ポン酒猫のジャズ屋A7

日々ジャズと酒に明け暮れるジャズ喫茶のマスターが書き綴る何の役にも立たない話

Jack Montrose / The Jack Montrose Sextet

2012-08-20 02:18:08 | JAZZ

 

このジャック・モントローズ・セクステットはパシフィック・ジャズ・レーベル

の中でもかなり好きなアルバムである。


ジャック・モントローズは自らテナーを吹くだけでなく、

作、編曲者としても優秀であったが、その実力の割には

リーダー作は意外な程多くはない。


本アルバムに収録されている8曲も全てジャック・モントローズが

編曲したもので、しかも内5曲は彼のオリジナルである。

 
自らのテナーとバリトン、トランペットの3管が絡む

アンサンブルは美しく、粋で洒落ている。

また、共演のボブ・ゴードン、コンテ・カンドリらも

スマートでモダンなソロを聴かせてくれる。



 Jack Montrose / The Jack Montrose Sextet

 原盤 : Pacific Jazz PJ-1208

 Reissue : EMI ミュージック・ジャパン TOCJ-6384


1,Listen Hear
2,Bewitched, Bothered And Bewildered
3,Some Good Fun Blues
4,Fools Rush In
5,Speak Easy
6,Credo
7,Pretty
8,That Old Feeling


Jack Montrose (ts,arr)
Bob Gordon (bs)
Conte Candoli (tp)
Paul Moer (p)
Ralph Pena (b)
Shelly Manne (ds)


1,2,6,7.....1955年 6月24日
3,4,5,8.....1955年 7月6日
Los Angeles 録音

 

 

 


Dorothy Ashby with Frank Wess / Hip Harp

2012-02-17 01:46:13 | JAZZ

 

ジャズには不向きな楽器であるハープ。その為ジャズ・シーンにおいては

この楽器を演奏する者は非常に少ない。

ドロシー・アシュビーはその数少ないジャズ・ハープ奏者であり、

且つその第一人者である。


1957年に「The Jazz Harpist」(Regent MG-6039)(写真下)と云う作品でアルバム・デビュー。

 

 

このデビュー作で彼女は当時Savoyの看板プレイヤーであった

フルートのフランク・ウエスを相方として迎えているが、

この2人はその後本作品、そして以前に紹介した

「Dorothy Ashby & Frank Wess / In A Minor Groove」(New Jazz NJLP-8209)写真下)

まで3作連続で共演している。

 

 

「Hip Harp」はプレステッジ・レーベルにおける彼女の最初のアルバムである。

上記の3作品を順番に並べると

1,「The Jazz Harpist」(Regent MG-6039)

このアルバムは昔日本のキングから発売されたことがあるが、残念ながら未聴である。


2,本作品「Hip Harp」(Prestige PRLP-7140)


3,「In A Minor Groove」(New Jazz NJLP-8209)

と云う事になる。


アシュビーのプレイはテクニックが有り、ブルース・フィーリングも豊か。

またこの楽器の持つ華麗で優雅な音色を非常に上手く生かしており、

フルートのフランク・ウエスとの絡みも絶妙である。

心地良い室内楽ジャズと言って良いアルバムである。




 Dorothy Ashby with Frank Wess / Hip Harp

 原盤 : Prestige PRLP-7140

 Reissue : ビクターエンタテインメント VICP-60608 (廃盤)


1,Pawky
2,Moonlight In Vermont
3,Back Talk
4,Dancing In The Dark
5,Charmaine
6,Jollity
7,There's A Small Hotel


Dorothy Ashby (harp)
Frank Wess (fl)
Herman Wright (b)
Arthur Taylor (ds)


1958年 3月21日 New Jersey 録音

 

 


Pucho & The Latin Soul Brothers / Tough !

2012-01-14 02:15:31 | JAZZ

 

1993年に当時のビクター・エンタテイメントから発売された

「Dancin' To Jazz Collection」シリーズの1枚。

オリジナルはPrestige (PR-7471)で、1966年にリリースされている。


バンド・リーダーであるプーチョはニューヨーク生まれ、

バンド名を「ラテン・ソウル・ブラザーズ」と称してはいるが、彼自身ラテン系ではない。

『16歳の時に聴いたティト・プエンテ等のレコードの影響を受けた』

とアルバムのライナーでは語っている。

バンドのメンバーも詳しい経歴は全くと云っていい程判らないが、

アルバムの収録曲がかなり面白い。


スタンダードの「いそしぎ」にハービー・ハンコック作の「カンタロープ・アイランド」

「ゴールドフィンガー」に、バカラックの「ウォーク・オン・バイ」、

そして4,9曲目はビートルズ・ナンバーという節操の無さ。


5曲目の「ベトナム・マンボ」は何処がベトナムか聴いていても皆目判らず。

また、ラストのビートルズ・ナンバー「Yesterday」は

アドリヴに入ってからはもう完全にサルサ。

我々が知る原曲のイメージは、もはやそこには無い。

この手が好きな人向けの珍盤と云えよう。


但し、彼等のバンドとしての実力、力量はかなりのモノ。

この事を最後に付け加えておく。



 
 Pucho & The Soul Brothers / Tough !

