ポン酒猫のジャズ屋A7

日々ジャズと酒に明け暮れるジャズ喫茶のマスターが書き綴る何の役にも立たない話

Buddy Rich / Just Sings

2009-11-15 06:15:58 | JAZZ VOCAL :男性


ジャズ・ミュージシャンで唄を歌う人は少なくない。

中でもその最右翼は云わずと知れたルイ・アームストロングであろう。

また、チェット・ベイカーも独特の個性ある声でユニークな唄を聴かせてくれる。


ドラマーのバディ・リッチもその1人。

リッチは余技として唄を歌うのだが、それは器楽奏者のウラ芸というレベルを

遥かに超えており、ジャズ・ヴォーカルとして十分聴くに値する。

実際リッチはハリー・ジェイムス楽団に在籍していた頃に

『唄を歌えというなら、別にギャラをくれ』と言ったというエピソードまで残している。


本作品はリッチがヴァーヴに吹き込んだアルバムで

リッチはドラムを一切叩かず完全にヴォーカルに専念している。

中々声量もあり、アップ・テンポからスローまで見事にこなしている。


バックを務めるベン・ウエブスターやハリー・エディソンらの

ソロも何曲かで聴く事が出来、楽しめるアルバムと成っている。


尚、同じヴォーカル・アルバムである

「Buddy Rich / The Voice Is Rich」(Mercury MG-20461)(写真下)と



本作品をカップリングしたCDが、この「Buddy Rich / Just Sings」と

同じジャケット・デザインで スペインのJazzbeatから発売されている。




 Buddy Rich / Just Sings

  Verve MV-2075

  スペイン Jazzbeat JAZZBEAT-522 (2in1)  (Reissue)


1,Cathy
2,Between The Devil And The Deep Blue Sea
3,It's All Right With Me
4,Over The Rainbow
5,You Took Advantage Of Me
6,Can't We Be A Friends
7,It's Only A Paper Moon
8,Melancholy Baby
9,Cheek To Cheek
10,It Don't Mean A Thing ( If It Ain't Got That Swing )
11,I Hadn't Anyone Till You
12,That Old Feeling


Buddy Rich (vo)
Ben Webster (ts)
Harry “Sweets” Edison (tp)
Paul Smith (p)
Howard Roberts (g)
Joe Mondragon (b)
Alvin Stoller (ds)


1957年 1月31日 Los Angeles 録音





Kenny Dorham Sings And Plays / This Is The Moment

2009-10-15 03:34:07 | JAZZ VOCAL :男性

これはトランペッター、ケニー・ドーハムが全編唄を歌ったアルバム。

勿論本職であるペットも披露している。


1曲目の「Autumn Leaves」を20数年前に初めて聴いた時、

『これなら俺でもジャズ・ヴォーカリストになれる』

と思った程ヒドイ唄だと感じたのだが、

最近聴き直してみると、これが意外に良いのだ。


一本調子で、声のコントロールなどは稚拙で殆んど皆無に近いが、

聴き込むうちにドーハムおじさんの温かく、

何処と無くとぼけた味わいがじわじわとしみ込んでくる。


尚、2曲目の「I Remember Clifford」は

トランペッターの技量を示すのには最適の作品であるが故に、

当然ここではペットを吹いていると思ったのだが、

何とドーハムおじさんはず~っと歌っており、1フレーズも吹いていない。



 Kenny Dorham Sings And Plays / This Is The Moment

  Riverside RLP-275

  Fantasy OJCCD-812-2 (Reissue)


1,Autumn Leaves
2,I Remember Clifford
3,Since I Feel For You
4,I Understand
5,From This Moment On
6,This Is The Moment
7,Angel Eyes
8,Where Are You
9,Golden Earrings
10,Make Me A Present Of You


Kenny Dorham (vo,tp)
Curtis Fuller (tb)
Cedar Walton (p)
Sam Jones (b)
Charlie Persip (ds)....1,3,4,6,7,8,10
G. T. Hogan (ds)....2,5,9


