎるからだ。しかも、その独自の文体は他の演劇作品の追随を許さない。なんて、書き始めてしまうと、そこまで言い切っていいのか、と自分に対して、少しびびってしまうけど、思わずそう書きたくなるほど、これはおもしろいのだ。切り口の鮮やかさ。へんにテンションの高い役者たちの芝居。いったいこれから . . . 本文を読む
ポ-ル・トーマス・アンダーソン監督の新作は新興宗教の教祖とその信者となる心を病んだ男との確執劇。フィリップ・シーモア・ホフマンとホアキン・フェニックスのバトルが全編を彩る。ストーリーらしいストーリーがない。彼らの関係性を軸にして、それぞれの一方的な想いがぶつかり合うばかりだ。しかも、まるで救いがない。延々と続く諍いと和解、さらなる諍い。その繰り返し。
だが、その繰り返しから目が離せない。ホア . . . 本文を読む
こういう青春映画が見たかった。話自体はけっこうシビアだけど、心に沁みる。高校時代から始まり、20年間に及ぶ3人の軌跡が描かれる。男2人、女1人という黄金のパターンなのだが、3人の気持ちが、微妙なところでどんどんすれ違う。実は男同士も好き、というのも、なかなか。でも、ホモもの、というのではない。
2人の男がひとりの女の子を同時に好きになる。そこから3人の愛情物語が始まる。愛情と友情の板挟みに悩 . . . 本文を読む
前回の『GET UP村』もこんな感じだった。決して悪くはないのだ。だから今回だってまた見てしまう。でも、やはり、がっかりする。作者は、自分の発想のおもしろさを信じきれてない。だから、そのまま、安易にゆるくて甘い作品にして終わり。せめて上演時間を90分にしたなら、もっと考えて作れるのに、60分というお気楽な長さを選択することで、大切なものがみんな抜け落ちてしまうのだ。この手のアイデア勝負の作品はデ . . . 本文を読む