 原盤 : Prestige PR-7471

 Reissue : ビクター・エンタテイメント VICJ-23135


1,Cantelope Island
2,Walk On By
3,Just For Kicks
4,And I Love Her
5,Vetnam Mambo
6,The Shadow Of Your Smile
7,Strange Thing Mambo
8,Goldfinger
9,Yesterday


Pucho (timbales)
Claude Bartee (ts)
Vincent McEwan (tp)
Williams Bivens (vib)
John Spruill (p)
Jon Hart (b)
Richard Landrum (conga)
Norberto Apellaniz (bongos)


1966年 2月15日 New York 録音

 

 


Buddie Emmons / Steel Guitar Jazz

2012-01-08 01:53:13 | JAZZ

 

ジャケット写真とタイトルを見て判るように、これはスティール・ギターによるジャズ・アルバム。

主にハワイアンやカントリー・アンド・ウエスタンで専ら使われていたスティール・ギター。

ギターの様に単音を速弾きするのは中々出来る事ではない。

どちらかと云えばキレイな持続音を鳴らす事に重点を置いた楽器であろう。

そう考えると当然の事ながらジャズで使われる事が殆んど無かったのも頷ける。


アルバムのリーダーは、バディ・エモンズ。

ナッシュビルのカントリー・アンド・ウエスタン系のミュージシャンである。


この楽器の性質上バカっ速のアップ・テンポの曲をこなすのはかなり難しいのだが、

バディ・エモンズはこの難題を見事にクリアしており、かなりのテクニシャンである事をうかがわせる。


また、ミディアム以下のヴァージョンでは、

スティール・ギター独特の音色が楽しめる。


このスティール・ギターと云う楽器でジャズを演る事に

果たしてどれ程の意味が在るかはともかく、

面白い作品である事は間違いがない。




 Buddie Emmons / Steel Guitar Jazz

 原盤 : Mercury MG-20843

 Reissue : 米 Universal Music 314 542 536-2


1,Bluemmons
2,Any Time
3,Where Or When
4,Indiana
5,Gravy Waltz
6,Oleo
7,The Preacher
8,Cherokee
9,Witchcraft
10,Gonna Build A mountain
11,There Will Never Be Another You


Buddie Emmons (steel g)
Jerome Richardson (ts,ss)
Bobby Scott (p)
Art Davis (b)
Charlie Persip (ds)


1963年 7月22日 New York 録音

 

 


Richard Williams / New Horn In Town

2011-11-30 03:04:28 | JAZZ

 

クリフォード・ブラウン系のトランペッター、リチャード・ウイリアムスの

初リーダー作であり代表作。


リチャード・ウイリアムスは1931年テキサス州ガルベストン生まれ。

彼が音楽的に最初に影響を受けたのはファッツ・ナヴァロであった。

その後は自身の音楽スタイルを形成する上で、

ディジー・ガレスピーの影響も少なからず受けている。

力強く、温か味があり、朗々と鳴る音色は非常に魅力的である。


このキャンディド盤は初のリーダー作という事もあってか、

かなりイキの良いプレイが聴かれる。

バックはアルトとフルートにレオ・ライト、

ピアノにリチャード・ワイアンズ、そしてベースはレジー・ワークマン

といった結構渋めのメンバー。

曲により彼等のソロも楽しめる好アルバムとなっている。




 Richard Williams / New Horn In Town

 原盤 :  Candid 9003

 Reissue :  Candid 79003


1,I Can Dream, Can't I ?
2,I Remember Clifford
3,Ferris Wheel
4,Raucous Notes
5,Blues In A Quandary
6,Over The Rainbow
7,Renita's Bounce


Richard Williams (tp)
Leo Wright (as,fl)
Richard Wyands (p)
Reginald Workman (b)
Bobby Thomas (ds)


1960年 9月27日 New York 録音

 

 


Lester Bowie / The great Pretender

2011-10-05 01:39:35 | JAZZ

 