1958年 7月7日、8月 New York 録音









Sammy Davis Jr. / Sammy Awards

2009-08-05 02:56:49 | JAZZ VOCAL :男性

「サミー・アウォーズ」と題されたこのアルバム、

ジャケットは万歳したアカデミー賞のオスカー像をモチーフに

サミー自身がその黄金像となったもの。


となれば、当然アカデミー主題歌賞作品を集めたものと思いきや、

さにあらず、収められた曲の多くが受賞を逃した作品である。


途中に入るワルツの使い方がユニークな「Blues In The Night」

ラテン・リズムで歌う「It's Magic」、ベイシー風サウンドをバックに

スウィンギーでダイナミックな「Change Partners」

ギター伴奏のみで歌う「I Fall In Love Too Easily」

そして、最後に拍手が入り、エンディングを繰り返すという

ライヴの雰囲気が楽しめる「I've Heard That Song Before」と

メル・トーメの物真似スキャットが入る「You'd Be So Nice To Come Home To」

の2曲は世紀のエンターテイナーと呼ばれたサミーらしいお遊びで一杯だ。

全12曲が収録されており、聴く方も楽しくなってくるアルバムである。



 Sammy Davis Jr. / Sammy Awaeds

  Decca DL-78921

  ワーナー・ミュージック・ジャパン 25P2-2828 (廃盤)


1,Blues In The Night
2,It's Magic
3,I've Heard That Song Before
4,Love Letters
5,Change Partners
6,For Every Man There's A Woman
7,The Man That Got Away
8,Lovely To Look At
9,Too Late Now
10,I Fall In Love Too Easily
11,Pennies From Heaven
12,You'd Be So Nice To Come Home To


Sammy Davis Jr. (vo)
Buddy Bregman (arr,Cond)...1,3,4,6,8,11
Morty Stevens (arr,cond)...2,5,7,9,12
and Orchestra
Mundll Lowe (g)...10


1959年 6月5日、6日 New York 録音




Joe Mooney / Lush Life

2009-03-02 00:22:36 | JAZZ VOCAL :男性


ジャケットが所謂エロ・ジャケの類なので、紹介をためらっていたアルバム。

本作品のリーダー、ジョー・ムーニーは1911年ニュージャージー生まれ、

病気の為10代半ばで失明している。

ピアノやアコーディオンを弾きながら唄も歌い、1920年代後半には

ラジオの人気スターにもなっている。


これは1957年にアトランティック・レコードからリリースされたアルバムで

ジョーはここでハモンド・オルガンを弾きながら歌っている。


余り声量は無いが、粋で洒脱な語り口のヴォーカルは、

マット・デニスやジョー・デリーズ(写真下)辺りに通じるものがある。

その手の弾き語りがお好きな人にはオススメのアルバムである。



 Joe Mooney / Lush Life

  Atlantic SD-1255

  Koch Jazz KOC-CD-8524

  Rhino 081227412227 (Reissue)


1,Polka Dots And Moonbeams
2,Nina Never Knew
3,Crazy She Calles Me
4,Lush Life
5,Love Is Here To Stay
6,That's All
7,The Kid's A Dreamer
8,Nowhere
9,My One And Only Love
10,Have You Met Miss Jones


Joe Mooney (vo,org)
Jimmie Lee Robinson (g)
Milt Hinton (b)
Osie Johnson (ds)


1956年 11月28日~30日 New York 録音



■関連アルバム■

「Joe Derise / Joe Derise Sings」


 


