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映画・演劇のレビュー

青年団 国際演劇交流プロジェクト『鳥の飛ぶ高さ』

2009-06-15 22:44:29 | 演劇
 2時間15分の長尺が、あっという間だった。こんなにも面白い芝居に仕上がるなんて想像もしなかった。従来の青年団の芝居とはまるで違う。それは演出が平田オリザではないからだ、なんて言わさない。たとえ原作が別人であろうとも、台本、演出協力として平田さんの名前があり、青年団の役者たちが出演しているし、オリザさんによるプロデュース作品なのだ。ここには確かな平田さんの企みがある。もちろんそれは演出家の企みでも . . . 本文を読む
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劇団 往来『母 おふくろ』

2009-06-15 21:43:44 | 演劇
 昨年の『セチュアンの善人』に続き今年もブレヒトに挑戦した劇団往来の新作。しかも今回は正攻法だ。真正面からこの素材に挑む。とはいえ往来らしい仕掛けはある。現代の日本の政治状況をコントとして挟み込みながら、遠い過去でしかない20世紀初頭の帝政ロシアでのお話を、必ずしも、ただの歴史のお勉強のようには見せたりはしない。しかも、タッチはあくまでも重厚である。  当時の政治状況や、時代背景をきちんと抑えて . . . 本文を読む
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劇団 未来『ラ・ブルー・スィエル』

2009-06-15 21:17:59 | 演劇
 実に爽やかな芝居だ。舞台となる山里のおしゃれな創作レストランと、その周囲に広がる自然そのままのような舞台だ。広々とした開放的なレストランの雰囲気をよく表現した丁寧な舞台美術もいい。テラスから中に入れる。周囲に広がる森に囲まれ、ぽつんと立つ一軒家。そこからは、ここで暮らす中年夫婦のたたずまいが確かに伝わる。10年間、この田舎に根を下ろし、生活する。でも、そこに染まるのではなく自分たちの美意識を大事 . . . 本文を読む
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遊劇体『海神別荘』

2009-06-15 20:49:07 | 演劇
 とてもシンプルで美しい作品だ。今まで取り上げてきた泉鏡花作品と同じテイストなのに、描かれ方が違う。まるでおとぎ話でも見てるようで、その素直な語り口に戸惑うくらいだ。キタモトさんはいつもながらのタッチで、淡々と見せる。語り手である女(条あけみ)が出て来て、彼女の語りによって観客は海の底へといざなわれる。  前半は少し単調で乗り切れないかもしれない。役者は動かないし、正面を向いて立ったままで淡々と . . . 本文を読む
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