フリー・ジャズ界最高のコンボとして名高い「アート・アンサンブル・シカゴ」。

これは、そのトランペッター、レスター・ボウイが1981年にECMに吹き込んだ

ECMにおける最初のリーダー作品。


圧巻は何と云ってもタイトル曲であり、アルバムの冒頭を飾る

16分を超える大作「The Great Pretender」。

プラターズで有名なこの曲を、レスター・ボウイは

ユーモア有るトランペット・プレイとトーンを巧みに混じえて

素晴らしい作品に仕上げている。

この1曲だけでこのアルバムを購入する価値が有ると云っても過言ではない。


また、バックを務めるバリトン・サックスのハミエット・ブルーイットと

ピアノのドナルド・スミスらは、やや前衛的ではあるが、

レスターの意図を汲み楽曲にマッチしたプレイとサポートをみせている。


尚、余談だが「The Great Pretender」に参加している

女性ゴスペル・シンガーのフォンテラ・バスはレスターの奥方である。




 Lester Bowie / The Great Pretender

 原盤 : ECM-1209

 Reissue : ECM-1209 B0011869-02


1,The Great Pretender
2,It's Howdy Doody Time
3,When The Doom (Moon) Comes Over The Mountain
4,Rios Negros
5,Rose Drop
6,Oh, How The Ghost Sings


Lester Bowie (tp)
Hamiet Bluiett (bs)
Donald Smith (p,org)
Fred Williams (b,el-b)
Phillip Wilson (ds)
Fontella Bass (vo)....1
David Peaston (vo)....1


1981年 6月 Ludwigsburg 録音

 

 


Candido featuring Al Cohn

2011-08-25 03:02:53 | JAZZ

 

キャンディドと云うタイトルに、コンガを叩く黒人のオッサンが

写っただけの何とも怪しげなジャケット。

レコード店でこのアルバムを見つけ、即購入を決断する輩は

ほぼ間違いなく変態であろう。


さて、本作品の主人公であるキャンディドだが、

パーカッション奏者としてジャズ・ファンなら何回かは耳にした事が有ると思う。

しかしながら、殆んどのジャズ・ファンは彼がサイド・メンとして参加している

アルバムくらいしか所有していないのではなかろうか。


これは何と彼の数少ないリーダー作。

1956年にABCパラマウント・レーベルに吹き込まれたモノ。


ラテン・フレーバーを効かせてはいるが、

全体的にはオーソドックスなジャズ・アルバム。

テナーのアル・コーン、ギターのジョー・ピューマ、ピアノのディック・カッツらが

中々小気味良いソロを聴かせてくれる。

ベースはレッド・ミッチェルの弟、ホワイティ・ミッチェル。

プロデュースはあのクリード・テイラーである。


尚、当然と云えば当然であるが、アルバムの全曲に

リーダーであるキャンディドのパーカッション・ソロが入る。

『パーカション・ソロはちょっと苦手』という人も居るかもしれないが、大丈夫。

曲によってはフォー・バースのような形で入っており、

聴いているうちに意外や意外、あ~ら不思議というくらいに慣れる(と思う?)。



 Candido featuring Al Cohn

 原盤 : ABC-Paramount ABC-125

 Reissue : 米 Universal Music B0002020-20


1,Manbo Inn
2,I'll Be Back For More
3,Stompin' At The Savoy
4,Candi Bar
5,Broadway
6,Perdido
7,Indian Summer
8,Candido's Camera
9,Poinciana
10,Cheek To Cheek


Candido Camero (conga,bongo)
Al Cohn (ts)
Dick Katz (p)
Joe Puma (g)
Whitey Mitchell (b)
Teddy Sommer (ds)


Produced By Creed Taylor


1,3,6,9....1956年 4月9日
4,5,7,8,10....1956年 4月10日
New York 録音

 

 


Ken Hanna And His Orchestra / Jazz For Dancers

2011-06-03 03:04:07 | JAZZ

 

今年の4月20日に発売されたEMI ミュージック・ジャパンの

999円シリーズ第3期の中でも実は個人的に期待していた作品。


キャピトルレーベルの「ケントン・プレゼンツ」シリーズの1枚であるが、

日本では余り知られていない。

今回買い逃すと次の入手はかなり難しいアルバムではなかろうか。


ケン・ハナはケントン楽団でトランペッター、アレンジャーとして活躍、

このアルバムが彼の代表作と云われている。


バンドのメンバーは有名どころは少ないものの、

ドラムのメル・ルイスを中心としたリズム・セクションをベースに

ケン・ハナの手によるヴァラエティーに富み、且つ小気味良いサウンドが

アルバム全体に溢れている。


また、2曲だけではあるが、女性ヴォーカリストの

シャーリ・ソンダースのハリの有る歌声が聴けるのも

ヴォーカル・ファンには嬉しい処である。




 Ken Hanna And His Orchestra / Jazz For Dancers

 原盤 : Capitol T-6512

 EMI ミュージック・ジャパン TOCJ-50104 (Reissue)