Perry Como / So Smooth

2008-10-18 03:08:21 | JAZZ VOCAL :男性


ペリー・コモは日本ではジャズ・シンガーと言うより、

ポピュラー・シンガーとしての知名度が高いようだが

コモはジャズを歌わせても素晴らしい唄を聴かせてくれる。


本作品は、1955年にペリー・コモがミッチェル・エアーズ編曲、指揮の

オーケストラをバックに吹き込んだセッションと、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスの

コンボでの吹き込みの2つのセッションが収録されている。


タイトル通りコモのスムースで軽快な歌唱をたっぷり楽しめるアルバムだ。

ヴォーカル・ファンは1曲目の「It's A Good Day」での

コモとコーラスの絡みを聴いて一遍に気に入ってしまうに違いない。


尚、1、5、12の3曲にレイ・チャールズ・シンガーがコーラスとして

クレジットされているが、これは黒人歌手のレイ・チャールズとは全く関係がなく、

同姓同名の白人のレイ・チャールズが率いていたグループである。


 Perry Como / So Smooth

  RCA Victor LPM-1085


1,it's A Good Day
2,As Time Goes By
3,I've Got The World On A String
4,My Funny Valentine
5,For Me And My Gal
6,I Gotta Right To Sing The Blues
7,Breezin' Along With The Breeze
8,It's The talk Of The Town
9,You Do Something To Me
10,It Happend In Montery
11,One For My Baby
12In THe Still Of The Night


Perry Como (Vo)
Mitchell Ayres (arr,cond)
The Ray Charls Singers (chorus)...1,5,12
and Chorus...6,10
Henry Rawland (p)...3,7,9
Anthony Mottola (g)...3,7,9
Robert Haggart (b)...3,7,9
Terry Snyder (ds)...3,7,9


1,5...1955年2月8日
2,3,4,9...1955年1月20日
6,7,10...1955年1月25日
8,11,12...1955年2月17日 
New York 録音


Vic Damone / Linger Awhile With Vic Damone

2008-09-16 03:38:43 | JAZZ VOCAL :男性

      

シナトラをして「ショー・ビジネス界で最高の喉(のど)を持っている」

と言わしめた、ビック・ダモン。

その美声が最大の魅力である事は間違いない。


本作品はキャピトルでの最初のアルバム。

ダモンは快調で、ジャック・マーシャルのアレンジによるオーケストラをバックに、

ミディアムからアップ・テンポのナンバーを軽快に且つスウィンギーに歌っている。



 
Vic Damone / Linger Awhile With Vic Damone

  Capitol ST-1646


1,Linger Awhile
2,Close Your Eyes
3,Stella By Starlight
4,Change Partners
5,After The Lights Go Down
6,Let's Face The Music And Dance
7,Soft Lights And Sweet Music
8,Deep Night
9,One Love
10,There! I've Said It Again
11,When Lights Are Low
12,In The Still Of The Night


Vic Damone (vo)
Jack Marshall (arr)
and Orchestra


1961年 録音



尚、輸入盤で本作品と「Vic Damone / My Baby Loves To Swing」

(Capitol ST-1811) をカップリングしたCDが発売されていたが、

現在廃盤のようである。

輸 EMI 7243 8 59957 2 9


 

 



Joe Derise / Joe Derise Sings

2008-07-10 13:48:39 | JAZZ VOCAL :男性

 粋なピアノの弾き語りアルバム。

 ピアノとヴォーカルはジョー・デリーズ。

 洒脱で軽妙な味わいは、同じ白人の弾き語りシンガーであるマット・デニスに通じる処がある。

 バック・メンバーはベースにミルト・ヒントン、ドラムスはオシー・ジョンソン。この名手2人のサポートも素晴らしい。

 尚、ジャケット・デザインはバート・ゴールドブラットである。


 Joe Derise / Joe Derise Sings
 Bethlehem BCP-1039
 東芝EMI TOCJ-9390 ¥2,200 (紙ジャケット)

 1,Comes Love
 2,It Might As Well Be Spring
 3,My Romance
 4,Maybe
 5,How High The Moon
 6,A Fine Romance
 7,Mountain Greenery
 8,How Long Has This Been Goin On

 Joe Derise (P,Vo)
 Milt Hinton (b)
 osie Johnson (ds)