1,The Continental
2,Patent Pending
3,Trumpicale
4,I Can't Believe That You're In Love With Me
5,Encore
6,Let's Fall In Love
7,Shake Down
8,Bogota
9,Penthouse Serenade
10,I Cover The Waterfront
11,Lullaby Of The Leaves
12,Smoky Joe


Ken Hanna (tp)
Art Depew (tp)
Joe Dolny (tp)
Bob Rolfe (tp)
Ralph Osborn (tp)....1,2,5,8,11,12
Graham Young (tp)...3,4,6,7,9,10
Roy Main (tb)....1,2,5,8,11,12
Stan Malley (tb)
Dick Nash (tb)
Dave Wells (tb,b-tp)....3,4,6,7,9,10
Jay Cooper (as)
Dick Houlgate (as)
Bob Hardaway (ts)
Bart Caldarell (ts,ss)
Lennie Mitchell (bs)
Jim Hall (g)
Joe Felix (p)
Ralph Pena (b)
Mel Lewis (ds)
Sherli Sonders (vo)....4,11


1,2,5,8,11,12....1955年 4月30日 録音
3,4,6,7,9,10....1955年 5月7日 録音

 

 


Eddie Heywood / Eddie Heywood

2011-04-15 02:20:44 | JAZZ

 

テディ・ウィルソン系のピアニストで、1944年にビリー・ホリディの

レコーディングに参加した事で知られているエディ・ヘイウッド。

彼は1940年代には最も人気の高かったピアニストの1人であった。


このアルバムは1955年に録音されたもので、

エディ自身は既に全盛期を過ぎてはいたものの、

ピアノのタッチは相変わらず美しく、そのプレイは甘美でロマンチックである。


これらの演奏を一聴してカクテル・ミュージックとみる人も少なくないかもしれないが、

よく聴き込めば心地良いピアノの調べの中に

キッチリとしたジャズの要素が有る事が判るはずである。


尚このアルバムは2002年に紙ジャケ仕様でCD化されて以来廃盤となっている。

是非とも再発をお願いしたい。





 Eddie Heywood / Eddie Heywood

 原盤 : Emarcy MG-36042

 ユニバーサル・ミュージック UCCM-9105 (廃盤)



1,Hey There
2,You Never Gave It A Try
3,Love Me Or Leave Me
4,Tenderly
5,So Little Time
6,Let's Fall In Love
7,Secret Love
8,Old Fashioned Walk
9,Soft Summer Breeze
10,Heywood's Bounce
11,Young At Heart
12,'S Wonderful



Eddie Heywood (p)
Wendell Marshall (b)
Jimmy Crawford (ds)



1955年 7月15日、20日 New York 録音

 

 

 


Dusko Goykovich / After Hours

2011-02-24 03:16:15 | JAZZ

 

バルカン半島の国、旧ユーゴスラヴィア(現:ボスニア・ヘルツェゴビナ)出身の

トランペッター、ダスコ・ゴイコヴィッチ。

彼のトランペット・プレイは音艶が良く朗々と鳴る正に正統派。

そしてそのオリジナル曲は美しく哀愁を帯びている。


その昔、店でこの「After Hours」をターン・テーブルに乗せると、

客の多くがこのアルバムを手にとって、しげしげと眺める事が何度となくあった。


全6曲中、ダスコのオリジナルは3,4,6,の3曲。

バックのメンバーも見事なサポートをみせており、

中でもピアノのテテ・モントリューのプレイが光る。


尚この作品、元々はスペインのEnsayoレーベルの

「Ten To Two Blues」(写真下)というアルバムがオリジナル。

 

 

その後ドイツのEnjaレーベルから「After Hours」というタイトルで再発されたが、

Ensayo盤とは曲順を変えている。

当店所有のLPは独Enja盤、故に曲順表記もそれに倣う事とする。



Dusko Goykovich / After Hours

原盤 : スペイン Ensayo ENY-45

独 Enja 2020 (Reissue)


1,Last Minute Blues
2,A Child Is Born
3,Old Fisherman's Daughter
4,Remember Those Days
5,I Love You
6,Ten To Two Blues


Dusko Goykovich (tp)
Tete Montliu (p)
Rob Langereis (b)
Joe Nay (ds)


1971年 11月9日 スペイン Barcelona 録音