 1955年 3月10日 ニューヨーク録音



Jack Jones / Curtain Time

2008-05-26 00:40:25 | JAZZ VOCAL :男性

 甘いマスクとしっかりした歌唱力のジャック・ジョーンズ。

 シナトラやメル・トーメといったシンガーに比べ、個性にやや欠ける処が日本での過小評価に繋がっている様に思える。

 しかし、アルバムによっては十分ジャズ・ファンの鑑賞に堪えうるモノも少なくない。

 本作品はブロードウエイ・ミュージカルからのナンバーを集めたもの。

 オーケストラをバックに軽快に、また曲によってはしっとりとしたジャックの唄を聴く事が出来る。


 Jack Jones / Curtain Time
 Kapp KS-3566
 ユニバーサル・ミュージック UCCU-3001 ¥2,300

 1,People Will Say We're In Love
 2,I See Your Face Before Me
 3,Luck Be A Lady
 4,Embraceable You
 5,I Love Paris
 6,I've Grown Accustomed To Her Face
 7,People
 8,Shall We Dance?
 9,It Never Enterd My Mind
 10,A Lot Of Livin' To Do
 11,Everytime We Say Goodbye

 Jack Jones (Vo) And Orchestra

 1968年録音



Jesse Belvin / Mr. Easy ( '59)

2008-03-12 04:34:53 | JAZZ VOCAL :男性

 アルバム2枚と僅かなシングルのみを吹き込んだだけで、交通事故死した悲運のシンガー、ジェシー・ベルヴィンのアルバム。

 スタンダードを中心とした選曲で構成された本作は、全曲マーティ・ペイチのペンに よって書かれている。

 バックのメンバーもウエストのスター達で固められており、アート・ペッパーやジャック・シェルドンのソロも聴ける。

 ジェシーの声質はやや甘め、滑らかでサラッとした唄い廻し。軽快なスウィング感を持っており、今更ながらその早すぎた死が惜しまれる。


  Jesse Belvin / Mr. Easy  BMGジャパン BVCJ-35018

 1,It's All Right With Me
 2,Something Happens To Me
 3,What's New
 4,In The Still Of The Night
 5,Blues In The Night
 6,Let There Be Love
 7,Imagination
 8,The Best Is Yet To Come
 9,Makin' Whoopee!
 10,Angel Eyes
 11,I'll Buy You A Star
 12,The Very Thought Of You

  1,2,6,8
 Conte Candoli (tp)
 Jack Sheldon (tp)
 Al Porcino (tp)
 Raymond Triscari (tp)
 Stu Williamson (tp)
 Marshall Cram (tb)
 Verne Friley (tb)
 Harry Betts (tb)
 Frank Rosolino (tb)
 Red Callender (tuba)
 Rus Freeman (p)
 Joe Mondragon (b)
 William Pitman (g)
 Mel Lewis (ds)
 Larry Bankaer (vib,perc)
 Art Pepper (as)            
  1959年12月8日録音

  3,7,10,12
 William Pitman (g)
 Mel Lewis (ds)
 Rus Freeman (p)
 Joe Mondragon (b)
 Jack Sheldon (tp)
 12-Violins
 4-Violas
 2-Cellos
 4-fr.horns
 2-Clarinets
  1959年12月9日録音

  4,5,9,11
 Rus Freeman (p)
 Joe Mondragon (b)
 Al Hendrickson (g)
 Mel Lewis (ds)
 Milt Holland (vib,perc)
 Al Porcino (tp)
 Conte Candoli (tp)
 Stu Williamson (tp)
 Dick Collins (tp)
 Harry Betts (tb)
 Dick Nash (tb)
 Pete Carpenter (tb)
 Marshall Cram (tb)
 Art Pepper (cl,as)
 12-Violins
 4-Violas
 2-Cellos
  1959年12月16日録音  5,11のみVocal Overdub 1959年12月22日